「意気揚々」とは
「意気揚々(いきようよう)」は、中国の歴史書である『史記』のなかに起源があります(詳細は後述)。
「意気揚々」の意味は、得意で誇りに満ちたさま、得意げで威勢のよいさまです。
「意気揚々」は、鼻高々な人の様子を表現するのに使われやすい熟語といえます。スポーツやコンクールをはじめ、容易くないことに挑戦して良い結果を得たときなどの人の言動・態度に見られがちです。
「意気揚々」の例文
- 国際大会で初優勝したアスリートは、意気揚々と日本に凱旋した。
- 刺繍コンテストで大賞をとった後、姉は意気揚々に念願の個展を開催した。
- 知人に近況を尋ねたら、息子が最難関大学に合格したことを意気揚々と話し始めた。
- 重役室から出てきた先輩が意気揚々と歩いていたのは、社費留学が決まったからだった。
「意気揚々と話す」や「意気揚々と歩く」は、よく使われる言い回しです。
「意気揚々」の類語
「意気揚々」と同じような意味となる言葉で、四字熟語を紹介します。
【意気軒昂(いきけんこう)】(「意気軒高」とも書く)
- 意味:意気込みが盛んであるさま。
- 例文:アルバイトにきた意気軒昂な青年の姿に、雇い主は目を細めた。
【意気衝天(いきしょうてん)】
- 意味:意気込みが天を衝くほど盛んなこと、とても元気なこと。
- 例文:新入社員は、意気衝天の勢いで初めての営業に出かけて行った。
【意気昂然(いきこうぜん)】
- 意味:意気込みが盛んな様子。
- 例文:昨日、同期が意気昂然として海外の赴任地に向かった。
【得意満面(とくいまんめん)】
- 意味:誇らしげな様子が顔じゅうにあらわれること。
- 例文:運動会のかけっこで一等賞をとった子供は、得意満面で両親に手を振った。
「意気揚々」の対義語・反対の意味に近い言葉
「意気揚々」の反対の意味もしくは反対の意味に近い言葉で、四字熟語を挙げてみます。
【意気消沈(いきしょうちん)】
- 意味:元気をなくして沈むこと、意気ごみがなくなりしょげること。
- 例文:今度こそはと思っていた資格試験に落ちて、弟は意気消沈していた。
【意気阻喪(いきそそう)】
- 意味:物事にとりくむ気力を失ってしまうこと、気力がくじけ元気がなくなること。
- 例文:実験結果が失敗の連続で、メンバーだれもが意気阻喪してきた。
【垂頭喪気(すいとうそうき)】
- 意味:元気をなくしてがっかりすること、元気がなくて落ち込んでいること。
- 例文:外出先で大事にしていた物を落としてしまい、妹は垂頭喪気で家に戻った。
【灰心喪気(かいしんそうき)】
- 意味:気を落として元気をなくすこと。
- 例文:愛犬をなくして、友人はすっかり灰心喪気していた。
「意気揚々」の英語表現
文脈により、「意気揚々」を表すことができる英単語が異なるため、「意気揚々」の英語表現の一部をご紹介します。
【elated】高揚した、大得意の
- 例文:She was elated with the results.
- 訳文:彼女はその結果に意気揚々としていた。
【in high spirits】上機嫌で
- 例文:You came home in high spirits.
- 訳文:あなたは意気揚々と帰宅した。
【triumphantly】勝ち誇って、大得意で
- 例文:The troops advanced triumphantly.
- 訳文:軍隊は意気揚々と進軍した。
【triumphant】勝ち誇った
- 例文:He is speaking in triumphant tones.
- 訳文:彼は意気揚々とした口調で話している。
triumphantlyとtriumphantのように、同じ単語でも文脈により副詞と形容詞で使い分ける場合があります。
「意気揚々」を使用したネーミングなど
いろいろな場面で「意気揚々」という言葉が使われていますので、その一部を挙げてみましょう。
HIPPYの楽曲「意気揚々」
シンガーソングライターのHIPPY(ヒッピー)さんの楽曲に「意気揚々」があります。『ほっともっとHottoMotto』のCMとのタイアップ曲です。
歌詞の一部に「~おはよう今日を生きようよ おはよう今日も意気揚々~」とあり、「意気揚々」と「生きようよ」を掛けて、元気を与えてくれる楽曲として人気のようです。
パワプロの「意気揚々」
株式会社コナミデジタルエンタテインメントが製造する野球ゲームに、『実況パワフルプロ野球』シリーズがあり、「パワプロ」という略称で親しまれています。
パワプロに登場する特殊能力のひとつが「意気揚々」。3アウト目を三振でとったさい、次の回で能力が大幅にアップするという効果があります。
「意気揚々」のはじまり・由来
中国の『史記』のなかに「管晏列伝」として、「晏子之御(あんしのぎょ)」という話があります。この話のなかに書かれた「意気揚々」が初出です。以下が、話の概略です。
「晏子之御/晏子の御(あんしのぎょ)」概略
斉の宰相である晏嬰(あんえい、敬称として「晏子」)に仕える御者(ぎょしゃ)。その妻が夫の様子をうかがうと、夫は宰相の立派な馬車に大きな傘をさし四頭の馬に鞭をあてて、意気揚々、はなはだ得意げでした。
御者の妻は夫に離婚を申し出ました。晏嬰は謙虚な人物なのに、夫がその姿勢に反していたために、その態度をたしなめたのです。その後、御者は態度をあらため自制します。
その態度の変化に気づいた晏嬰が理由をたずね、わけを知ると、晏嬰はその御者を大夫(少し上の職)に推薦しました。
解説と補足
この概略の通り、身分の高い人に仕え豪華な馬車を扱うことで、気分を高揚させた御者の様子を「意気揚々」と表現したのがこの言葉のはじまりです。
「晏子之御」という言葉は、他人の権威や威光によりかかり得意になること、そのような小人物のたとえを表しています。「意気揚々」とともに、「晏子之御」の戒めも覚えておくといいでしょう。