「執着」とは?~心がとらわれること~
「執着」は「しゅうちゃく」や「しゅうじゃく」と読みます。もともとは仏教の用語です。意味は、「一つのことに心をとらわれて、そこから離れないこと」です。
「執着」の意味①~仏教の根本に関わる語?~
前述しましたように、「執着」という語は、仏教に関わる語ですが、仏教の根幹に関わってくる言葉でもあります。仏教はインドで2500年前にブッダが開いた宗教ですが、日本にも幅広く浸透しています。仏教において、「苦しみ」の原因が、この「執着」によるものだとされているので、「執着」心を捨てることが大切であるという考え方があります。
世の中は常に移り変わっていくものであるという考え方を「無常観」と言いますが、「無常」であるが故に、一つのことに「執着」して悩んでいても仕方ないという教えです。この「執着」を捨て、何事にもこだわらない、動じないという境地が仏教の最高峰の精神状態であるとされています。
「執着」の意味②~手かせを嵌められている?~
漢字の構成の視点から、「執着」を考えてみましょう。「執」という漢字の構成を象形文字で見てみると「幸」の一字は意外なことに、この漢字は「手錠」を表しています。そして、右側の「丸」は「人がひざまずく」象形文字となり、合わさると「ひざまずいて、手錠をつけられた人」という意味になります。そのようにイメージして漢字を見てみると、なんとなく「手錠をかけられた人」が見えてきませんか?ですから、「とらわれている」という意味になります。
ちなみに、「手錠」と聞くと非常に良くないイメージですが、「幸」の一字のみは、運よく「手錠」を外されたという意味になるそうなので、「幸せ」だという意味なるということです。
現代における「執着」~良い意味?悪い意味?~
ここまでは、「執着」の語源について触れてきましたが、悪いイメージだけが先行しがちですが、現代では、良い意味でも使われています。
「執着」の使い方~継続して努力すること~
「執着」とは、「一つの事に心がとらわれてしまうこと」と前述しましたが、発想を変えると、「一つのことにこだわることができる」ということです。
例)「もっと数字に『執着』して結果を出そうよ!」
と上司から檄が飛ばされるかもしれません。この場合の「執着」は「数字にこだわって」前向きに頑張ろうと言うプラスの意味で使われています。良い意味での「執着」は一つのことを「継続」して、「努力」するという意味が強く表れます。
「執着」の使い方~周りが見えなくなってしまう~
良い意味で使われるだけでなく、「執着」の本来の意味で使われることもたくさんあります。
例)「君は、一人の顧客に『執着』しすぎるから次の行動が遅くなりがちだよ。」
と上司からアドバイスを受けることがあるかもしれません。この場合の「執着」は一つのことにこだわりすぎてしまって周りや次のことが見えなくなってしまっている状態なので、本来の意味で使われています。
「執着」まとめ
このように、「執着」は良い意味でも悪い意味でもどちらでも使うことができます。「執着」心を持つ、持たないとその時々によって使いわけがされますが、その場面によって良い意味の時もあれば、悪い意味のときもあるということですね。ですから、一つのことにこだわって物事を継続して努力ができれば、皆さんの長所にもなりますし、逆に周りが見えなくなってしまうと短所にもなってしまうということですね。