「虎視眈々」とは?意味や使い方をご紹介

「虎視眈々(虎視眈眈:こしたんたん)」とは、虎が鋭い目つきで獲物を狙ってじっと見下ろしているように、力のある者が機会を狙って形成をうかがっている様子を表した四字熟語です。この記事では、「虎視眈々」の意味や使い方を詳しくご紹介しています。

目次

  1. 「虎視眈々」とは?
  2. 「虎視眈々」の意味
  3. 「虎視眈々」の由来
  4. 「虎視眈々」の使い方
  5. 「虎視眈々」の類義語

「虎視眈々」とは?

「虎視眈々」は「虎視眈眈」とも書き、読み方は「こしたんたん」です。「虎視眈々」の「たん」の文字はめへんですが、間違いやすい漢字にみみへんの「耽」という文字があります。ちなみに、みみへんの「耽」は「夢中になる、ふける(耽る)」という意味をもっています。

「虎視眈々」の意味

「虎視眈々」は、強い者が機会をじっくりと窺っていることを表している四字熟語です。

「虎視」とは虎が獲物をじっくり狙って観察するという意味で、「眈々」にはにらむ・見下ろすという意味があります。つまり「虎視眈々」とは、虎が鋭い目つきで獲物を狙って見下ろしているように、力のある者が機会を狙って形成をうかがっている様子を表現しています。

「虎視眈々」の由来

「虎視眈々」の由来は、『易経(えききょう)』という古代中国の占い本の、「頤卦(イカ)」という占いの説明に出ています。
 

顚頤吉。虎視眈眈、其欲逐逐、无咎。
顚(さかしま)に頤(やしな)わるるも吉なり。虎視眈眈、其の欲、逐逐(ちくちく)たれば、咎(とが)なし。

上の者が下の者に面倒を見てもらうことがあっても吉である。虎が獲物を狙うように機会を逃さず、自分の徳を磨こうという欲を追求するのであれば、差しさわりはない。

上記の文章を分かりやすい例に当てはめてみると、「社長が仕事を全て社員に任せてしまうことになっても吉だ。虎が獲物を狙うように「虎視眈々」と様子をうかがっていれば、社長の座を乗っ取られるようなことはないだろうから、問題ない。」ということになります。

現在では「虎視眈々」は、下の立場から上の立場を狙うような場面で使われることがありますが、本来は上の立場の者が下を見下ろすシチュエーションで使われる言葉だということが、由来の文章からお分かりいただけるのではないでしょうか。

「虎視眈々」の使い方

「虎視眈々」は、「虎視眈々と狙う、待つ。」「虎視眈々とした目つき」「虎視眈々として...」などといった用法で使われます。例文を見てみましょう。
 

「虎視眈々」の例文

  • 彼は、いかにも野心家らしい「虎視眈々」とした目つきをしている。
  • 営業部長のAさんは、出世には興味がないと見せかけて、実は「虎視眈々」と社長の座を狙っているらしい。
  • 自白の神様と言われた伝説の刑事の取調べは、ただただ無言のまま「虎視眈々」とした態度で相手から目をそらさないという、まさに神業だった。
  • 9回裏ツーアウト満塁の場面で、表情一つ変えずに「虎視眈々」とストレートを待ち続ける彼の表情はまるで本物の虎だった。

「虎視眈々」の引用

“はじめから、そのつもりで両方が虎視眈々、何か「きっかけ」を作ろうとしてあがきもがいた揚句の果の、ぎごちないぶざまな小細工に違いないのだ。”
『チャンス』太宰治
 
“もっとも、社内にあって良い地位を虎視眈眈とねらっている連中ならば、たとえば編輯長の前ではあくまで慇懃であってもらいたいものだが、しかし先ず新参の見習記者には用のない話だ。”
『青春の逆説』織田作之助
 
“「南蛮寺の謎手に入れんとする者信長公一人にては候まじ、我等といえども虎視耽々、尚その他にも数多く候」”
『南蛮秘話森右近丸』国枝史郎

※青空文庫出典

「虎視眈々」の類義語

  • 鵜の目鷹の目(うのめたかのめ)
    意味:ちょっとしたことも見落とすまいと熱心に探す様子や目つきのこと。
  • 垂涎三尺(すいぜんさんじゃく)
    意味:あるものを激しく欲しがることのたとえ。
  • 竜驤虎視(りゅうじょうこし)
    意味:威勢がよく、権力をもって世の中をにらみつけている様子。

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