「ポスト」の基本的な意味
「ポスト(post)」は多数の意味がありますが、大きく3つの意味に分けられます。1つは「置く」「場所」に関わるものです。2つめは「柱」に関わるものです。3つめは「~の後」という意味のものです。それぞれ見ていきたいと思います。
「置く」「場所」意味の「ポスト」
郵便のポスト
「ポスト」というとまず思いつくのが、日本郵便の赤いポストや、家庭などの郵便受けです。郵便物を「置く」場所です。
ポストにチラシを配っていく作業を「ポスティング」とも言います。またデザイン性があり郵便用にも使えるハガキを「ポストカード」と言います。
役職・地位の「ポスト」
部長、課長といった役職や地位(その組織における場所)を「ポスト」と言います。
- 彼は次の部長のポストを狙っている。
- ポスト争いが社内で生まれている。
ポスト・イット
示したい場所に貼り付ける(置く)文具に「ポスト・イット」があります。ポスト・イットは3M社の登録商標です。
ポスター
「ポスター」は壁に貼る(置く)ものです。
柱という意味の「ポスト」
日本で単なる柱を「ポスト」と呼ぶことは一般生活ではあまりありませんが、例えばサッカーゴールの柱は「ゴールポスト」と呼びます。テニスやバレーのネットを通している両端の柱もポストと呼びます。バスケットボールにおいても、ゴールの(柱の)近くでのプレイを「ポストプレイ」と呼びます。
「~の後」の意味のポスト
「ポスト~(人物)」
例えば安倍晋三総理大臣の後の総理大臣が誰になるか、誰が次の総理大臣を狙っているか、という場合に「ポスト安倍」といった表現が使われます。この際の「ポスト」は「総理大臣という地位」を「ポスト」といっているのではなく「安倍氏の後」を指していることに注意が必要です。
ポストモダン(ポストモダニズム)
「モダン(近代)の後」という意味で、主義・思想を表す言葉です。合理的・啓蒙(けいもう)的な近代主義から抜け出そうとする立場や傾向のことです。
バロックが芸術、建築や音楽などの分野にわたっているように、ポストモダンも芸術や建築について1つの分野となっています。ポスト構造主義という言葉もあります。
ポスト真実(Post-truth)
2016年に生まれた言葉です。言葉の発端はイギリスと思われ、実際にOxford dictionaries Word of the Year 2016(オックスフォード辞典が選ぶ2016年の言葉1位)に選ばれました。
【Oxford dictionaries Word of the Year 2016】
https://en.oxforddictionaries.com/word-of-the-year/word-of-the-year-2016
上記サイトでは以下のように説明されています。
「relating to」は「~の関連」という意味です。「denoting circumstances」は簡単にいうと「状況」という意味です。
どのような状況かというと「objective facts(客観的事実)」が「less infuluential(影響が少ない)」状況です。何についてかというと「in shaping public opinion(世論の形成)」です。
何と比べて影響が少ないかというと「emotion(感情)」や「personal belief(個人的信念)」を「appeals to(アピール)」することです。
つまり「世論形成において感情や個人的信念よりも客観的事実のほうが影響が少ない状況」、逆にいうと「post-truth(ポスト真実)」とは「客観的事実よりも感情や個人的信念が世論形成に大きな影響を与える」ことです。この言葉が生まれた背景としては、感情に訴えかけたトランプ氏が優位に立ったアメリカ大統領選挙がありました。
「ポスト」まとめ
「ポスト」は、単なる「郵便受け」から「政治や哲学」まで広く関わっている言葉です。「ポスト」がついている言葉ごとに「ポスト」が何を意味しているのか考えてみると面白いかもしれません。