「シンメトリー」の意味
「シンメトリー」は英語の「symmetry」のカタカナ語です。「sym」には「同じ」、「metry」には「寸法」という意味があり、「シンメトリー」は、左右対称になっていること、左右のつり合いがとれて整っていることを表す際に使われます。
たとえば、(A|A)となっている場合、二つのAは真ん中の縦線を境にしてシンメトリーな関係になっていると言います。この例のように、シンメトリーな関係を表す基準が線である場合だけでなく、面や点を基準として両者が向き合う場合もシンメトリーと呼びます。
また、「シンメトリー」は左右相称(そうしょう)と表されることもあります。「対称」と「相称」はどちらも「ひとつの線や面を境に、鏡に映った像のようにつり合っていること」を意味する言葉ですが、「対称」の方がより厳密に鏡像関係にあることを表すようです。
建築における「シンメトリー」
「シンメトリー」な関係を持つ建築物は、対称であるという特徴から、建物の部分と全体や、部分どうしのつり合いがとりやすく、「安定した形」とされています。
そのため、宗教建築などのような「威厳に満ちて立派である」「安定している」という意味を表す必要のある建築物においては、世界的に広く「シンメトリー」が用いられる傾向にあるようです。
「シンメトリー」の使い方
「シンメトリー」は、名詞として「これらの関係はシンメトリーである」のように使われたり、形容動詞として「これらはシンメトリーな関係にある」のように他の言葉を修飾するかたちで使われます。
例文
- この絵画にはシンメトリーな構図が用いられている。
- 私は世界中のさまざまな建築物を見るのが好きだが、特にシンメトリーになっている建築物に心が引かれる。
- 彼が作る作品の多くは、シンメトリーの関係を活用することで、その作品の魅力を最大限に引き出している。
「シンメトリー」の反対語:アシンメトリー
「シンメトリー」と反対の意味を持つ言葉は「アシンメトリー(asymmetry)」です。「アシメトリー」と言うこともあります。「非対称」「不均衡」という意味の言葉で、二つの図形や物体が対称の関係になっておらず、つり合いがとれていないことを表します。
ファッションの世界では、「アシンメトリーファッション」という言葉も使われており、前後の裾の長さが極端に異なるスカートや左右のかたちが違うジャケットのように、非対称なファッションのことを指して使います。
【例文】
- アシンメトリーな奇抜なデザインのドレスを、彼女は見事に着こなしている。
- 左右のデザインがアシンメトリーなジャケットなのだが、実際に着てみると絶妙にバランスがとれていて、シルエットがとても美しい。
「シンメトリー」の類語
均衡(きんこう)
「均衡」には、二つ以上の物事の間で、力や数量、程度などのつり合いがとれていることという意味があります。「均衡」の「衡」は、てんびんなどの「はかりの竿」という意味を持つ漢字です。また、「均衡」は「バランス」と言い換えることもできます。
【例文】
- 権力者である二人の力関係は、この数年の間、均衡を保っている。
- この二人の均衡が崩れたとき、ずっと続いていた平穏な日々は終わりを告げるだろう。
均斉・均整(きんせい)
「均斉」と「均整」と同じ意味を表す言葉であり、全体のつり合いがとれていて整っていることを意味します。形だけでなく、色や心情などのつり合いがとれて整っていることも表します。
また、「均斉」には「物体の形状や性質などが左右相称であること」という意味があり、「シンメトリー」と同様の意味で「きんせい」を使う場合には「均斉」と書かれるようです。
【例文】
- 真ん中にある階段を中心として、均斉のとれたつくりをしている城である。
- この石像は、これ以上ないほどに均整のとれた形をしている。
調和(ちょうわ)
「調和」は、全体もしくは二つ以上のものが矛盾したりバラバラになったりすることなく、つり合いがとれて整った状態になっていることを表す言葉です。建物などのような形のあるものだけでなく、精神や音などのように形のないものに対しても使うことができます。
【例文】
- 調和のとれた音色を聴いていると、とてもリラックスした気持ちになる。
- 新居の家具は「調和」をテーマに選ぶことにした。