「エモーショナル」とは?
「エモーショナル」は、英語では(emotional)と表記する形容詞です。日本では、カタカナ語の形容動詞として定着し、感情的なさま、情緒的なさま、感情に動かされやすいさま、強く感情に訴えるさま、を意味します。
音楽の専門用語エモーショナル・ハードコア(略:エモコア)は、感情を激しく表現したロックのこと。また、編集・文筆の分野での用語エモーショナル・ライティングは、感情をゆさぶり行動へと駆り立てることを目的とした文章を意味します。
英語の「emotional」の意味
「エモーショナル」の語源である英語の形容詞「emotional」は、そもそもどのような意味なのかを確認しておきましょう。
①感的な、情緒的な。②感情に動かされやすい、感動しやすい。③感情にうったえる、感動的な。カタカナ語の「エモーショナル」は、由来のemotionalとほぼ同じ意味で使われていることがわかります。
「エモーショナル」の使い方
「エモーショナル」は、ポジティブとネガティブ両方の文脈で用いられます。とはいえ、そこで表出される感情は、激しく強い喜怒哀楽とまではいかないことがほとんどです。
芸術や文芸など、感性に触れるようなものを対象に使うことがしばしばあります。音楽、映画、小説などに対して用いる「エモーショナル」の意味は、ポジティブなものでしょう。喜びであれ切なさであれ、心を揺さぶられる感動的なもの、というニュアンスです。
ところが、対象が人である場合は、ネガティブなニュアンスが強くなります。「彼女はエモーショナルだ」と使う場合は、感情に動かされやすい、つまり情緒不安定、エキセントリック、という意味が強くなります。
「エモーショナル」の文例
- その歌声は実にエモーショナルで、耳を傾けていると様々な感情で胸がいっぱいになる。
- 舞台はエモーショナルなラストで幕を閉じ、観客の感動の拍手はなかな鳴りやまなかった。
- 鈴木君は、エモーショナルな恋人の様々な反応が魅力的と感じていたが、しだいに振り回される自分に疲れてきたという。
- ビジネスでの交渉ごとでは、決してエモーショナルにならないことが秘訣のひとつだ。
「エモい」について
若者語として、「エモーショナル」から派生した「エモい」というスラングをよく見聞きします。もともとは、上述したロックのエモーショナル・ハードコアが「エモ」と略され、激情的、感動的な音楽が「エモい」と表現されるうちに、他の意味合いにも派生していったようです。
若者たちは、感情を揺さぶるものを対象として、さまざまな場面で「エモい」を使っています。興奮すること、ワクワクすること、楽しさ、嬉しさ、懐かしさなど多様な感情を対象としますが、基本的にポジティブな意味で用いられます。
切なさ、淋しさなど、しみじみ染み入るような感情には用いられますが、怒りや悲しみ、憎しみなどの、激しく強いネガティブさを表す感情に使われることはまずないでしょう。
【文例】
- Aの新曲、歌詞がエモいよね~。
- あのドラマ、エモすぎて、観終わったあとで宿題なんかできないよ。
「エモーショナル」の類語
「エモーショナル」の類語は、この言葉が使われる意味あいによって異なってきます。
【情緒的(じょうちょてき)】
しみじみとした感情が喚起される意味での類語たりえます。
文例:この恋愛映画は、ヒーローとヒロインの出会いと別れが切なく情緒的に描かれている。
【感情的】
人を対象として、その人物が感情にふりまわされたり、エキセントリックな言動をとったりする場合の「エモーショナル」の類語たりえます。
文例:子どもの言動に感情的に反応する親は、上手な子育てをしているとは言い難い。
【センチメンタル】
涙もろく感じやすいことを意味する場合の類語と言えます。
文例:真理さんはセンチメンタルで、悲しいストーリーの映画などは泣きすぎてしまうから観ないそうだ。