「曖昧」とは
「曖昧(あいまい)」とは、「はっきりしないさま」「あやふやなさま」を表す言葉です。「曖」という漢字には、「薄暗い」「はっきりしない」という意味があります。また、「昧」も「暗いさま」を表し、「はっきりと見分けられない」という意味があります。
どちらも訓読みでは「くらい」と読みます。また、暗くて不確かだという意味から、「いかがわしく怪しいこと」も表します。
「曖昧」の例文と使い方
- 海と空の境界か曖昧で、溶け合っているような青さだ。
- 彼の曖昧な返事に腹が立った。
- やるかやらないか、曖昧な態度ではけじめがつかない。
1の例文では、「色」がぼやけているさまを表しています。一方、2と3の例文は、「その人の言動」を表しています。特にビジネスの現場では、「曖昧」な言葉や態度は、相手に不快な思いをさせてしまうこともあります。どっちつかずではなく、はっきりと丁寧に自分の意見を伝えましょう。
「曖昧」の類語
「曖昧」と同じ意味の言葉に、「あやふや」と「うやむや」があります。この二つは、意味は同じでも場面によって使い分ける必要があります。その違いをご説明します。
あやふや
「あやふや」は「意図せず曖昧なこと」を表します。例えば、「昨日は飲み過ぎて記憶があやふやだ」「去年のことだからあやふやにしか覚えていない」などと使います。
うやむや
一方、「うやむや」は、「意図的に曖昧にする」という意味があります。例えば、「発言をうやむやにしてごまかした」「誰の責任かはうやむやなまま話し合いが終わった」などと使います。後ろめたいことがあり、保身のために使うことが多い表現です。
「曖昧」の対義語
明確・明瞭
「明確」は、「はっきりとしていて間違いのないさま」を表します。「明」には、「はっきりする」「あきらかにする」という意味があります。また、「明瞭」は、「言葉や事柄などがはっきりしていて、曖昧な点が全くないこと」を表します。
つまびらか
漢字で表すと、「詳らか」や「審らか」になります。意味は、「細かく詳しいさま」です。「委細」や「詳細」ともいいます。
「詳」は「くわしいさま」、「審」は「わからないものを明らかにするさま」という意味があります。使用例は、「原因をつまびらかにする」「真相はつまびらかでない」などです。
「曖昧」が含まれる言葉
曖昧模糊(あいまいもこ)
「ぼんやりとしていて紛らわしく、物事の本質や実態がはっきりしない様子」を表す四字熟語です。「模糊」は「はっきり見えない」という意味があります。「曖昧」も「模糊」も同じ意味を持つため、その二つを重ねることで、より意味が強調されるのです。
また、「曖昧模糊」は口語で使われることはほぼありません。「事件の真相は曖昧模糊のままだ」「彼の発言は曖昧模糊で困惑してしまった」など、文章での表現として使われます。
曖昧屋
「表向きは旅館や料理屋などに見せかけて、実際は売春を行う店」を表します。「曖昧宿」や「曖昧茶屋」ともいいます。
明治時代、非合法ではありますが、売春は暗黙の了解で行われていました。「曖昧屋」は、その売春とは少々違った扱いでした。あくまでも普通の店を装い、そこで働く女性は「曖昧女」と呼ばれていました。対象とする客や具体的な業態は、秘密として「曖昧」にされていたようです。
「曖昧」の英語表現
- vague:漠然とした、はっきりとしない、ぼんやりとした
- ambiguous:多義の、不明瞭な
- obscure :はっきりとしない、人目につかない、薄暗い
これらの単語で「曖昧」を表現することができます。また、反対に「はっきりとしている」と表す場合は、「clear-cut 」や「to the point 」などを使います。