「心情」とは?
「心情」は(しんじょう)と読みます。「心」は、ごく端的にいえば、気持ちや精神を表す言葉です。「情」は、なんらかの事象に反応して起こる心の動き、気持ちのことを指します。
この二つの漢字で構成される「心情」は、心の中で感じ、思っていること。ある物事に対して思っていることや心の状態、などを意味する言葉です。
日々の生活の中では、常に「なにか」が起こり、その度に「なにか」を考えているわけですから、「心情」はとても馴染み深い言葉だと実感できることでしょう。
「心情」の使い方
「心情」を使うときに留意したいポイントは、基本的に「心情」は、なにかの事象によって心の内面に湧き上がってくる主観的な思い、とされていることです。
例えば、なんらかの出来事があったとき、「ご感情をお聞かせください」とは問わず「ご心情をお聞かせください」と問います。出来事を受けて主観的なあなたの思いは?と尋ねていると理解できます。
また、「心情」で表される「思い」は、どちらかといえば、しみじみとした情感であったり、感傷であることが多いようです。「激しい怒りの感情」という表現には違和感がありませんが「激しい怒りの心情」という言い回しはあまり耳にしません。
「心情」とは激しい感情にあらず、というわけではありませんが、基本的なニュアンスとして、表面的に出てくるような激しさは感じさせない言葉です。だからこそ、「心情を察する」「心情を問う」「心情を抱く」などの言い回しが適しています。
「心情」の文例
- 志望校すべてに落ちた小林君を町で見かけたが、その心情を思い、声をかけなかった。
- 初恋の人との再会を淡々と語る由美ちゃんの心情は、読み取りづらかった。
- 長く夫婦でいると、互いの心情を察しあい、阿吽の呼吸が生まれるものだ。
- 犯罪者の心情を丹念に聞き取り理解することが、再犯を防ぐ手立てともなる。
- 推理小説を読む時は、登場人物がどんな心情を抱いているかを想像して犯人を当てるんだ。
「心情」の関連語
「心情」にはいくつかの類語がありますが、厳密にいえば、それぞれ微妙な異なりがあります。今回は「関連語」として扱い、解説していきます。
「心境」の意味と使い方
「心境」とは端的に言えば心の状態を意味する言葉です。「境」という漢字はいくつかの意味をもちますが、「心境」の「境」は、人が置かれた立場や状態、ありさま、という意味で使われています。
したがって、「心境」は、自分が置かれている状態や状況に対して思うこと、を表しています。「心情」は、ある事象によって心に湧く思いを表す言葉なので、微妙ですが観点が異なります。
【文例①】一人娘さんがご結婚ですね。いま、どのようなご心境ですか?
【文例②】これまでは消極的な生き方をしてきたが、アメリカ留学をへて心境は変化した。冒険であっても、今やりたいことをやろう。
「感情」の意味と使い方
「感情」とは、物事に感じて引き起こされる心の働きや気持ち。喜怒哀楽などの心持ち、などを意味する言葉です。
精神医学用語など、さまざまな定義はありますが、ここでは一般的な意味のみをご紹介します。「感情」は、「心情」に比べて、外部の状況によって引き起こされる、というニュアンスがより強い言葉です。
「心情」が、情感や感傷などに比較的重きがおかれているのに比べ、「感情」は、淡いものから激情まで、幅が広いことが特徴ともいえます。
また、外からの刺激によって引き起こされるという意味からも、精神医学用語では、「心情」ではなく「感情」が用いられるとのことです。
【文例①】受験勉強がつらかったぶん、志望校に受かったときは喜びの感情が爆発した。
【文例②】小学生のころ、青年のような体育教師に淡い憧れの感情をもっていたことを思いだした。