「横溢」の意味
「横溢(おういつ)」とは「水のみなぎり溢れること。溢れるほど盛んであること」です。「汪溢」と記すこともあります。
水がみなぎって溢れるというイメージから、気力などが溢れるほどに、満ち満ちている様子を指す表現です。
「横溢」の使い方・例文
「横溢」は「気力が横溢する」や「横溢した力」のように使われますが、「○○横溢」のように四字熟語を形成することもある言葉です。
「元気横溢」や「活気横溢」などはその一部で、いずれも「溢れんばかりの気力に満ち満ちていること」を意味します。
例文
- これだけ活力が横溢しているのだから、今日の試合に私たちが負けるはずがない。
- 落ちこぼれの集まりと揶揄されていたクラスだったが、赴任してきた新任教師の影響で、生徒たちから気力が横溢してくるのがわかった。
- 地方の跡継ぎ問題がニュースに取り上げられる昨今だが、ある町では横溢する若い力のおかげで復興を遂げた例もある。
「横溢」を使った四字熟語
「野趣横溢」
「野趣横溢(やしゅおういつ)」とは「野性味が溢れんばかりに感じられる」という意味で、お皿などの造形を指す場合もあれば、料理自体に野性味を感じる時にも使われる言葉です。
「野趣」には「ひなびた味わい。自然のままの素朴な趣」という意味があるため、「野趣横溢」は素朴な趣を強く感じる様子を表しています。
「感興横溢」
「感興(かんきょう)横溢」とは「物事に対する興味が溢れるほど満ちてくること」を指します。小説などを頻繁に読む方は見たことのある四字熟語でしょう。
また四字熟語になっていなくとも「感興が横溢する」のように言われることもあります。いずれにしても少し古い言い回しのため、馴染みの少ない言葉だと言えるでしょう。
「横溢」の類語
「充満」
「充満」とは「一杯になること。十分に満ちること。満足すること」という意味です。「横溢」と同じく「物が広く満ち満ちている様子」を表す言葉です。
充満というと「ガスが充満している」や「煙が充満している」のように、物質的なものがある範囲を埋め尽くすというイメージが強いですが、「不満が球場に充満している」のように、人の気持ちが空間を埋め尽くす感じを受ける時にも使われます。
【例文】
- コンロが故障したのかガスが部屋中に充満したため、急いで窓を開けて換気を行った。
- 調理室に煙が充満しているのを見て、火事が起こったのかと思った。
- 社会全体に充満している不満、不安の空気が、子どもたちにも影響を与えている。
「満タン」
よくガソリンスタンドで「ハイオク満タン」と頼んだりすることがありますが、「満タン」の「タン」は何でしょうか。
「タン」は「タンク」の略で、「満タン」は「燃料や水などが容器いっぱいに入っているさま」を意味します。「満タン」は「満杯」とほぼ同じ意味で、実際に容器がなくても、何かが上限までたまっているというときに用いられます。
【例文】
- バケツが満タンになるまで水を入れてきて欲しいと頼まれた。
- 連休でしっかりと身体のケアが出来たので、月曜日から元気満タン仕事に打ち込める。
「横溢」の英語表現
「横溢する」を英語にすると「be overflowing with」となります。また「一杯である・満ち満ちている」という様子から簡単に「be full of」や「be filled with」を使うこともあります。
【例文1】
- Thanks to the overflowing youth, the city that had been in financial difficulties has recovered.
- 訳:横溢する若い力のおかげで財政難に陥っていた街が復興した。
【例文2】
- I could see that his energy was overflowing as if the sun were shining in the dark.
- 訳:まるで太陽が闇を照らすかのように、彼の気力が横溢するのがわかった。