「覚束ない」の意味
「覚束ない」(おぼつかない)には、以下の意味があります。
- 物事がはっきりしない状態または、それに対する不安・不満の感情を表す語
- 意味がはっきりしない。不明確だ。あやふやである。
- きがかりだ。不安だ。頼りない。
- うまく運ぶかどうか疑わしい。
- 疎遠である。音信不通である。
古い日本語では「おほつかなし」と用いていましたが、現在では「おぼつかない」と表記します。「覚束」は当て字ですが、漢字表記として認められていますので、「覚束ない」と書いても問題ありません。
「覚束ない」の使い方
「覚束ない」は、実にさまざまな意味を持つ言葉です。文脈を読み取って、どの意味が当てはまるのかを解釈する必要があります。たとえば、「足取りが覚束ない」という表現なら、それは「足がうまく運ぶかどうか不安」と解することができます。
例文
- 横断歩道の向こうから足取りの覚束ないおばあさんが歩いてきた。渡りきれないと危ないと感じた私は、おばあさんの所へ駆け寄った。
- 格下相手に余裕だと高を括っていたが、試合は一進一退の攻防になっている。これでは試合結果は覚束ないものになった。
- 彼女と連絡が覚束なくなってから早1年、偶然街中で見かけた彼女はまるで別人のように派手になっていた。
- 彼が渡したノートを返してくれるかわからないため、覚束ない。
「覚束ない」の類語
「心許ない」
「心許ない」は、「こころもとない」と読みます。以下のような意味を持ちます。
- 待ち遠しくてこころがいらいらしている。
- 物足りず、不満に思われる。また、不安である。気づかわしい。
- おぼつかない。あるかないかの程度である。
頼りなく、不安な気持ちを表す点、また、それが不確かなさまである点において「覚束ない」の類語と言えるでしょう。
【例文】
- 大学受験を控えた大事な高校3年生になったが、担任が新しくA先生に変わった。正直この先生では心許ない。
- 漂流から一週間が経ち、水も食料も心許なくなってしまった。
- バンジージャンプに初挑戦することになり、楽しみで仕方なかったが、いざジャンプするとなると命綱がとても心許なく見えてきた。
「曖昧」
「曖昧」は、「あいまい」と読みます。以下のような意味を持ちます。
- はっきりしないこと。
- まぎらわしく、確かでないこと。
「曖昧模糊」という四字熟語は、「物事がぼんやりしていて、はっきりしないさま」を指します。こちらは、より「覚束ない」に近い言葉と言えるでしょう。
【例文】
- 参考資料が正しいものか曖昧なまま作業を進めたため、後々資料の間違いが発覚した時は大変な目にあった。
- 彼女との関係を曖昧にしていたため、彼女はしびれを切らして私の元から去っていった。
- 塩を入れたかどうかが曖昧になったので追加したら、ものすごく辛い肉じゃがが出来てしまった。
- 僕の曖昧な判断が、グループ全員を危険にさらす結果になってしまった。
「朧気」
「朧気」は「おぼろげ」と読み、以下の意味を持ちます。
- はっきりしないさま。ぼんやり。
- 通りいっぺん。いい加減。
江戸時代初期までは「おぼろけ」と読まれていました。「ぼんやりとしてはっきりしないさま」はまさしく「覚束ない」と同じ意と言えます。
【例文】
- 朧気な記憶を頼りに、小さい頃遊んだ場所を訪れている。
- 外が真っ暗だったため、犯人の顔は朧気にしか覚えていない。
- 会議の内容を朧気に説明されたため、正直理解できなかった。