「老い先短い」とは?
「老い先短い」(おいさきみじかい)とは、「年をとった人の、これからの余生が短い」、「老いたために残された時間が少ない」という意味の言葉です。
「老い先」と「短い」が合わさった言葉であり、「老い先」単独や、「老い先長い」といった言い方はあまりされず、一連の慣用表現として「老い先短い」という言い回しがよく知られています。
「老い先短い」の使い方
「老い先短い」という言葉は、言葉通りに「余生が短い老人」を指して使います。老いた人間の余生が短いことは客観的な事実であるため、小説などの表現の世界であれば単純に老人の形容として使用可能です。
主な使用の形としては、「老い先短い老人」「老い先短い身体」「老い先短いのに~」などです。
他人に使う場合
現実世界で面と向かって誰かに「あなたは老い先短い」と言うと、「あなたはそのうち死ぬ」と言っているに等しいため、失礼にあたる可能性があります。
単に事実として「老い先短いんだから無理をしないで」といった言い方も可能ではあるものの、相手が不快に感じる可能性を考え、使う相手や使用場面は見極めたほうがよいでしょう。
自分に使う場合
自分自身について「老い先短い私が…」と使うこともできます。この場合は、謙遜や遠慮、自虐などの文脈で使われることが多いのですが、自己の老いに対する失意や不安などの感情が含まれることもあります。
長寿が貴(たっと)ばれる昨今の社会では、「老い先短い」という言葉を使った人に対して、「そんな言葉を使わないで」「まだまだ元気じゃないですか」といった言葉が返答として用いられることも少なくありません。
例文
- 目抜き通りを少し歩くと、学帽をかぶった少年少女から、杖をついた老い先短い老人まで、たくさんの人々を見かけることができた。
- 「老い先短いのに、そんなにお金を貯め込んでどうするんですか」という青年の言葉に、老人は「私はあと百年生きるつもりだ」と息巻いた。
- 老い先短いわしのことなど気にしないでくれ、子どももいないし好きに余生を生きるだけさ、と老人は語った。
「老い先短い」の成り立ち
「老い先短い」の成り立ちは、「生い先」(おいさき:成長して行く末、将来)という言葉が「老い先」に変化したものとされています。
「生い先」には「生い先がある」「生い先が長い」「生い先が期待できる」「生い先の見込みがある」といったポジティブな言い回しがある一方で、「老い先」と同様に「生い先が短い」という表現もあります。
ただ、「老い先短い」が老人にのみ使うのに対し、「生い先短い」は老人でなくても命が短いといえる者にも使えることを覚えておきましょう。
例文
- 隣の家に引っ越してきた少女は、まだ五歳ではあるものの目鼻立ちがたいへん美しく、生い先に期待大だ。
- 追い詰められた兵士たちは、自分たちの生い先が短いことを悟っていた。
「老い先短い」を英語で言うと?
「老い先短い」を英語で言いたい場合は、以下のような表現を用いましょう。
- short-lived old age
- not have many more years to live
「老い先短い」そのものを言い表そうとするより、「because~」や「for my~」などの表現を用いて「老齢だから〇〇だ(〇〇できない)」というニュアンスの文章を作ることを意識しましょう。
例文
- It hurts to have my own parents tell, "Don't worry about my short-lived old age." I want him to live a long time.(自分の両親に「老い先短い私のことなど気にするな」と言われるのはつらい。もっと長生きしてほしい)