「生々流転」とは?意味や使い方を「諸行無常」との違いを含めてご紹介

皆さんは「生々流転」ということわざをご存知でしょうか。現在でも様々な場面で使われる機会があるので、一度は聞いたことがあるという方もおられると思います。今回は「生々流転」ということわざについて、読み方や意味、由来、類義語などのほか、用例も含めてご紹介いたします。

目次

  1. 「生々流転」とは
  2. 「生々流転」の由来
  3. 「生々流転」の使い方・例文
  4. 「生々流転」の類似語
  5. 「生々流転」と「諸行無常」の違い
  6. 「生々流転」の対義語
  7. 「生々流転」の英語訳
  8. 「生々流転」まとめ

「生々流転」とは

「生々流転」の読み方

「生々流転」…この四字熟語は「せいせいるてん」または「しょうじょうるてん」と読みます。「せいせいるてん」が一般的によく使われています。表記的には「生生」と同じ漢字を二回続けるものと、「生々」と二種類表記されていますが、どちらも正しい使い方です。

「生々流転」の意味

「生々流転」には「この世の中のすべてのものは絶えず生まれては成長し続け、変化を続けていく」という意味があります。

この言葉は、「生々」と「流転」の二つの熟語から成り立っています。どちらも仏教の慣用句から生まれた熟語です。

「生々」は「生まれては死に、死んではまた生まれることを永遠に繰り返す」という意味です。「流転」は「物事がとどまることなく、移り変っていくこと」を表します。

仏教用語で「流転」は、「六道(りくどう)の世界の間を迷いながら、生まれ変わり死に変わること」という意味でも用いられます。

六道とは

「六道」とは「人間は生死を繰り返して、六つの苦しみを次々とめぐるという考え」です。その六つとは、次の事です。

  1. 地獄:苦痛に溢れていること
  2. 餓鬼(がき):欲が深いこと
  3. 畜生(ちくしょう):幸福な人物をねたむこと
  4. 修羅(しゅら):他人と競争すること
  5. 人間:辛さと楽しさがある人間界にいること
  6. 天上:苦しむこと

「生々流転」の由来

「生々流転」という言葉は、そもそも仏教用語で使われていた「死生観」を表現しており、「生き物を含める万物は、この世での生命を終えても永遠に移り変わっていくこと」を意味しています。

元々は「しょうじょうるてん」と読まれていましたが、長い歴史の流れの中で「せいせいるてん」と読まれるようになりました。現在ではどちらの読み方でも構いません。

「生々流転」の使い方・例文

ビジネスシーンでの使い方

「生々流転」という言葉が、ビジネスシーンで使われる場合は「ニーズの移り変わり」や「商品形態の変動、株価変動」などを指し、「世情とニーズが永遠に移り変わっていくこと」を例えて使われます。

その一例として、

  • 物流というのは顧客のニーズに合わせて日夜動き回る。常に一か所にとどまることはなく「生々流転」の世界にある。
  • 会社というのは、社員の移り変わりゆく場所であり、現代から後世へと引き継がれていく、まさに「生々流転」の世界にある。

一般的な使い方例

  • たとえ生々流転といえども、人と人の間に生まれる愛は永遠に変わることはない。
  • 命あるものは、常に成長を続けてやがて死を迎える。つまり、全てのものは生々流転するのだ。
  • 現世を生きる者は皆、「生々流転」の原理を踏襲しているのだ。

「生々流転」の類似語

  • 「生々世世」(しょうじょう-せぜ):いつまでも。永遠に。仏教の言葉で、生と死を繰り返して数多くの世を経験するという意味。
  • 「生死流転」(しょうじ-るてん):生まれては死に、死んでは生まれを何度も繰り返すこと。仏教に言葉で、悟りを得る事ができない人は、六道(前述)という世界を巡り続けるという意味。
  • 「念念生滅」(ねんねん-しょうめつ):この世の全てのものは時間の経過とともに、生まれては消え、常に変化し続けているということ。「念念」は一瞬一瞬ということ。「生滅」は生まれ変わることと死ぬこと。仏教の言葉。
  • 「万物流転」(ばんぶつ-るてん):この世に存在する全てのものは、変化し続けるということ。「万物」はこの世に存在する全てのものや現象。「流転」は常に変化し続けること。
  • 「流転輪廻」(るてん-りんね):生と死を何度も繰り返しながら、世界を迷い歩くこと。「流転」と「輪廻」はどちらも生と死を繰り返し続けること。「流転輪回」とも書く。

「生々流転」と「諸行無常」の違い

「生々流転」と「諸行無常」の意味合いには非常に細かい微妙な違いがあります。「生々流転」の一般的な意味合いは「生まれ変わって新しい命を保ち続けていくこと」、つまり「生まれ変わり」を強く説いています。

一方、「諸行無常」は「生きている世上の人間は、ずっと同じ状態を保つことはできないで、その状態を永遠に変えていく、移り変わっていく」ことを強く説いています。「生まれ変わり」の意味はありません。

「生々流転」の対義語

「生々流転」の意味の反対となる「不変のもの」を表す言葉が対義語になります。

例えば、

  • 「普遍」
  • 「不変」
  • 「不動」
  • 「万古不易」
  • 「不易流行」
  • 「不老不死」
  • 「持続」
等等、どの言葉にも「ずっと変わらずにそこに在り続ける」という意味があります。

「生々流転」の英語訳

「生々流転」の英語訳は、

  • All things are in flux.(全てのものが絶え間ない変化の中にある)
  • All things are constantly changing.(全てのものは止まることなく変わり続ける)
 「All things are in flux.」に含まれる“flux”は「流転」を表します

「生々流転」まとめ

「生々流転」という言葉は、仏教の経典で示された「死生観」や「人の生き方」についての教訓として説かれ、現代でも四字熟語として知られています。

この「生々流転」という言葉を耳にするとかなり難しく聞こえますが、意味は、漢字からも連想できるようなシンプルなものです。

せっかくの機会ですので、その意味や使い方などを覚えていただいて、色々な場面で上手に活用していきましょう。

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