「優しい」の意味とは?
古語で見られる「優しい」の意味ともともとの形
現代語ではあまり見られませんが、「優しい」は古語で、以下のような意味でも使われていました。
「優しい」の語源は、動詞の「痩す」(や-す)が形容詞に変化したものです。もともとの意味は1の「痩せ細るような気持ち」で、現代では全く異なる意味に変化しています。
「優しい」の使い方と例文
1.上品で美しい
「優しい」は、人の顔かたちや表情、声、様子など、物の姿などが上品で美しいさま、落ち着きや慎ましさが感じられる美しさを表す時に使います。ただし、現代ではこのような意味では、「優しい」よりも「美しい」「優美である」といった語を使う方が多いかもしれません。
【例文】
- プッチーニのアリア『私のお父さん』を聞いて、彼女はなんて優しい声で歌うんだと思ったよ!
- 庭園の水辺で、カキツバタが優しく咲いていた。
- 彼は、着物の似合う優しい容貌の女性に見とれていた。
2.素直で大人しい
「優しい」は、素直で大人しい性格、穏やかで落ち着いた態度などを表し、接した際に好ましく感じられる場合に使われます。
【例文】
- 団子屋の娘さんは気立てが優しくて、お客さんに人気がある。
- 〇〇ちゃんは優しくて穏やかな子。落ち着かず騒がしいうちの子供と大違い。
- 向かいの家の猫ちゃんは優しい子で、日がなおばあちゃんの膝で丸くなっている。
3.思いやりがある
「優しい」は、相手に対する思いやりがある態度、大変な目にあった人を気づかう様子、情け深い気持ちが感じられる様子などを表す時にも使えます。
【例文】
- 友人は、泣きついてきた私に優しく声をかけてくれた。
- 心優しい正義の味方は、このご時世ではなかなかいない。
- 道を尋ねたら、目の前にいた女性が優しく教えてくれた。
4.悪い影響を与えない
「優しい」とは、主に物事について言い、そのもの自体が他に悪い影響を与えないようにされているさま、人に対して刺激とならないように気を配っている様子を表す時に使われます。
【例文】
- こちらの商品は、環境に優しい土で分解されるタイプの素材でできています。
- 敏感肌の方にも優しい保湿クリームが発売されました。
- このおもちゃは、幼児が口に入れても問題ないように、体に優しい原料で作られているそうだ。
「優しい」の類語
1.「上品で美しい」意味での類語:麗しい
「麗しい」(うるわ-しい)は、形がきちんと整っていて美しい様子、物事や人物の姿や形が綺麗であるさまなどを言います。少し古めかしい表現で、現在では「美しい」が使われることもしばしばです。使用例に「見目麗しい」があり、容貌が美しいという意味です。
【例文】
- カサブランカが麗しく咲き誇っている。
- この界隈でマドンナと呼ばれた女性は、性格も良く見目麗しい女性だったそうだ。
2.「素直で大人しい」意味での類語:温厚・柔和
「温厚」(おんこう)は、人などの性質や態度が、おだやかでやさしく真面目な様子という意味です。「柔和」(にゅうわ)は、物腰が柔らかく、顔つきや性格がやさしく穏やかであることを表します。
【例文】
3.「思いやりがある」意味での類語:親切
「親切」(しんせつ)とは、自分の利益をかえりみずに、相手の身になって手厚く尽くすこと、情深く接することなどの意味があります。
【例文】
- 宿の女将に親切にもてなされ、機会があればまた泊まらせてもらおうと思った。
- 先日は、ご多忙にも関わらず、親切にしていただきありがとうございました。
4.「悪い影響を与えない」意味での類語:配慮
「配慮」(はいりょ)は、手抜かりがないように気を配っていること、相手に対し細心の心遣いをすることです。
【例文】
- 環境汚染に配慮して、手荷物用の袋の無料配布を中止いたします。
- 当店では、赤ちゃんの肌にも配慮したスキンケア用品を揃えています。