「蟠り」とは?意味や使い方を語源を含めてご紹介

「蟠り」を読める人がどれほどいるでしょう。それほど普段は目にすることがない言葉ですが、「わだかまり」と読むとわかれば、見聞きしたことがある人は多いのではないでしょうか。今回は、「蟠り」の意味と使い方を語源や類語も含めてご紹介します。

目次

  1. 「蟠り」とは?
  2. 「蟠り」の使い方
  3. 「蟠り」の類語

「蟠り」とは?

「蟠り」は、(わだかま-り)と読みます。「蟠」という漢字を初めて見たという人もいるでしょうが、迷わず読める人はかなり少ないことでしょう。意味は、下記のように二つに分けることができますが、2は昔の日本語の使い方です。
 

  1. 心のなかでこだわりとなり、解消されずに残っている、重苦しいネガティブな感情。おもに、不満、不信、疑惑など。
  2. 心に悪い考えのあること。

「蟠」の語源

「蟠」は、ワラジムシ(草鞋虫)の漢字表記のひとつでもありますが、この虫が「蟠り」の意味にかかわるわけではありません。

「蟠」は、中国語で竜やうわばみに使われる漢字で、日本語の「蛇(へび)」の語源であるとも言われます。蛇がぐるぐるとぐろを巻いている姿は、見て心晴れるというものではありませんね。

蛇のようにとぐろを巻いた入り、曲がりくねったりする様子から、「蟠り」の意味が、不平や不満などのネガティブな感情であることが納得できる、インパクトのある漢字ではないでしょうか。

「蟠り」の使い方

納得できない出来事を「今」体験しているとします。例えば、恩師へのお礼にレストランを予約し、いざ訪れるとなぜか予約されておらず、店も満席。その状況が分かった時、怒り疑問、焦り、恩師への申し訳なさなどのネガティブな感情が湧き起こるのではないでしょうか。

その感情を「蟠り」とは表せません。なぜなら、それらは「今」感じるネガティブな思いであり、「蟠り」とは、解消されずに心に残るネガティブな感情のことだからです。その後、予約担当者や店に対して、いつまでも納得できない不満が残ってはじめて「蟠り」が使えます。

基本的には、「蟠りがある」「蟠りを持つ」「蟠りが残る」「蟠りを感じる」「蟠りが生まれた」「蟠りが生じた」などと表現します。使う際は、漢字表記は一般的ではないため、ひらがなのほうが無難です。

予想としての「蟠り」

上記のような例で、嫌な体験をしてネガティブな感情が起こり、それが消えそうにもない時に、「今」の時点で予想される場合は「蟠り」を使えます。その場合は、「蟠りが残りそうだ」「蟠りになりそうだ」などの表現になります。

「蟠り」の例文

  • 新入社員の時に喧嘩して以来互いに蟠りがある同期と、今回同じ部署に配属されてしまった。
  • 親と相性が合わずに実家を出たが、十分に話し合わなかったので深い蟠りが残っている。
  • 何度受験しても失敗したことに蟠りを感じてきたので、就職できたことはひときわ嬉しかった。
  • 上司に不当な評価を受けて蟠りになりそうだったので、釈明の機会を設けてもらった。
  • この段階でA社との契約を反故(ほご)にするのですか?さすがに相手に蟠りが残りそうですよ。

「蟠り」の類語

「鬱屈」

鬱屈は、(うっくつ)と読む名詞です。気分が晴れ晴れとしないこと、気持ちがもやもやと元気がないこと、心がふさいで憂鬱になることなどを意味します。

「蟠り」と異なる点は、時間の経過とは関係なく、今現在の一時的な気分であっても上記のような状態であれば使うことができることです。

【例文】
A子は、なにをやってもうまくいかず、鬱屈して一人部屋に閉じこもってしまった。

「しこり」

「しこり」は、名詞の場合大きくわけて下記の2つの意味を持ちます。

  1. 筋肉などがこって固まること。
  2. 物事を解決したあとになっても残る、割り切ることができずにすっきりしない気分。感情的なわだかまり。

2において、「蟠り」の類語足りえます。物理的様相から感情面の意味が派生している点も似通っています。

【例文】
世話になった先輩と意見が合わないことが続き、しこりを残したまま疎遠になってしまった。


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