「反故」の意味
「反故」(ほご)の意味は以下の通りです。
- (書道や絵画などで)書き損じをするなどしていらなくなった紙
- 1から転じて、不要な物や役に立たない物
- 約束を取り消す。なかったことにする
現在の読み方は「ほご」ですが、古語では「ほうぐ・ほうご・ほぐ・ほんぐ・ほんご」などの読み方もありました。
「反故」の使い方
「反故」を1の意味で使う場合、手紙や書類の清書に失敗した書損じの紙やコピー取りにミスした紙などに使えます。「反故紙」(ほごがみ)という場合もあります。
また、2の意味の場合は、いらなくなった紙を捨てる入れ物のことを「反故籠」(ほごかご)と言うこともあります。今では「ごみ箱」と呼ぶのが一般的ですね。
「約束事を取り消す」場合の使い方
現在は「反故」を3の意味のように使う場合が多く、双方で話し合ったり、片方が一方的に持ちかけたりしてビジネスの場や個人の間で契約や取り決めをやめる、もしくは最初からそのような約束がなかったことにする意味で使われます。
【「反故」の使い方】
- 反故になる…途中で約束や関係が立ち消えになる
- 反故にする…自分が約束事や関係を取り消す
- 反故にされる…相手から申し出があり一方的に約束や関係がなかったことにされてしまう
「反故」の例文
- 反故紙の裏面をメモ帳代わりに使っている。
- コピー取りにミスして、反故になった紙が増えていった。
- 掃除をして、紙のゴミが反故籠に入り切らなくなった。
- 両家では子供を政略結婚させるつもりでいたが、関係が悪化して反故にすることになった。
- 相手先が信頼できなくなったため、合併の話を反故にした。
- 隣人がうるさそうな人なので、土地の契約を反故にして新たに探すことになった。
「反故」の類語
「書き損じの紙」の類語:古紙・故紙
「古紙・故紙」(こし)とは、一度使っていらなくなった紙のことです。もちろん、「反故」のように書き損じの紙も含みますが、「古紙」の範囲は広いです。
発行日を過ぎた新聞紙や雑誌、いらなくなった折込チラシなどの紙類も含み、現代では再資源化できる不用な紙類を総称して使うことが多くなっています。
【例文】
- 手紙を書き損じて、古紙が増えてしまった。
- この地域の古紙回収日は毎月11日です。
「不用な物・役に立たない物」の類語:ごみ
「ごみ」(漢字表記:塵/芥)は使い切って役に立たなくなった物を指し、「反故」と意味が似ています。それ以外に、水の底に溜まる泥状のものや汚いくず、家庭や企業から排出される廃棄物を指す場合もあります。
また、下らなく価値のない物事にも使い、役に立たない意見や価値のない論文などについても「ごみ」扱いすることもあるでしょう。
【例文】
- 替芯が廃盤になったので、このボールペンはごみにするしかないな。
- どぶ川をさらっていたら、ごみが広がった。
- 燃えるごみの日なのに、不燃物を入れる人がいて困っている。
- 彼の論文は根拠のはっきりしないとんでもないもので、ごみ同然の価値しかない。
「約束を取り消す」の類語1:白紙撤回
「白紙撤回」(はくしてっかい)とは、いったん決まった取り決めを中止し、元の何もない状態に戻すことを表します。「白紙」は何も書いていない元の状態の白い紙から転じて、元に戻すという意味になりました。「撤回」は表明していた意見などを取り下げることです。
【例文】
- 公共事業は住民の反対に配慮して白紙撤回となった。
- 近所に保育園を開設する話は、白紙撤回にされたそうだ。
「約束を取り消す」の類語2:空手形
「空手形」(からてがた)は、実行されることのない約束事、嘘の約束のことを言います。もともとは、実際に取引が行われていないのにも関わらず、資金を融通する目的で振り出されている手形のことです。本当に支払われるかどうか分からないところから由来しています。
「反故」の場合は、単に約束や契約が計画通りに行かずに取り消すさまを言います。しかし「空手形」の方は、最初から約束を結ぶ気がないことから、悪質であることが分かります。
【例文】
- 約束は空手形に終わった。あの人は結局やる気がないんだよ。
- 調子の良いことを言っていても、借金を返す約束は空手形になりそうだね。