「心許ない」とは?意味や使い方を類語を含めてご紹介

「心許ない」は、その語源を古文にさかのぼる、昔から使われている日本語のひとつです。漢字では読みづらいかもしれませんが、(こころもとない)と発語されれば、たいていの人はその意味がわかることでしょう。今回は「心許ない」の意味と使い方を類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「心許ない」とは?
  2. 「心許ない」の使い方
  3. 「心許ない」の類語

「心許ない」とは?

「心許ない」は、(こころもとない)と読みます。語源を古文にさかのぼる、長く使われてきた言葉です。

「心許ない」の意味は、大きく分けて三つあります。次に紹介する三つのうち、現代日本語で用いられている意味は、ほぼ一番目のものです。3番目の意味は、古語では頻出しますが、現代ではほとんど使われていません。

  1. 頼りなく感じて不安なこと、気がかりなこと、心が落ち着かない様子
  2. ぼんやりとしてはっきりしないこと
  3. 待ち遠しい、じれったいイライラするさま、もどかしいさま。

不安にはさまざまな段階があります。なにか大きな困難にあって苛まれる不安は、強く大きなものでしょう。

「心許ない」が表す不安感には、なんとなく、ぼんやりと、というニュアンスがあります。強烈ではないけれど、誰を頼ることもできない、心落ち着かない不安、みなさんにも経験がありますよね。

「心許ない」の使い方

現代日本語でもっとも用いられる1番目の意味の「心許ない」は、上述したように、はっきりとした原因や困難による、具体的な不安ではないことがほとんどです。

「心許ない」の文例

  • ニューヨークに短期留学した智子さんは、日本人の知人が1人もいない心許なさで、わずか1か月でホームシックになってしまった。
  • 新製品の説明で先輩と共に顧客を訪問する予定だったが、先輩が急病となり、1人で行くことになった。初めて会う顧客なので、心許ないことこの上ない。
  • 1人旅でシーズンオフの湖畔の宿に泊まったが、あまりににぎわいがなく、心許なかった。

「心許ない」の類語

「覚束ない」の意味と使い方

覚束ない(おぼつかない)は、多くの意味を持つ言葉ですが、次の2つの意味において「心許ない」の類語たりえます。

  1. 対象の状況が不確かで、気がかりなこと、不安や心細さ、頼りなさ、もどかしさを覚えること
  2. 物事がうまくいきそうにないこと、しっかりしていないこと、疑わしく不確かなこと

「心許ない」よりも、対象の状況の不確かさや疑わしさに重点がおかれています。その状況における「覚束ない」感情であることに留意しましょう。

文例①】志望校の偏差値が上がってしまったのに反し、自分の模試の偏差値は下がる一方。これでは合格が覚束ない。
文例②】祖父の記憶は年々覚束なくなっているため、さまざまな話をなるべく聞いておこうと思っている。

「心細い」の意味と使い方

心細い(こころぼそい)は、次の2つの意味をもつ言葉です。①頼るものがなくて、不安であるさま②ものさびしいさま。

①の意味の「心細い」が、「心許ない」の頼りなく感じて不安なこと、という意味においての類語たりえます。

【文例】新入社員研修のときは社会人気分で高揚していたが、所属部署に配属されたとたん、心細いのと緊張で胃が痛くなった。

「頼りない」の意味と使い方

頼りないは、①頼りにならない、あてにならない心細く不安、という意味をもつ言葉です。この2つの意味とも、「心許ない」の類語といえます。

①の意味においては、「心許ない」よりも、頼ることができない情けなさが強いといえましょう。夫が「心許ない」と表現される場合、(しっかりしているとは言い難く、どうも不安)くらいの感覚です。

いっぽう夫が「頼りない」とされるのは、もはや(しっかりとしておらず、あてにならない)と、はっきりした失望のニュアンスがあります。

【文例】子どもの小学校で授業参観があったが、娘の担任の教師は保護者を前に緊張で声が震えてしまい、頼りない印象が残った。

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