「しょっぱい」の意味とは?
形容詞「しょっぱい」の意味は以下の通りです。
- 食べ物の味などの塩気が強い
- けちな性格
- 困惑したこと、不愉快な物事があり顔をしかめるような表情を見せる
- しわがれた声
- 物事の出来・結果などがつまらない・見劣りする・情けない
「しょっぱい」のもともとの形
「しょっぱい」は漢字で「塩っぱい」と表記します。もともとの形は古語の「鹹映ゆし」(しおは-ゆし)で、「しょっぱい」と同様に、塩気が強い、もしくは、塩味が濃いという意味です。
その後「鹹映ゆい」(しおはゆい/しおばゆい)と変化し、「しょっぱい」となったという説があります。
「しょっぱい」の使い方と例文
1.塩気が強い
「しょっぱい」は、食べ物や飲み物などの味について塩気が強い、塩分が濃いという意味です。主に東日本や関東を中心に使われる俗語や方言に近く、味を表す意味で「しょっぱい」と使わない地方もあるようです。
使い方の例として、甘みも塩気も強く感じられる味を表す「甘じょっぱい」という言葉が挙げられます。
【例文】
- しょっぱい味が後を引くのり塩味のポテトチップスを、ビールのおつまみにしています。
- スープの味付けが濃すぎてしょっぱい。
- 醤油味のせんべいにザラメがまぶしてあり、甘じょっぱい味がなんとも言えず美味しい。
2.けち
「しょっぱい」は人の性格を「けち」と嘲り、軽蔑する時にも使います。出し惜しみをする性格、いやしくしみったれているさまなどが該当するでしょう。
【例文】
- Aさんは割り勘と言っても、絶対に端数を渋って出さないしょっぱい人だ。
- Bくんはバイキング形式の食事で、時間いっぱいまで食べ尽くそうとするしょっぱい性格だよ。
- 私有地だと知らずに鬼ごっこをしていた子供にまで地代を請求したって。地主さんもしょっぱいね。
3.顔をしかめる
「しょっぱい」は人の顔つきや表情を表せます。人は不愉快なこと、困りごとなど嫌なことがあった場合に、顔やおでこ、眉間の辺りにシワを寄せて険しい顔つきをする場合がありますね。そのような「しょっぱい」顔で、機嫌が良くない様子が描写できます。
【例文】
- 彼女に頼み事をしたら、みるみるうちにしょっぱい表情になった。
- 彼は仲の悪いC氏を見かけるとすぐに、しょっぱい顔つきに変わった。
- 元カレに話しかけられた彼女は、しょっぱい顔を隠さずに適当に返事をしていた。
4.しわがれ声
「しょっぱい」はしわがれたような声のことをいう場合もあります。塩気の強い物を食べたり飲んだりして喉が乾いて声が出にくくなり、がさがさしてかすれたようになる様子を表しているのかもしれません。
【例文】
- カラオケで何時間も歌いすぎ、しょっぱい声になってしまった。
- 応援団員は大きい声を張り上げていたせいか、最後にはしょっぱい声で頑張っていた。
5.つまらない・見劣りする・情けない
「しょっぱい」は物事の出来がつまらない、一方が見劣りする、結果が情けないといった意味で使う場合もあります。
もともとは相撲の立ち会いから来ていて、負けた力士が塩をまかれた土俵の中で這っていることから「弱い・情けない」という意味で使われ、現在のような意味となりました。
使用例としては、相撲と同じ格闘技のプロレスで、つまらない試合の様子や、技の出来が地味な選手を「しょっぱい」と評する場合もあります。芸能の分野では、面白みのない芸人のことを「しょっぱい芸人」ということもあるようです。
【例文】
- 一方的な試合で、しょっぱい内容だったね。
- あの選手は成績は良いのだが、ここぞというチャンスで活躍できないのでしょっぱいと言われている。
- せっかく試作品が出来たけれど、仕上がり方がしょっぱいね。もっと面白みのある物ができないかな。
「しょっぱい」の類語
1と4の意味の類語:塩辛い
「塩辛い」(しおから-い)は、塩味が強く刺激的に感じられることです。全国的に知られていますが、主に西日本地域では「しょっぱい」ではなく「塩辛い」を使うといわれています。
また、「しょっぱい」の4の意味のように、しわがれた声を描写する際にも「塩辛い」といいます。
【例文】
- そばつゆが塩辛く、お湯で薄めた。
- おにぎりの昆布が塩辛いので、おかずの味が分からなかった。
- 風邪を引いて、塩辛い声になってしまった。
- 選挙も終盤になると、ウグイス嬢も塩辛い声になるね。
2と3の意味の類語:渋い
「渋い」(しぶ-い)には、不愉快なことや不満がある人の表情やその様子、けちで金品を出すのを嫌がる人の様子などを表す時に使う形容詞です。
もともとは、「渋い」は味を表しますが、柿の渋などの舌に強い刺激があるような強い苦味という点で「しょっぱい」と異なります。
【例文】
- 男性に馴れ馴れしい態度で話しかけられた彼女は、渋い表情で対応した。
- 担当者は渋い顔をしたまま、無礼な若者と対峙していた。
- ある野球選手は球団の査定額が渋いと、年俸の更改を保留した。
- うちの社長は取引先には渋いと評判だが、成果を出した時にはここぞとばかりにお金を出すよ。
5の意味の類語:拙い
「拙い」(つたな-い)は、他よりも能力が劣っていること、物事を行うのに下手であるといったことなどをいいます。また、「拙い者ですが~」といった形で、相手にへりくだって「未熟者ですが」という意味で使う例もあります。
【例文】
- 拙い者ではございますが、精一杯ご期待に応えられるよう努力いたしますので、よろしくお願いいたします。
- うちの孫が拙い字で書き初めをしたが、どの有名な書家の作品よりも大切だよ。