「勧善懲悪」とは?~善を勧め、悪を懲らしめる~
「水戸黄門」や「遠山の金さん」をご覧になったことはありますか?それぞれ主人公は町人などの一般人に扮しているのですが、そこで関わった「善人」(悪者に抗うことのできない弱者)を「悪人」から助けるというお話が主だったものです。ここで重要なことは、「善人」には、慈悲を施して励まし(慈悲と励ましで良い行いを奨励する)、「悪人」は、懲らしめるという構図です。これが、「勧善懲悪(かんぜんちょうあく)」です。
「勧善懲悪」の意味
善いことは奨励し、悪いことには罰則を
「勧善懲悪」という語を「勧善」と「懲悪」の二つの語に分けてみます。①「勧善」は、「善を勧める」という意味で、「善い行いをするように働きかける」となります。②「懲悪」は、「悪を懲らしめる」という意味で、「悪い行いをする者は懲らしめる」となります。この二つの意味が組み合わさり「善良な行いを奨励して、悪い行いをする者は懲らしめること」という意味が「勧善懲悪」の意味です。
「勧善懲悪」の語源
今から、約2500年前の中国の春秋時代、孔子が編纂したと言われている年代記である「春秋」の解説書である「春秋左氏伝」に「勧善懲悪」に関する記載があります。現代語に直すと次のようになります。
孔子による「春秋」の記載方法が優れていることを称えている文章です。2500年以上も前から「勧善懲悪」の認識が人々の中にあったということは驚くべきことです。参考までに、2500年前の日本はというと、稲作が始まった弥生時代です。(中国の歴史が深いということが改めて実感させられますね!)
日本では、約1400年前の飛鳥時代に、聖徳太子が「十七条の憲法」の第六条で「懲悪勧善、古之良典」と触れています。「悪を懲らしめて、善い行いを推奨するのは、古くからの良いしきたりである」という意味で、日本でも昔から「勧善懲悪」の考え方が存在したようです。
「勧善懲悪」の使い方
①「『勧善懲悪』でわが社も進めていかなければ、将来危機的状況に陥るだろう。」と社長が言ったとしましょう。その場合、「会社内で不正のない、誠実に働く者が評価される」会社にしよう!という意味で使われています。
②「A社の姑息で卑怯なやり口は、『勧善懲悪』の世界で成り立つこの業界では自然淘汰されるよ。だから、私たちは気にせず今まで通りやれば大丈夫だよ。」同僚と、同業界の会社A社の批判をしているわけですが、「悪い行いをしている」会社は懲らしめられ、「健全に成り立っている」自分たちの会社のやり方をそのまま続けよう!という会話ですね。
「勧善懲悪」まとめ
冒頭にも触れましたように、「善悪」の構図がはっきりしているものは、とても分かりやすいものです。何世代にも渡って日本には、仮面ライダーやウルトラマン、戦隊ヒーローたちが活躍しています。なぜ、ずっと続いているのかということも、この「勧善懲悪」の考え方が古くからあり、単純で分かりやすいという点が理由だということが頷けますね。「勧善懲悪」という難しいようで、意外と非常に分かりやすい四字熟語の説明でした。