「渋い」とは?意味や使い方を英語表現を含めてご紹介

「渋いお茶」「渋いセンス」などに見られる「渋い」(しぶい)という言葉。日本文化には古くからなじんでいる表現といえますが、英語に訳すとしたらどんな単語を使うべきべきでしょうか?本記事では、複数ある「渋い」の意味や使い方を、英語表現を含めてご紹介します。

目次

  1. 「渋い」の概要
  2. 「渋い」①:味覚
  3. 「渋い」②:味わい
  4. 「渋い」③:不機嫌
  5. 「渋い」④:けち

「渋い」の概要

「渋い」(しぶ-い)には、以下のように複数の意味があります。

  1. 【味覚】舌を刺激する「にがい」に似た味。
  2. 【味わい】はでやかでなく、落ち着いた深い味がある。
  3. 【不機嫌】不平そうである。
  4. 【けち】金品を出し惜しむ。

ここでは、上記1~4の意味ごとに使い方・英語表現を紹介します。

「渋」の字義

「渋」の字は、「水(さんずい)」と「歩みを止める」の意により、「水が滞って流れがたい」がもともとの意味です。かつては「澁」と書き、常用漢字の「渋」は省略された形です。

「渋い」①:味覚

「渋い」の基本的な意味は、「舌を刺激するにがみ、酸っぱさ」を表す味覚表現です。感覚ですので言葉のみの説明ではわかりにくいかもしれません。

具体的には「渋柿を食べた時」「濃く入れすぎた日本茶を飲んだ時」などの味の例えとして用いられることが多く、「えぐみ」「舌がしびれる感じ」「喉がイガイガする感じ」とも言われます。

【例文】

  • ぼーっとしていて、茶葉を入れすぎた。お茶がとても渋い。
  • 拾って食べた木の実にあまりの渋さに、彼はせき込んだ。

英語では?

味覚の「渋い」は、英語では「astringent」が化学的な「渋い」に該当します。他に「reluctant」(不本意、嫌がる、しぶしぶ)や「austere」(厳格な、苦い、すっぱい)などの言葉も覚えておきましょう。

【例文】:Astringent[Reluctant/Austere] tea.(渋いお茶)

「渋い」②:味わい

「味」から派生した「渋い」の意味として、「はでやかでなく、落ち着いた深いおもむき」というものもあります。

味覚の「渋い」にはあまりいいイメージはありませんが、「味わい」の意味で使う場合、多くは「一言では表せない、奥深い感じ」「わかりやすくはないが、含蓄がある」といったニュアンスをもって好意的なイメージで使用されます。

【例文】

  • 私の友人は、見る者をうならせる渋いセンスの持ち主だ。
  • 40を過ぎて若いファッションが似合わなくなってきたので、ひげを生やして「渋いオヤジ」を目指す。

英語では?

「味わい」の意味での「渋い」は「tasteful」(味わいがある)「austere」(厳格な、苦い、すっぱい)と語訳できます。

「趣味が良い、凝っている」というニュアンスであれば「tasteful」を、やや厳しいニュアンスのある渋さであれば「austere」とするのが良いでしょう。

【例文】

  • This kimono is very tasteful.(この着物[の柄]はとても渋い)
  • He has a autere sence.(彼は渋いセンスの持ち主だ)

「渋い」③:不機嫌

「渋い」には、「不平そうである」という不機嫌な様子を表す意味もあります。「渋い」ものを食べた時、誰であれ眉間に皺が寄って不機嫌な顔になることを喩えた表現です。

特に、「渋い顔」という表現は、見た目での不機嫌を表す定型表現として広く使われています。「渋面」(じゅうめん:しかめづら)という言葉も押さえておきましょう。

【例文】

  • 約束をすっぽかされた彼女は、一日中渋い顔をしていた。
  • 娘がおもちゃをねだるのを、父は渋い顔で「だめだ」と言い聞かせた。

英語では?

不機嫌な様子を表す「渋い」は、英語では「reluctant」(不本意、嫌がる、しぶしぶ)とするのが良いでしょう。

【例文】:She looked reluctant.(彼女は渋い顔だ)

「渋い」④:けち

「渋い」には、「金品などを出し惜しむ」「けちである」という意味もあります。一般的には形容詞より「渋る」「出し渋る」など動詞形で聞くことのほうが多いかもしれません。

必要以上に物を出し惜しむさまを、「渋」の字義である「水が滞って流れがたい」に喩えた表現であると考えれば、意味を取りやすくなるかもしれませんね。

【例文】

  • さんざん頼み込んだのに一円も出さないとは。金に渋いやつだ。
  • 彼はあれこれ難癖をつけて満額の支払いを渋った。

英語では?

「けち」のことを英語では「stingy」と言いますので、「渋い」という場合もこれでよいでしょう。「渋る」としたい場合は、「unwilling~」(嫌々ながら)が適切です。

【例文】

  • A stingy man.([金に]渋い男)
  • She was unwilling to give a money.(彼女は金を出すのを渋った)

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