「懸念材料」の意味
「懸念材料」の意味は、「気がかりで心が落ち着かない心境にさせている原因となる物事」です。例えば、運動会を明日に控えた人は、天気予報が曇りだと気になって仕方ないですよね。もし雨が降って運動会が中止になったらと悪い予測をしてしまうわけです。
この場合、懸念材料は「天気」になるわけですが、天気を操作出来る人なんてこの世にいません。このように「懸念材料」とは、ある程度取り除くことは出来ても、完全に0にすることは難しいものです。
「懸念」とは
「懸念材料」の「懸念」とは、「気にかかって不安に思うこと。心配」という意味があります。また「懸念」は、仏教用語が語源となっており、「ある1つの対象に心を集中させること」「心がとらわれること。執念・執着」という意味も持っています。
「懸念」は、ビジネスシーンにおいて多用されますが、大抵は、「(悪い事が起きるかもしれないので)心配」というように、まだ起きてもいない事柄を予測して「かもしれない」と不安になる様子を表した言葉です。
「材料」とは
「材料」と言えば、最初に思い浮かぶのは「料理の材料」でしょうか。しかし、ここでの「材料」は、「研究材料・不安材料」で使われる方を指します。意味は、「研究や調査のために取り扱う資料・判断の元となるもの」です。
つまり、「懸念材料」とは、「〇〇かもしれないと心配になる判断の元となるもの」というニュアンスになります。
「懸念材料」の使い方
「懸念材料」の対象になるのは「モノ」だけではなく「人」も当てはまります。「人」を「モノ」扱いするのは好ましい事ではありませんが、現実には意外と使われています。
例文
- この物件は家賃が安く駅が近いという好条件なのだが、唯一の懸念材料はトイレが共同であることだ。
- 今回のグループワークは滞りなく進み、懸念材料であった彼も協力を惜しまなかったので高評価が期待できそうだ。
- 小さい子供を育てるにはこの街は適しているが、懸念材料として交通量の多さがある。
- 今から懸念材料と思われるものを取り除いて、なるべく完成度を上げておこう。
「懸念材料」の類語
「アキレス腱」
「アキレス腱」と言えば足のかかとの腱のことで、ギリシャ神話の不死身の英雄「アキレス」の唯一の弱点であったとされています。その事から「(強者の)唯一の弱点」という意味が「アキレス腱」にはあります。
一見「懸念材料」と繋がりは無いように思えますが、「懸念材料」とは人を気がかりな状態にさせる「弱点」と言い換えることが出来ます。例文で「懸念材料」を「(唯一の)弱点」に置き換えると意味が通ることが理解できます。
【例文】
- わがリレーチームは俊足揃いで優勝も狙えるが、バトンの受け渡しがアキレス腱になっている。
- グループのアキレス腱である彼は今日も顔を見せなかった。このままでは評価が下がってしまう。
- 前年度無敵を誇った彼女ではあるが、今年負った怪我がアキレス腱になっているようだ。
「心配の種」
「心配の種」とは、「心配事の元になっている物事。気がかりの原因」という意味があります。ここでいう「種」は種子の事ではなく「物事の原因」を指します。
他にも「頭痛の種」や「悩みの種」など色々なケースで用いられます。意味からも分かるように「懸念材料」とはとても近い言葉と言えます。
【例文】
- 私の心配の種は、彼が昨日貸したノートを忘れずに持ってくるかどうかにある。
- 子供が4人もいると誰かが何かをやらかしてしまうので心配の種は増える一方だ。
- 何とか心配の種を取り除こうと努力はしたが、ここが限界のようだ。
「一抹の不安」
「一抹(いちまつ)の不安」とは、「ごくわずかな不安があり、懸念が残ったさま」を指します。「一抹」とは「ひとはけ・いくらか・多少」という意味です。何となく悪いことを想定して少し不安になることは誰にでもあるのではないでしょうか。その状態を「一抹の不安」と呼びます。
【例文】
- 来週は待ちに待った結婚式だというのに一抹の不安を感じるのはなぜなのだろう。
- この先には失敗が待っているかもしれないという一抹の不安を消し去って前に進むことにした。
- 近所で強盗事件が起きたらしいので一抹の不安を感じている。