「心持ち」とは?
「心持ち」は、(こころもち)と読みます。名詞と副詞という2つの使い方がありますが、それぞれの意味がかなり異なりますので、混同して誤用しないようにしましょう。
【名詞での意味】
- 心の持ち方や、心がけ、気だて。
- なにかをされたりなど、物事から影響を受ける心のさま、気持ち。
- 生理的な心の調子、具合や気分。
- 能楽などの場面での心のありよう。
【副詞での意味】
程度がごくわずかであること、ほんの少しだけ、ちょっと、いくらか。
名詞の「心持ち」の使い方
名詞の「心持ち」は、それぞれに「心の様子」というニュアンスが共通していますから、その中のどの意味で用いているか見極める必要があります。
「何かに対し、自身の内側から起こる気持ち」を表す場合は、心持ちを整える、心持ちを変える、心持ちによって、心持ち次第、といった言い回しが用いられるでしょう。
その他の「心持ち」の定型的な使い方としては、~という心持ち、~のような心持ち、心持ちは~、などが挙げられます。この場合は「他の影響を受けて変化する気持ち」を表すこともあります。
文例
- 落ち込んでいた時に友人たちから励ましを受け、立ち直ろうという心持ちになれた。
- 家にこもっていると、まるで陸の孤島にいるような心持ちになることがある。
- SNSでバッシングを受けた人の心持ちは、それぞれの性格によってかなり異なるのだろう。
- 失敗を恐れるのではなく、失敗は人生の新しい扉だと心持ちを変えるだけで、前向きになれる。
- 心持ち次第で、あなたは幸せにも不幸せにもなる。
- あんな心持ちのよいお嬢さんが、息子の嫁になってくれたらなあ。
副詞の「心持ち」の使い方
副詞の「心持ち」は、少々あらたまったニュアンスも感じられるでしょう。少しだけ、ちょっとだけ、などの言葉で置き換えることができますが、これらよりも丁寧な印象です。ビジネスシーンで、あるいは目上の人へ用いても問題ないでしょう。
反面、「心持ち」をはじめ、少し、ちょっとという言葉は、やや曖昧さを感じることもあります。スピード感を求められる場面には、あまり向かないかもしれません。
文例
- 心持ち、目線を上へ向けていただけますでしょうか。
- 心持ち深く腰掛けていただきますと、このソファの座り心地はさらによくなります。
「心持ち」の類語
「気持ち」の意味と使い方
「気持ち」は、多義的な言葉ですが、「心持ち」と同様に、名詞は基本的に心の様子をあらわし、副詞は「ほんのすこし、わずか」の意味で用いられます。
【意味】
- 物事に接して心にいだく感情、考え方。
- ある物事に接して生じる心の様子、気分。
- 物事に対しての心の持ち方。
- 生理的な快・不快。
- 相手への感謝や慶弔の意。
- (副詞)ほんのわずか。
意味5のみは、「心持ち」にはない意味です。なにか贈り物などをする際に、謙遜として「ほんの気持ちです」のように用います。
【文例】
- 第一希望の入試日直前に風邪をひいたが、逆に頑張ろうという気持ちが高まった。
- 愚痴や陰口が好きな人と話していると、なんとも嫌な気持ちになる。
- 気持ち、あごを引いてください。