「やるせない」の意味とは
「やるせない」の漢字表記は、「遣る瀬無い」ですが、多くの場合、ひらがなで表記されていて、意味は以下の通りです。
- 気持ちを晴らす手段がない。せつない。つらい。
- どうすることもできない。
- 気持ちにゆとりがない。
「遣る」は、「行かせる」ということで、そこから転じて「思いを晴らす」という意味を持っています。「瀬」は、川などの浅瀬のことですが、立っていられる「場所」も表します(別の説では「機会」を表すとも言われています)。
この「遣る」と「瀬」が一つになって「遣る瀬」という名詞を構成し、それに打消しの「ない」をつけて、「思いを晴らす場所がない」となり、そこから「やるせない」は、上記のような意味を持つようになりました。なお、3の意味は、現代ではあまり使われていません。
「やるせない」の使い方
「やるせない」は、人の心情の暗い一面を表現する言葉の一つで、悲しみや苦しみといった気持ちそのものを表すこともありますし、そのような気持ちの持って行き場がない時に使います。
また、思いを相手にうまく伝えることができない、頑張っているのに報われないといった時に、つらい、苦しいという気持ちを表す時にも使います。
「例文」
「やるせない」の類語
「やりきれない」
「やりきれない」は、「遣り切れない」と表記しますが、「やるせない」と同じように、ひらがな表記が一般的です。
意味は、最後までやり通すことができない、辛抱できない、耐えられないというもので、そのような意味からつらい、苦しい、悲しいといったニュアンスを含み、「やるせない」の類語と言えます。
【例文】
「切ない」
「切ない(せつない)」は、(悲しい、恋しい、苦しいといった気持ちで)胸が苦しい、つらいという意味を表します。「切」には、切る(切断など)、さしせまる(切迫など)といった意味のほかに、何かを思うことがひたすらなさまという意味があります。
一方の「ない」は、打ち消しや否定ではなく、「あどけない」や「はしなたい」のように形容詞や形容動詞の語幹などに付き、形容詞を作って意味を強調する接尾語です。このことから、「切ない」は、何かをひたすら思う強い気持ちが高じて上記のような意味を表しています。
【例文】
- ずっと心に秘めていた切ない思いを、今日、勇気を出して打ち明けた。
- 彼女の切ない言葉を聞いて、ずっと守りたいと心から思った。
「いたたまらない/いたたまれない」
「いたたまらない/いたたまれない」は、「居た堪らない/居た堪れない」とも表記しますが、これもひらがな表記が一般的です。「いたたまらない」は、「居ることが堪らない」ということから、じっとその場にいることができない、辛抱たまらないという意味を持ちます。
「いたたまらない」は、「居る+たまる+ない」から「いたまらない」となり、発音上の要請もしくは強調のために「た」が加えられ、「いたたまらない」になったと言われています。
しかし、このできないという意味の「~らない」は、「~れない」という表現もできることから、「いたたまれない」という言い方もされています。どちらも、苦しい、つらいといったニュアンスがあり、「やるせない」の類語と言えるでしょう。
【例文】
- 児童虐待やネグレクトのニュースを聞くといたたまらない(いたたまれない)気持ちになる。
- 好投していたのに、味方のエラーで逆転負けして敗戦投手になったA選手のうなだれた姿を見ているのがいたたまらない(いたたまれない)。