「物理的」の意味と例文
「物理的」の意味
「物理的」には、以下の二つの意味があります。
- 空間、時間、重量などの数量に置き換えられる面からとらえるさま
- 物理学にかかわるさま、物理学の法則にかなっているさま
1を時間の側面から考えてみましょう。10分で終わるタスクが三つあるとします。作業者が一人であれば30分かかるため、15分で終わらせることは不可能です。この場合、時間的に不可能なので、「物理的に」不可能であると言えるのです。
2についても具体的に見ていきます。りんごを上に向かって放り投げれば、必ず下に落ちてきますね。地球上では引力が働いているため、例外はありません。これが「物理学の法則に則っているさま」を表します。
「物理的」の例文
例文を見ながら、もう少しそれぞれの意味をクリアにしていきましょう。
【1の意味】
- 物理的な距離が遠くなると、心の距離まで遠くなるものだろうか。
- このパソコンは物理的に外部から切り離されている、スタンドアローンだ。
- 空耳だと思っていたが、冷蔵庫が物理的な音を発していた。
【2の意味】
- 物質の化学的な構造と物理的性質には相関関係が認められる。
- 酸素のない空間では火が燃えないというのは物理的な法則である。
- その説は物理的な証明はされておらず、今は推測の域を出ない。
「物理的」の対義語
上の1の意味「空間、時間、重量などの数量に置き換えられる面からとらえるさま」を表す「物理的」の対義語は、「精神的」や「心理的」です。
「物理的」を英語では'physical'といい、これは物理的という意味の他に、肉体的という意味を持ちます。こう考えると、「物理的」の対義語が「精神的」・「心理的」であることを理解しやすいのではないでしょうか。
「精神」は理性や理念など頭で考えることを意味するのに対し、「心理」は感情や欲望などの情緒的なこと表します。しかし、物理現象として数値に置き換えてとらえにくいものという点において、「精神的」と「心理的」は共に「物理的」の反対の意味と言えます。
「物理的」と「精神的」・「心理的」
「物理的」とそれに対する「精神的」・「心理的」について、具体例を考えてみましょう。
《具体例》
- 練習では9秒台を出していた100m走の選手が、公式の試合ではプレッシャーに負けて10秒台の記録しか出せなかった。
- ベンチプレスで40kgを持ち上げていた男性が、事故現場で80kgもある瓦礫を持ち上げて人命救助した。
例1は、物理的には可能だったことが、精神的・心理的な問題で実現できなかったケースです。逆に、例2は、物理的には不可能だったことが、精神的・心理的な原因で実現してしまった場合です。
例2は、言ってみれば「火事場の馬鹿力」なので、日常的には例1のような話題が多いでしょう。泳ぎが得意だったのに海難事故にあってから海に入れない、手が届くのに潔癖症のせいで電車のつり革を掴めないといったことですね。
「物理的」の英語表現
「物理的」を英語では、physical と表現することは上で説明しましたが、ここで使い方を確認しましょう。
【例文】
- This material doesn't change physically when heated to 150℃.(この素材は150℃まで加熱しても物理的な変化は起きない。)
- The problem should be solved in a physical method.(その問題は物理的な方法での解決が望ましい。)
- He has a doctorate in physics[phsical science].(彼は物理学の博士号を持っている。)
このほかにも、'physical strength'(物理的な力)、'physical laws'(物理法則)のように用いられます。