「危惧」とは?意味や使い方を分かりやすく解説

ニュースなどで「絶滅危惧種」という言葉を耳にしたことはありませんか?この「危惧」という言葉、日常会話ではあまり使わないかもしれませんが、実は私たちの生活に深く関わる重要な感情を表しています。将来に対する不安や心配をどう表現すれば良いのか、この言葉の意味を知ることでより豊かなコミュニケーションができるようになります。

危惧とは?危惧の意味

将来に対して不安を感じ、心配したり恐れたりする気持ちを表す言葉です。

危惧の説明

「危惧」は「きぐ」と読み、未来に対する漠然とした不安や懸念を意味します。「危」は危険や危機を、「惧」は恐れるという意味を持ち、二つが組み合わさることで「危険を恐れる」というニュアンスになります。特に、環境問題や健康状態、社会情勢など、不確実な未来に対して抱く感情を表現する際に用いられます。例えば、地球温暖化の進行や自然災害の発生可能性について話す時など、深刻な問題に対する心配事を伝えるのに適した言葉です。

将来を考える時に感じる不安を、一言で的確に表現できる素敵な言葉ですね。

危惧の由来・語源

「危惧」の語源は古代中国に遡ります。「危」は崖の上で人がひざまずいている様子を表し、「危険」や「不安定」を意味します。「惧」は「恐れる」という意味の漢字で、もともとは「瞿」という字が変化したもの。目を大きく見開いておびえる様子を表現しており、この二字が組み合わさることで「危険を恐れる心情」という深い意味を持つようになりました。もともとは「危懼」と書かれていましたが、日本では略字の「惧」が一般的に使用されるようになりました。

未来への不安をこんなに美しく表現できる言葉、日本語の豊かさを感じますね。

危惧の豆知識

「絶滅危惧種」という言葉が環境保護の文脈でよく使われますが、実は「危惧」には3段階の深刻度があります。もっとも絶滅の危険性が高い「絶滅危惧IA類」、近い将来絶滅の危険性が高い「絶滅危惧IB類」、そして絶滅の危険が増大している「絶滅危惧II類」に分類されます。また、ビジネスシーンでは「懸念」よりも「危惧」の方がより深刻な心配事を表現する場合が多く、使い分けに注意が必要です。

危惧のエピソード・逸話

ノーベル賞受賞者の山中伸弥教授は、iPS細胞研究の過程で多くの困難に直面しました。特に研究初期には「この研究が本当に実用化できるのか」という強い危惧を抱えていたとインタビューで語っています。資金不足や実験の失敗が続く中、周囲からは研究の中止を勧められることもありましたが、その危惧をバネにさらに研究を深化させ、画期的な発見に至りました。また、小説家の村上春樹氏もエルサレム賞受賞スピーチで「高い堅固な壁と、それに当たって壊れる卵があるとき、私は常に卵側に立つ」と述べ、現代社会における個人の危惧に共感を示しました。

危惧の言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「危惧」は漢語由来の二字熟語で、和語では「おそれ」や「不安」に相当します。心理状態を表す抽象名詞として機能し、主に書き言葉や格式ばった場面で使用される傾向があります。現代日本語では「懸念」や「心配」との微妙なニュアンスの違いが重要で、「危惧」はより客観的で深刻度の高い懸念を表現します。また、動詞形として「危惧する」の他に、受身表現の「危惧される」がよく用いられ、不確実な未来に対する集団的な不安を表現する特徴があります。

危惧の例文

  • 1 明日のプレゼン、うまく話せるかどうか一抹の危惧を覚えるんだけど、みんなもそういうことある?
  • 2 子どもの将来を思うと、このままの教育で本当に大丈夫なのかと危惧してしまうのが親心というものですね。
  • 3 AIの急速な発展に、人間の仕事が奪われるのではないかと危惧する声が増えています。
  • 4 毎年この時期になると、インフルエンザが流行するのではないかと危惧して、うがい手洗いを徹底しています。
  • 5 老後の資金が足りるかどうか、漠然とした危惧を抱えながら毎日働いている社会人は多いはずです。

「危惧」と類語の使い分けポイント

「危惧」にはいくつかの類語がありますが、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。適切に使い分けることで、より正確に気持ちを伝えられるようになります。

言葉意味使用場面ニュアンス
危惧将来への漠然とした不安全体的な懸念客観的で深刻
懸念具体的な問題への心配ビジネス・公式文書分析的で具体的
不安個人的な心配事日常会話主観的で感情的
心配身近なことへの気がかりカジュアルな会話軽めのニュアンス

例えば、環境問題について話す時は「地球温暖化の進行を危惧する」、特定のプロジェクトのリスクについては「納期遅延を懸念する」というように使い分けると効果的です。

「危惧」を使用する際の注意点

  • 書き言葉としての使用が基本で、話し言葉では「心配」や「不安」の方が自然な場合が多い
  • 「危惧」はやや格式ばった表現なので、友人同士のカジュアルな会話では不自然に聞こえることがある
  • 受身形の「危惧される」は客観的事実を述べる時に適しており、主観的な意見を述べる時は「危惧する」を使う
  • 否定形で使う時は「危惧はない」よりも「懸念はない」の方がより自然な表現となる

言葉は使い方によって、単なる心配事から社会的な警鐘へと変わる力を持っています。

— 言語学者 金田一春彦

「危惧」に関連する興味深い表現

「危惧」にまつわる表現には、日本語の豊かさを感じさせるものがあります。特に四字熟語や慣用句では、深い心情を的確に表現しています。

  • 「杞憂(きゆう)」:必要のない心配や取り越し苦労を意味する
  • 「危惧の念」:格式ばった文章で使われる堅い表現
  • 「一抹の危惧」:ほんの少しだけど確かに感じる不安
  • 「危惧を抱く」:内心に不安を秘めている状態

これらの表現を使い分けることで、不安の程度や性質を細かく表現することができます。特に「一抹の危惧」は、多くの人が共感できる表現としてよく使われています。

よくある質問(FAQ)

「危惧」と「懸念」はどう違うのですか?

「危惧」は将来に対する漠然とした不安や恐れを表すのに対し、「懸念」はより具体的な問題点についての心配を指します。例えば、「環境破壊による影響を危惧する」は全体的な不安ですが、「特定の工場の排水が生態系に与える影響を懸念する」は具体的な問題についての心配です。

「危惧」は日常会話で使っても大丈夫ですか?

もちろん大丈夫です!特にビジネスシーンや真剣な議論の場では、「心配」よりも「危惧」を使うことで、より深刻で客観的なニュアンスを伝えることができます。ただし、友達同士のカジュアルな会話では「心配」の方が自然な場合もありますよ。

「危惧」を使った慣用句や決まり文句はありますか?

「一抹の危惧を覚える」という表現がよく使われます。これは「ほんの少しだけど、確かに不安を感じる」という意味で、多くの人が共感できる表現です。また、「危惧の念」という言い回しも格式ばった場面でよく用いられます。

「危惧」と「恐怖」の違いは何ですか?

「危惧」は将来に対する漠然とした不安や心配を表すのに対し、「恐怖」は現在直面している明確な危険に対する強い恐れを意味します。危惧は「もしかしたら悪いことが起きるかも」という予感、恐怖は「今まさに危険だ!」という直接的な感情の違いがあります。

「危惧」をポジティブな場面で使うことはできますか?

基本的に「危惧」はネガティブな文脈で使われる言葉ですが、「成功を危惧する」というように、良いことに対する不安として使うこともあります。例えば、「大きな成功の後には失敗が来るのでは」というような、逆説的な不安を表現する際に用いられることがあります。