「思い」とは?意味や使い方を類語も含めてご紹介

物思いにふけったり、思い出話をしたり、思いを言葉にしたりと、「思い」は日常生活のさまざまシーンで使う機会がある言葉のひとつでしょう。また、この「思い」には「気持ち」などの類語も存在します。この記事では「思い」の意味や使い方を類語とともにご紹介します。

目次

  1. 「思い」とは
  2. 「思い」の使い方
  3. 「思い」の別の表記(想い・念い・懐い・憶い)
  4. 「思い」の類語

「思い」とは

「思い(おもい)」とは、簡単に言えば、思うこと(心の働きやその内容)を指す言葉です。細かく見ていくと、次のように分けることができます。

  1. ある物事について考えを持つこと、または、その考えの内容。
  2. 予想、予期、想像すること。
  3. 願い。望み。
  4. 物思い。回想。
  5. 思慕の情。愛情。恋心。
  6. 執念。恨み
  7. 経験したことから生じた感じ。
  8. 何かを気に掛けることや心配すること。
  9. 喪に服すること、または、その期間。喪中。

最後の9の意味は、古典での用法で、現在ではほとんど使われていません。以下では、1から8の意味について、使い方を見ていきます。

「思い」の使い方

1の意味「考え」

1が指すものは、結論やその結論にたどり着いた様子だけではありません。思考中の内容や考えている最中の様子も含まれます。

【例文】

  • 新婦は、披露宴で、両親への感謝の思いを綴った(つづった)手紙を読み上げた。
  • 社会人になった思いを入社式の答辞で述べた。

2の意味「予想・予期・想像」

2は、未来のことを考えること、将来についての考えや予想のことです。「思いもしない/思いもかけない」(意味:予想外)や「思い通り」(意味:思っていたようになる。または、そのさま)などの慣用句でもよく用いられます。

【例文】

  • こんなに台風や大雨が続いて大きな被害が出るなんで思いもしなかった。
  • 相手のチームは、こちらの思い通りの動きをしてくれたので楽勝だった。

3の意味「願い・望み」

3は、「思いがかなう」(意味:願ったことが現実になる)、「思いを遂げる」(意味:望みを実現させる)といった言い回しで良く用いられます。

【例文】

  • ショパンコンクールに優勝するという長年の思いがようやくかなった。
  • 両親に結婚を反対され、駆け落ちして思いを遂げたが、今は両親とも和解している。

4の意味「物思い・回想」

4は、ぼんやりとあれこれ考えたり過去を振り返ること、あるいは、その内容を指します。よく使われるのは、「思いに浸る(ひたる)/思いに耽る(ふける)」(意味:他のことがおろそかになるほど何かを考えている)などの慣用表現です。

【例文】

  • 秋の虫たちの音を聞きながら、子供のころの楽しかった思いに浸っていた。
  • いじめのニュースを聞くたびに、学校でいじめられたつらい過去に思いが行ってしまう。

5の意味「思慕の情・愛情・恋心」

5は、ある対象に対する好意や愛情、恋しさが高まること、あるいは、そのような心の状態のことです。「思いを寄せる」(意味:気持ちを向ける。恋い慕う)などの表現でも用いられます。

【例文】

  • 友人が僕の妹に思いを寄せていることには、以前から気づいていた。
  • 外国に単身赴任してまだ半年だが、日本にいる家族への思いが日増しに強くなる。

6の意味「執念・恨み」

6は、5の反対の意味に近いものです。たとえば、「思いを晴らす」には、「望みをかなえる」という意味もありますが、多くの場合は「恨みを晴らす」ことを指しています。

【例文】

  • 彼は何十年も前に受けた侮辱を今でも恨んでいる。人の思いというのは恐ろしいものだ。
  • 最愛の彼女を奪ったあの男に、思いを晴らさずにはおれない。

7の意味「経験したことから生じた感じ」

人は経験した物事に対して、いろいろな感情を抱きます。5や6の「思い」も経験に由来する感情ですが、これらには当てはまらないような感情が、7の意味です。

【例文】

  • 勧善懲悪のストーリーで、悪人がやっつけられると胸がすく思いがする。
  • 合コンで、あいつだけモテていい思いをしていたと、友人がぼやいていた。

8の意味「気にかける・心配する」

誰かに対する気遣い、ある対象への心配と言い換えられるのが8です。たとえば、親への気遣いを忘れず、大切にすることを「親思い」と言いますね。この場合の「思い」もこれに該当します。

【例文】

  • 彼は、病弱の妻のことを何かと気にかける妻思いの夫だ。
  • ニュースで報じられる被災地の人たちのことを考え、悲しい思いに沈んだ。

「思い」の別の表記(想い・念い・懐い・憶い)

「おもい」の表記には、「思い」のほかに「想い・念い・懐い・憶い」などがあります。これらをどう使い分けていったら良いでしょうか?それには、「思う」の使い分けについての文化庁の見解が参考になります。

心にイメージを思い浮かべる場合は「想う」懐かしく思うのは「懐う」、忘れないで思うのは「憶う」などと使い分ける方法もあるかもしれませんが、基本的な意味は「思う」で表すことができます。

これは、文化庁で『公用文作成の要領』を作る際の検討過程で作られた報告書の素案に掲載されているものです。なお、「念う」は古典の用法ですので、現代で使われることはほとんどありません。

「思い」の類語

「気持ち」

「気持ち」は、物事に接したときに心の中に起こる気分や感情のことです。「思い」とほとんど同じ意味ですので、上記の「思い」の例文の多くは、「気持ち」と置き換えることができます。

【例文】

  • 先生にテストの点が良かったことを褒められて、いい気持ちになった。
  • 地震で家がミシミシと大きく揺れたので、生きている気持ちがしなかった。

「意思/意志」

「意思(いし)」は、ある物事をしようする考えや思い。「意志(いし)」は、どうあってもこれをしようとする積極的な考えや思いという意味です。もっぱら1の意味の「思い」の類語と言えるでしょう。

【例文】

  • 大学に進学するどうかは、本人の意思に任せている。
  • 彼女はとても意志の強い人で、子供のころからの夢をかなえた。

「心持ち/心持」

心持ち/心持(こころもち)」には、物事に対して抱く感情や気分という意味があります。ただし、「思い」が、心を働かせるという行動とその内容の両方を表すのに対し、「心持ち」が指すのは内容だけです。

なお、「心持ち」には、「気立て心がけ」、あるいは、副詞的に「やや。少しだけ」(例:心持ち小さい)といった意味もあります。

【例文】

  • 久しぶりに温泉に浸かってのんびりした心持ちになった。
  • 子供が生まれて、親の心持ちが少しわかるようになった。


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