リスペクトとは
「リスペクト」は、英語の「respect」を日本語読みしたものです。英語の「respect」は尊敬・配慮・遵守など様々な意味を持ちますが、日本語における「リスペクト」は以下のように限定された意味で使用されます。
- ~に対する尊敬、敬意、尊敬や敬意を表すこと、価値を認めて心腹すること
- ~に対する尊重、重視、配慮
一般的には名詞扱いで、動詞として使う場合は、「リスペクトする」という言い方をします。なお英語のrespectは、re(再び、振り返って)+spect(見る、観察する)という言葉から成り立ち、「人としての価値をみとめること」が本来の意味にあたります。
リスペクトの使い方
リスペクトは二つの意味をもつので、それぞれの意味ごとに使用例をあげます。
尊敬の意味での使い方
- 物理が苦手なので、物理が得意な人は思わずリスペクトしてしまいます。
- 駅伝チームの強豪校になったのは、数年前に卒業したエースのA主将の力が大きいので、今でも後輩たちはA先輩をリスペクトしています。
尊重の意味での使い方
- 故人の遺志をリスペクトして、所有していた名作絵画を美術館に寄贈しました。
- チームで仕事をするときには、少数派の意見もリスペクトして、物事を進めた方がいいです。
リスペクトとオマージュ
ヴェルサイユ宮殿で行われたマクロン大統領夫妻主催の晩餐会に、皇太子徳仁親王殿下が出席されました。エリゼ宮の料理長、ギヨーム・ゴメス シェフは先月亡くなったジョエル・ロブション シェフへのオマージュとして、スペシャリテのオマールやジャガイモのピュレもメニューに入れました@ggomez_chef pic.twitter.com/zkTDaqtZ8a
— フランス大使館 (@ambafrancejp_jp) September 13, 2018
リスペクトと同じような意味で使われる言葉に、「オマージュ」があります。オマージュはフランス語のhommageを日本語読みしたもので、日本での「オマージュ」は、フランス語のすべての意味ではなく、尊敬、敬意、称賛を表しています。
日本語においての「オマージュ」は、一般的には、作家や作曲家や芸術家など、ある人に捧げる敬意、また敬意を表した作品の意味で使われることが多いです。
例えば、『みんなの怪盗ルパン』という本は、怪盗アルセーヌ・ルパンが活躍するシリーズ本に、子供時代に夢中になった5人の作家が、ルパンにオマージュを捧げて短編を書き下ろした作品です。
ただし、オマージュとして作品を作る場合、元の作品と似ていると、真似や模倣と受け取られる場合があります。下手をすると盗作を疑われることもあるため、オマージュ作品を作る際には、細心の注意が必要です。
リスペクトの関連語
リスペクトの類語
- 心酔…その人の人柄や業績に、心から感服し傾倒すること。
- 崇拝…尊いものとして、心から敬うこと。
リスペクトの反対語
ディスリスペクト(disrespect)
軽蔑、軽視、無礼、失礼な言葉や行為の意味で、英語のrespectの反対語です。
日本語では、ディスリスペクトという言葉より、それを略した、「ディスる」「ディス」での使用が一般的です。この場合、相手を見下す、侮辱するという意味で、否定的な表現として使われます。
サッカーにおけるリスペクト
スポーツ選手、とくにサッカー選手およびサポーターは、よくリスペクトという言葉を使います。背景には、日本サッカー協会およびJリーグで展開している「リスペクトプロジェクト」があるからです。以下にそのもととなる、「リスペクト宣言」を紹介します。
「フェアで強い日本を目指す」。リスペクトは、世界からも認められた日本が誇る価値です。(中略)サッカーから、スポーツ、そして日本社会にこういった価値観を広めていきたいと考えています。
公益財団法人日本サッカー協会 公式ウェブサイトより引用
まとめ
日常会話でリスペクトはよく使用されますが、軽々しく使うと失礼になる場合もあります。リスペクトという言葉は、使われ始めてから歴史も浅く、若者言葉ととらえる人もいます。そのためビジネスシーンにおいては、とくに目上の方には、控えた方がいい言葉ともいえるでしょう。
リスペクトはポジティブな意味をもつ言葉です。時と場合を選びつつ上手に使って、人間関係を円滑にしたり、素晴らしい価値観を共有できるといいですね。