「サージカル」とは
「サージカル(surgical)」は「外科(医)の」、「外科手術の」、「外科的な」を意味する英単語(形容詞)です。
他に限られた用法として「外科手術で使用される〜」や、「精密な〜」というものもあります。「精密な〜」という用法に関しては、「(外科)手術」の他にも、「爆撃(精密照準の)」などに対しても用いられるようです。
「外科的な」という意味での「サージカル」に対応する言葉としては、「メディカル(medical:内科的な)」があります。
「サージカル」の由来
「サージカル(surgical)」は“surgeon”の形容詞形です。“surgeon”には「外科医」という意味の他、「軍医」や「船医」という意味もあります。
この言葉が使われだしたのは、英語においては18世紀のことであり、初期には“chirurgical”と綴られていたようです。大元をたどると古フランス語の“sirurgie”が語源だということです。
日本語の中で使われるようになったきっかけについては、はっきりとはわかりませんが、時期としては最近のことと思われます。
「サージカル〜」の使われ方
「サージカル」は、その言葉自体が形容詞であることもあり、単体よりも別の言葉と組み合わせた複合語として使われるのが一般的です。
比較的よく聞くものとしては「サージカルマスク」があります。また、服飾や装身具に興味がある人であれば、「サージカルステンレス」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。
「サージカルマスク」とは
サージカルマスク
「サージカルマスク」は名前の通り、「手術用のマスク」です。実際に手術を受けたことがなくとも、テレビやその他のメディアで、外科手術にのぞむ医療関係者の扮装を見たことがあるという人は多いでしょう。
治療のために患部の切開が必要な外科手術では、医者は患者が感染症にかかることを予防するため、滅菌された医療用の装備が必要になります。
「サージカルマスク」もそうした装備のひとつで、着用者の唾液等に含まれる微生物が、手術箇所に付着することを防ぐ目的で使用されています。
同時に「サージカルマスク」は耐水性機能を持っているものもあり、これは患者の血液や体液に含まれる細菌から着用者を守るという目的で備えられています。
一般的なマスクとの違い
昨今、花粉症やインフルエンザの流行などが毎年騒がれる中で、予防のためにマスクをしている人を見かける機会も多くなりました。
ところで、こうした感染症予防のためのマスクの代わりに「サージカルマスク」を使用するのは、必ずしも適当とは言えないようです。
なぜなら「サージカルマスク」は上でも触れたように、あくまでも着用者(医療者)の唾液等が患者の傷口に入ったり、患者の血液等が着用者の口内に入ることを防ぐためのものだからです。ウイルスや風邪の原因菌をカットすることは、そもそも想定されていないのです。
いくら「外科的に」活用されているからといって、万能なわけではありません。そのため、マスクは用途にあったものを適切に使用するのが良いでしょう。
「サージカルステンレス」とは
「サージカルステンレス」も、「サージカル」の名が示すように、本来は医療用メスやハサミ等に使用されるステンレス鋼(金属)でした。
この素材は常温で「オーステナイト」を主要な組織とする「オーステナイト系ステンレス鋼」に分類されるもので、その特徴としては「磁石に反応しない」、「腐食しにくい」などといったものがあります。
特に「腐食しにくい」という特性は「金属アレルギーを引き起こしにくい」ということでもあります(金属アレルギーは、汗などで腐食(溶け出)した金属に、免疫が反応することで発生する)。
そのため「サージカルステンレス」は、今では腕時計やピアス、ネックレス等々様々な装身具の材料として活用されているのです。