「刮目」とは?意味や使い方をご紹介

「刮目(かつもく)」という言葉をご存じでしょうか。そもそも「刮」という漢字自体に馴染みがなく、読み方も難しいかもしれませんね。「刮目して見る」という慣用句などで使われていますが、この記事では「刮目」について、意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「刮目」とは
  2. 「刮目」の使い方
  3. 「刮目」の由来
  4. 「刮目」の類語

「刮目」とは

「刮目(かつもく)」とは、目をこすってしっかりと対象を見ること、様々な角度から物事を観察することを意味します。「目をこすって見る」という意味には、思い込みや偏見に惑わされることなく、新鮮な視点、初心の目で物事を見直すという含意があります。

「刮」という漢字は、音読み「カツ」、訓読み「けず-る。こす-る。こそ-げる」と読み、けずる、そぐ、こするといった意味があります。

「刮目」の同義語

「刮目」と同義の言葉に「刮眼」があります。「目」と「眼」は同じで、ものを見るということから、「刮眼」という言葉もありますが、「刮目」よりも使用されることが少なく、掲載している辞書もあまりありません。

「刮目」の使い方

人は、自分の知識経験で物事を判断しがちです。そうするとどうしても思い込みや偏見で物事を見てしまうことになりかねません。そのような時に使う「刮目」ですが、他者から窘(たしな)められたり、注意命令をされるような場合に使うことが多い言葉です。

また、斬新なアイデアや創造を超えた物事に対しても、それまでとは異なった視点や考え方に注目するといった意味で「刮目」を使います。しかし、「刮目」は死語になっているという人もあり、現代ではあまり使われることのない言葉の一つと言うことができます。

【例文】

  • 学生時代は地味でパッとしなかった彼女が、卒業後、ヨーロッパで修行して、今では刮目すべき大型新人モデルとしてファッション誌を飾っている。
  • 過去の失敗を糧にして巻き返した彼の血のにじむような努力と功績に刮目しなさい。
  • 新規オープンしたレストランは口コミ評価が高かったが、刮目するほどの味も目新しさもなかった。
  • A社から発売した新車には刮目に値する新技術が多数盛り込まれていた。

「刮目」の由来

「刮目」の由来は、中国の『三国志』の故事にあります。三国時代、呉の呂蒙(りょもう)は、武勇に優れた武将でしたが、無学だったため、主君の孫権から学問の大切さを諭されて勉学に励みました。

その後、同じ呉の文武両道の武将魯肅(ろしゅく)が、蜀の武将関羽討伐について呂蒙と議論をした際、呂蒙の学問の進歩の速さに驚き、以下のような言葉を発します。
 

原文:士別三日、即更刮目相待
読み:士別(わか)るること三日、即ち更に刮目して相待て
訳文:立派な男子は別れて三日もたてば、刮目してその進歩をよく見なくてはならない

この故事から、人や物事の成長や進歩、変化を期待して待ち望む、また、従来とは違った目で相手を見ることを意味する「刮目相待(かつもくそうたい)」という四字熟語も生まれています。「相対」は、相手を待つことです。

「刮目」の類語

「注目」

「注目(ちゅうもく)」は、特定の物事に注意を向けたり、よく見ることや、関心のある物事を注意して見守ることです。視点を変えて様々な方向から物事を見たり、観察するという意味はありませんが、しっかり見る、観察するという点で「刮目」の類語と言えます。

【例文】

  • ○○製薬が開発した新薬の効果に世界中の人々が注目している。
  • 今年最も注目すべき出来事は、感染症の世界的な蔓延だろう。

「観察」

「観察(かんさつ)」は、物事のあり様をしっかり注意を払って見ることで、その変化や事情を理解しようとしたり、見極めることです。注意を払うという点には、様子をじっとありのまま見ているだけでなく、いろいろな角度から見ることも含みます。

また、正しく観察するためには先入観などを排除する必要もありますから、「刮目」の類語と言えます。

【例文】

  • 彼は、雲の変化を観察して天気を言い当てることができる。
  • 人間観察が私の趣味です。


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