「奈辺」の意味
「奈辺」(なへん)とは、「どのへん、どのあたり」という意味の言葉です。「那辺」と書かれることもあり、意味はまったく同じです。
「那」(ナ)の字は、「なに」「あの」「かの」など疑問・不定の意味を表し、「奈」の字は、音が同じであることから「那」と同義の字として置き換えられることがあります。
「辺」(ヘン)の字は、「周辺」「近辺」などの熟語に見られるように「あたり、ほとり」の意味でおなじみですね。「那・奈」+「辺」ですから、どこにあるかわからない不定の場所を指すわけです。
「奈辺」の使い方
「奈辺」(那辺)という言葉は、現代語として使うにはかなり大げさで芝居がかった響きがあるため、日常会話で「不定の場所」を表すには適しません。
ある物事や概念などが「どこにあるかわからない(どこにあるのだろう?)」というさまを、文語的に・大仰なニュアンスで表したい際に「奈辺」を用いるとよいでしょう。
よく見られる使用例としては、「奈辺にあるか」「奈辺に存ずる」「奈辺にありや」と言った形です。いずれも、「どこにあるか?」という不定・疑問の意味です。
例文
- 傍若無人なふるまいを繰り返す彼の真意が奈辺にあるのか、私にはもうわからない。
- 君の目的が奈辺にあろうとも、私はその手伝いをすることを誓おう。
- 人類が見上げている銀河系の奈辺で、ひっそりと新たな生命が萌芽しているかもしれないよ。
- この問題の原因が奈辺に存ずるか。いずれ明らかにしなければならない時が来るだろう。
「奈辺」の類語
「奈辺」の類語表現としては、以下のような言葉が挙げられます。
- いずこ
- どこ
- どのへん
- どこら
- どこいら
「いずこ」(何処)も少々文語的な表現ですが、「奈辺」ほどではありません。それ以外の言葉は口語的にくだけた調子で使っても問題ありません。