「表情」とは
表情(ひょうじょう)には、大まかに二つの意味があります。
- 心の内での感情や情緒を、顔付きや身振りで外にあらわすこと。また、その顔付きや身振りそのもの。(特に、目や鼻や口の変化は、顔面の表情を判断する糸口となる)
- 一般的な状況や様子や雰囲気。比喩的に、社会におけるある面がもつ有様や状態。
「表情」の使い方
1. 顔つきや身振りの意味での「表情」の使用例
この意味で「表情」を使用する場合、よく使われる決まり文句もありますので、それも含めて紹介します。
- 彼はその時の感情がすぐ表情に出るので、機嫌の良し悪しが分かりやすい。
- 伯父さんは子供に昔話を、手振り身振りを交えて表情豊かに語ってくれた。
- 楽しく会話をしていた友人が、携帯電話に出た途端、表情が曇りだした。
- 友人は一時は表情が乏しかったが、ストレスから解放されたおかげで、以前のように明るくなった。
- プレゼン前で緊張しているせいか同僚の表情が硬かったので、面白い話をしたら表情が柔らかくなり、同僚のプレゼンもスムーズにいった。
2. ある状況や様子の意味での「表情」の使用例
- クリスマスの頃の街の活気づいた表情が、とても好きだ。
- テレビを通して見る各地の年越しの表情は、毎年楽しみである。
- 随分前の出来事とはいえ、映像で災害地の表情を見ると、今でも胸が苦しくなる。
「表情」の類語
以下の類語のなかには、複数の意味を持つ言葉もありますが、ここでは「表情」と同じような意味に限って、例文とともに紹介します。
1. 顔つきや身振りの意味での「表情」の類語
顔付き
特に、感情を反映した顔の様子。顔色。
・Aさんは自信ありげな顔付きをした。
顔色
感情の動きを反映した顔付き。顔の様子。
・Bさんは上司の顔色をうかがった。
面持ち(おももち)
気持ちが反映されている顔付き。顔の様子。
比較的、悲しみや不安などマイナス的な意味で使用されることが多い。
・Cさんは怪訝な面持ちで見た。
面構え(つらがまえ)
(相手を威圧するような)顔付き。
特に、強そう、または悪そうな意味で使用されることが多い。
・Dさんは大胆不適な面構えをしている。
形相(ぎょうそう)
激しい感情を反映した顔付き。顔の様子。
特に、怒りや嫉妬、または恐ろしい感じで使用されることが多い。
・Eさんは鬼の形相で怒り始めた。
2. ある状況や様子の意味での「表情」の類語
様子
(外から観察してわかる)そのものの有様。状況。模様。
・10年前とは街の様子がすっかり変わった。
雰囲気
その場やその場の人々が発する気分。空気。ムード。
・年末の商店街は喧噪な雰囲気が漂う。
状況
様々に変化する物事の、その場の、その時の有様。様子。
・大統領が変わった前後で国の状況が一変した。
「表情」の英語表現
顔付きや身振りの意味での「表情」をあらわす英単語が、いくつかあります。
expression
(顔などの)表情。
a calm expression 落ち着いた表情
look
顔付き。目付き。表情。
a puzzled look 困惑した表情
countenance
顔付き。顔色。(顔・目などの)表情。
a cheerful countenance 楽しそうな表情
face
顔付き。顔色。
a beaming face 晴れやかな顔(付き)
「表情」の重要性
「表情」を使った合成語のひとつである「表情筋」は、表情において大切な要素です。この言葉の解説とともに、表情の影響力をみてみましょう。
表情筋
顔の目や鼻や口などを動かす筋肉であり、顔面の皮膚の下に付く複数の小筋肉の総称です。顔面筋とも呼ばれ、顔面神経により支配されます。表情筋が衰えるとシワやたるみの原因になり老け顔になるので、表情筋を鍛えるトレーニングは人気があります。
表情はコミュニケーションのひとつ
人の印象は視覚のほうが聴覚より優ると言われ、話かけた言葉そのものより声や顔の表情などから、言葉を発した人の思惑を受け取りやすいです。例えば、「お世話になりました」と言われても、笑った表情と怒った表情で言われた場合では、受け取り方も異なります。
これからも分かる通り、表情は言葉以外の手段を用いたコミュニケーションのひとつとも言われています。コミュニケーションを円滑にするためにも、表情の重要性を認識しておきたいですね。