「注意」とは
「注意」という言葉は、日常的にいたるところで使われています。その意味は以下の通りです。
- 気をつけること。気をくばること。
- 警戒すること。用心すること。
- 気をつけるように傍(はたか)ら言うこと。忠告。
- (心理学のなど学問領域で)一つの対象を選択して、それを認知して明瞭化しようと意識を集中する心的活動。
以下の字義で見るように、ある物事に「意」を「注(そそ)」いで(こころやきもちなどを物事に集中して)、気を配ったり、警戒したりすることを「注意」と言います。
「注」の字義
「注」は、音読み「チュウ」、訓読み「そそ-ぐ。つ-ぐ。さ-す」と読みます。意味は、①そそぐ。つぐ。さす。流しこむ。②一点にあつめる。③くわしく解きあかす。④書きしるす。あつらえるなどです。
①の意味では、注射、注入、②の意味では、注意、注目、③の意味では、注釈、注記、④の意味では、発注、注文などの用例があります。また、③の意味の「注」は、「註」の代用字としても使われています。
「意」の字義
「意」は、音読み「イ」、訓読み「こころ。おも-う」と読みます。意味は、①こころ、きもち、思い、考え、②内容、わけ、理由といったものです。
①の意味では、注意、得意、意外、意志、善意・悪意、2の意味では、意義、意味、文意といった用例があります。
「注意」の使い方
ここでは、1から3の意味について、項を分けて使い方や例文をご紹介していきます。ただ、1の「気を配ること」と、2の「警戒すること」は、用例上では似たものになりがちです。
どちらの意味かを見分ける際には、健康とか安全といった漠然としたことに対しては1の意味で、具体的な病気や具体的な危険性といったことに対しては2の意味で使っていると判断して良いでしょう。
1の意味
日常生活を送るうえで、具体的に何かということはなくても、気を付けたり、気を配ったりすることはたくさんあります。そのようなときに「注意」を使います。
【例文】
- 毎年定期検診を受けて、健康に注意しています。
- 植物の成長を日々、注意して観察してください。
- 私はいつも注意深く仕事に取り組んでいる。
2の意味
2の意味の「注意」は、1の意味よりも具体的な状況に対して使います。たとえば、漠然と「健康に気をつける」という時は1の意味ですが、インフルエンザに罹った人が身近にいるなどの具体的な不安要素がある場合には2の意味です。
【例文】
- 最近、マダニの被害が頻繁に報じられているから、野山を歩くときは肌の露出に注意しよう。
- この踏切は遮断機がないから、注意して横断しないといけない。
- 夜の一人歩きは危険だから、防犯ブザーを握りながら周りに注意して帰宅している。
3の意味
人から忠告されたり、自分が人に忠告する場合には、3の意味で「注意」を使います。どちらかというと、漠然とした事柄よりも具体的な事柄に対して用いる場合が多いようです。
【例文】
- 一人暮らしの老母に、日ごろから火の始末や戸締りに注意するよう言っているが不安だ。
- 毎日、子供に忘れ物をしないように注意するのも疲れる。
- 上司から、言葉遣いを注意された。
「注意」の類語
「用心/要心」
「用心/要心(ようじん)」とは、万一のことに備えて気を付けたり、気を配ったりすることを言います。「注意」の1から3の意味と同義の言葉で、「注意」と同様日常的に使われる言葉です。
【例文】
- 「火の用心、マッチ一本火事の元」っていうけど、最近、マッチを見かけないね。
- 振り込め詐欺やアポ電強盗に用心するよう警察官が、高齢者の家を戸別訪問している。
「留意」
「留意(りゅうい)」は、ある物事に心をとどめることやそのことに気を配ることです。ちょっと堅苦しい言葉なので、日常会話などではあまり使いませんが、ビジネスや手紙文などではよく使われています。
【例文】
- 時節柄、健康に留意してお過ごしください。
- 今度のプレゼンでの留意点は、お配りした書面に記載してあります。
「警戒」
「警戒(けいかい)」とは、思いがけない事態が起こらないように用心したり、その対策を準備することを指します。「用心」と同義ですが、国や自治体といった大きな組織やそれに所属する人間が、何かの危険や不安な物事に用心することを言う場合に使うことが多い言葉です。
【例文】
- 台風の大雨で河川の警戒水位を超える可能性があると広報車が告げている。
- 最近この近辺で窃盗が多発しているので、警戒パトロールが強化された。