「知行合一」とは?意味や使い方をご紹介

「知行合一(ちこうごういつ)」とは、「知識」と「行為」は一体であるという考え方です。吉田松陰や西郷隆盛などが傾倒していた「陽明学」という学問の教えの一つで、多くの歴史上の人物に影響を与えました。この記事では、「知行合一」の意味や使い方を詳しくご紹介します。

目次

  1. 「知行合一」の意味
  2. 「知行合一」の由来
  3. 「知行合一」と吉田松陰
  4. 「知行合一」に影響を受けた歴史上の人物
  5. 「知行合一」の使い方
  6. 「知行合一」のまとめ

「知行合一」の意味

「知行合一(ちこうごういつ)」とは、「知識」と「行為」は一体であるという考えのことです。「知識」と「行為」は同一のものであり、「知識」には必ず「行為」が伴わなくてはなりません。なので「知行合一」は、「知識」として知っていてもそれを行わないのは、真の「知識」とは言えないと説いているのです。

「知行合一」の由来

「知行合一」は、中国・明の時代の儒学者・思想家・武将である王陽明(おうようめい)が起こした学問「陽明学(ようめいがく)」の命題の一つです。陽明学の入門書である『伝習録(でんしゅうろく)』に次のようにあります。
 

知是行的主意、
行是知的功夫、
知是行之始、
行是知之成。
 
知識は行為の目的であり、
行為は知識の実際の修業である、
知識は行為の始めであり、
行為は知識の完成である。

王陽明は、読書や机上の学問のみで理(ことわり)に達することはできない、仕事や日常生活の中で実践することで理を求めるべきだと提唱しました。

これは、「知」と「行」は同じ心の善悪是非の判断基準が作用した結果なので、「知」と「行」を切り離すことはできない。知っていて行わないのは、未だ知らないことと同じであり、知っている以上は必ず行いに表れるという考え方から来ています。

「知行合一」と吉田松陰

江戸時代末期の明治維新で活躍した幕末の志士たちの中には、「陽明学」や「知行合一」の考え方に触発された人物が多くいます。その中で最も有名な人物の一人が、2015年NHK大河ドラマ『花燃ゆ』の主人公の兄として一躍注目を浴びた、吉田松陰(よしだ しょういん)です。

吉田松陰は自身が立ち上げた松下村塾の掛け軸に「知行合一」を掲げており、その生き方もまさに「知行合一」そのもの。ペリーの黒船に乗り込んで海外への密航を企てたりするなど、自身の知識欲に忠実に行動し、当時の幕末志士たちに多大なる影響を与えました。

「知行合一」に影響を受けた歴史上の人物

吉田松陰以外に、「陽明学」やその教えである「知行合一」の考えに傾倒していた歴史上の人物には、次のような人たちがいます。
 

  • 高杉晋作(たかすぎ しんさく)/江戸時代末期の長州藩士。尊王攘夷の志士。奇兵隊を創設。
  • 西郷隆盛(さいごう たかもり)/江戸時代末期の薩摩藩士。薩長同盟・戊辰戦争・江戸城無血開城の立役者。西南戦争の際で自害。
  • 佐久間象山(さくま しょうざん)/吉田松陰・勝海舟・坂本龍馬などの師。思想家。
  • 大塩平八郎(おおしお へいはちろう)/大阪町奉行組与力。大塩平八郎の乱をおこした。
  • 岩崎弥太郎(いわさき やたろう)/三菱財閥の創設者。
  • 渋沢栄一(しぶさわ えいいち)/第一国立銀行(現 みずほ銀行)・東京証券取引所等の創設者。日本資本主義の父。
  • 東郷平八郎 (とうごう へいはちろう)/幕末から昭和初期までを生きた、元薩摩藩士で大日本帝国海軍軍人。
  • 富岡鉄斎(とみおか てっさい)/日本最後の 文人画家・儒学者。

「知行合一」の使い方

「知行合一」の使い方は、「知識」と「行動」は一体であるということを表現する時に使われます。例文を見てみましょう。
 

  • ハウツー本ばかり読んで知識を蓄えても、実行に移さなければ意味がない。「知行合一」の精神が大切だ。
  • 彼女の所作や言動から教養の高さが垣間見えるのは、「知行合一」で彼女の高い知性がそうさせているのだろう。
  • 「知行合一」の教えは、時として若者を狂気の行動に駆り立てる危険な一面を持っている。
  • 「知行合一」の考えをもとに、サービスマンとしての知識を高めて接客に生かしてほしい。

「知行合一」は、「知識」と「行為」は同一のもので切り離すことはできないという趣旨の言葉で、「知識」より「行為」を重要視しているのではありません。ご注意ください。

「知行合一」のまとめ

「知行合一」の考え方は、江戸時代に多くの人物に影響を与え、たくさんの人が行動を起こす原動力となりました。行動が伴った知識、確実な知識に裏付けされた行動を意味する「知行合一」は、現代でもビジネスマンや、何かを学んだり、新しいことを始めようとする人たちにとって学ぶことが多い言葉かもしれませんね。

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