「納得」とは?意味や使い方をご紹介

「納得」は、さまざまな意味で重要な言葉です。人間は、他者を納得させることで事態を動かしたり、自身が納得することで物事を進めたりするからです。しかしながら、改めて「納得」を定義するとなると意外に難しいかもしれません。今回は「納得」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「納得」とは?
  2. 「納得」の使い方
  3. 「納得」と「理解」

「納得」とは?

「納得」(なっとく)は、多くの人にとって重要な言葉ではないでしょうか。社会人であれば、上司や顧客に納得してもらえるような仕事が要求されますし、なにより、自身が自分の在り方に納得できるかは、人生の質に関わる要素です。

「納得」は、次のような意味をもつ言葉です。 ①他人の考えや行動、物事などを十分に理解し、もっともだと認めること、得心すること、受け入れて肯定すること。②仏教用語として、他物を受容し、自己のものとすること。

今回は、仏教用語としての「納得」は割愛し、一般的な「納得」の意味と使い方を解説していきます。

「納」と「得」の字義

「納」は、音読み(のう、なっ、な、なん、とう)訓読み(おさ・める、おさ・まる)。複数の意味をもちますが、「納得」の「納」は、いれる、受けいれる、という意味で用いられています。

「得」は、音読みが(とく)、訓読みが(え・る、う・る)。この字も多義的ですが、「納得」の「得」は、さとる、わかる、気に入る、という意味によるものです。

2つの漢字の字義により、「納得」は、たんに物事を理解するだけではなく、自分の感情としてその対象に心から同意して(気に入って)、受けいれるというプロセスだとわかります。

「納得」の使い方

上記の「納得」の字義から考えると、「納」の「受け入れる」、「得」の「気に入る」から伝わってくるのは「自らの意志」。「納得」は、あくまで自らが積極的に受け入れられることのみへの「了解」と言い換えられるでしょう。

だからこそ、たとえば「その意見が正論だとはわかる。けれど、自分の心情として納得できないから従えない」と言うことができます。逆に、「君の提案は僕に不利益なものだ。けれど、正論だと納得できるから、受けいれよう」とも言えるのです。

対象とするものが万人にとって「正しい」ことであるゆえ「納得」する場合も多いでしょう。しかしそれも、その「正しさ」を自分自身が認めて受けいれ「納得」する、という主観による帰結なのです。

「納得」の文例

  • 植林のボランティア活動に参加したのは、組織の目的に納得ができたからだ。
  • 部下の判断ミスで損失が出たが、残業続きの疲労による失敗と納得し、叱らずに休養を命じた。
  • 貢献してきたつもりのプロジェクトから外されたことに、どうしても納得がいかない。

「納得ずく」とは?

「納得ず(づ)く」は、「納得尽く」とも表記します。よく使われる言い回しですので、この機会に理解しておきましょう。

「納得ずく」とは、じゅうぶんに納得した結果であることを意味します。下した決断や、そこから導かれた結論が、自分としてはしっかり受け入れて決めたことなのだ、なので後悔することはない、というニュアンスで用いられます。

文例:夫は売れない画家だけれど、納得ずくで結婚したのだから、貧乏も苦にならないわ。

「納得」と「理解」

「納得」と混同されがちな「理解」を「理解」しておきましょう。洒落のようになってしまいましたが、「理解」することと「納得」することは、はっきりとした異なりがあるのです。

「納得」と「理解」の異なり

「理解」は次の2つの意味をもちます。①物事の道理や状況、筋道などを論理によって正しくわかること、納得すること。②他者の気持ちや立場を察すること。

①の意味は「納得」と重なる部分も異なる部分もあります。それだけに、混同されやすいのです。

自身の感情、主観に基づく「納得」とは異なり、「理解」はあくまで「物事の道理」に基づくものです。主観は関係なく、事実、論理、道理によって判断されるものが「理解」であることに留意しましょう。

文例:アメリカに留学する夢をもっていたが、自分の経済状況ではどう頑張っても無理だと理解できたので、日本の大学を受けることにした。


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