目次
「ネグレクト」とは?
「ネグレクト」には次の2つの意味があります。
- 無視すること。
- 虐待の一種で、食事を与えない、病院に連れて行かないなどのこと。高齢者や障がい者、ペットへの虐待でも使われるが、特に子供に対する育児放棄のことを指すことが多い。
ここでは主に2の意味について説明していきます。
「ネグレクト」の使い方
「無視すること」
書類や草案、意見などを提出したにもかかわらず、受け取った側が対応しなかった時などに使います。取り合ってもらえなかった、ないがしろにされた、無視されたという意味になります。
働きかけた側が不満とともに口にすることが多く、受身形での使用頻度が高い言葉です。
例
- 「政府に提出した意見書がネグレクトされる。」
- 「部長に出した例の書類、まだネグレクトされてるっぽい。」
「育児放棄」
身体的虐待や性的虐待と異なり、積極的に何かすることは指していません。次のような本来するべき世話をしていないことを指します。
- 食事を十分にあたえない
- 衛生的でない環境に住まわせる
- 病気の時に病院へ連れて行くなどしない
- 学校へ通わせない
- 適切なコミュニケーションをとらない
例文
- 「ネグレクトされていた子供を親戚が引き取った。」
- 「ネグレクトするような親にはなりたくない。」
「ネグレクト」の由来
「ネグレクト」は英語の「neglect」に由来します。
動詞では無視する、放置する、ほうっておく、かまわないでいるという意味です。主にうっかり無視してしまった、余裕がなくてできなかった時に使われます。故意に無視する場合には「ignore」を使います。
名詞では無視、怠慢、軽視、不注意、無関心となります。対義語は「attention」や「care」です。
「セルフ・ネグレクト」とは?
「セルフ・ネグレクト」とは自分の身の回りのことをしないネグレクトです。「ネグレクト」は親が子供に食事を与えなかったり、衛生状態の悪いまま放置することでしたが、「セルフ・ネグレクト」では被害者も加害者も自分自身です。
バランスの良い食事をとらず、病気になっても放置するなど自分のことを大事にしないことを指します。ゴミ屋敷に住んでいることや孤独視するケースなどもあります。
生活能力や意欲を失った人に見られるといわれています。そのため、高齢者や精神障がい者だけでなく、若年者にもみられます。
「ネグレクト」の原因
育児において「ネグレクト」が起きる原因は大きく2種類あります。
- 育児の正しい形がわかっておらず、知識や能力のなさからくるもの。親自身がネグレクトされていたり、障がいがある場合などが例として挙げられます。相談できる相手がいないこともあります。
- 知識や能力があるにもかかわらず育児を放棄しているケース。経済状況やストレス、薬物乱用、アルコールなどが原因で育児放棄していることなどがあります。
「ネグレクト」の後遺症
「ネグレクト」を受けて育った子供には次のような後遺症が残ることもあります。
- 栄養失調
- 摂食障害
- 薬物乱用などの非行
- 愛着障がい
- パーソナリティ障がい
その他、逆境的小児期体験として免疫系疾患やうつ病などのリスクが高まるという研究結果もあります。
また、幼少期にネグレクトを受けて育った子供は将来自分が親になった時に自分の子供に対してもネグレクトや虐待を加えることが多いと言われています。
「ネグレクト」はどのような犯罪になるのか
ネグレクトは主に次のような罪にあたると言われています。
- 児童虐待防止法違反
- 刑法218条保護責任者遺棄罪
- 刑法219条保護責任者遺棄致死罪
2は3か月以上5年以下の懲役、3は3年以上20年以下の懲役になります。また、場合により傷害罪や死体遺棄罪などにも当たることもあります。
「ネグレクト」を見かけた場合
「ネグレクト」を発見した場合、速やかに公的機関に連絡することが『児童虐待の防止等に関する法律』で義務付けられています。
連絡先は『189』(いち・はや・く)です。最も近い児童相談所に匿名で通報できます。