「流れ」とは
「流れ」には、以下のようにたくさんの意味があります。
「流れ」の使い方
液体や気体の移動
水、空気、雲、煙など液体や気体が移動するさまを「流れ」と言い、日常的に目にすることができます。
【例文】
- 火事の時、煙の流れをよく理解して避難することが大事だと防災訓練で教えられた。
- 黒潮の流れは、東シナ海から九州と奄美大島の間を抜け、四国、本州の南を通って房総半島沖を東に抜けていく。
- 台風の影響で雨雲の流れが速い。
人や物の移動
人や物の移動にも「流れ」を使います。スポーツの試合やライブ終了後に観客が最寄りの駅まで移動したり、車が渋滞している様子などを「流れ」で表します。
【例文】
- イベントの警備は、人の流れを計算して慎重に立てなければならない。
- 事故の影響で渋滞が発生し、車の流れが悪くなっている。
時間の経過・物事の変化や傾向・進行
時間は止まることがなく、物事は常に変化し続けています。そのような移り変わりを「流れ」という言葉で表すことがあります。作業などの進行手順を視覚化したものは、フローチャート(流れ図)と言います。
【例文】
- 今度の監督は試合の流れを適切に読んで臨機応変に指示を出すことで定評がある。
- 新入社員の君たちは、まず、仕事の流れをしっかり覚えてください。
- サスティナブル(持続可能性)を重視する時代の流れに沿って商品開発に取り組んでいる。
血筋・系譜・流派
血筋は、血統や血のつながりとも言い、連綿と続く血縁関係です。系譜は、血筋と同義であり、血筋を書き記した文書のことも意味します。また、流派は、芸事などの師弟関係を表しています。このようなつながりを「流れ」を使って表すことがあります。
【例文】
- 一時期、戦国武将の流れを汲むスポーツマンが活躍していた。
- この屏風絵は、円山応挙を画祖とする円山派の流れを汲んでいます。
予定やイベントの中止
雨でスポーツの試合や運動会などが中止になったり、延期されたりすることがあります。そのようなときに「試合が流れる」「運動会が流れる」と言いますが、名詞で「お流れ」と表現します。
また、「なかったことにする」という意味で「水に流す」という言葉がありますが、ここからも「流れ」の意味がわかります。
【例文】
- 突然の激しい雷雨で野外ライブが開始直前でお流れになってしまった。
- お流れだった飲み会をオンラインですることになった。
質草が流れる
質屋は、ある程度価値のある品物を担保(質草)として預かってお金を貸す商売です。借りた人が、期限までにお金(元金と利息)を返済しなかった時には、預かった品物を質屋が自由に処分することができます。そのように質草が処分されることを「質流れ」と言います。
屋根の傾斜や傾きの程度
建築用語に「流れ」があります。勾配によって水が流れるところから、屋根の傾きを「流れ」と呼んでいます。また、切り妻や寄せ棟のように、一番高い棟から左右に振り分けるのではなく、一方だけに屋根が傾斜している「片流れ」などもあります。
酒杯を回す
酒席で、目上の人から杯(さかずき=盃)をもらうことを献杯(けんぱい)と言いますが、自分から杯をもらいに行くときには「お流れを頂戴します」と言って杯を受けるのが酒席のマナーとされています。この「お流れ」や、杯に残った酒のしずくが、「流れ」です。
放浪する
時代劇などを見ていると「流れ者」と言われる登場人物があります。大名に仕えていない武士(浪人)や遊女などの中で各地を放浪している者たちのことですが、転々と場所を移り変わって生活していることから水や雲の流れに例えられています。
「流れ」の類語
「トレンド」
「トレンド(trend)」は、趨勢、傾向、風潮などと訳され、ファッションなどの流行や長期的な経済動向、SNSなどで話題になっていることです。いずれの意味でも大勢の人が関心を持って、世の中の「流れ」を生み出していきますから、「流れ」の3の意味の類語と言えます。
【例文】
- これからのトレンドの一つは、高齢社会におけるAI技術の活用だろう。
- この雑誌は、最新のトレンド情報が満載されている。
「気運」
「気運(きうん)」は、一定方向への物事の動き、世の中が向かっていこうとする傾向などのことです。世の中が向かうということは、大勢の人の関心や働きかけがあると言えますから、「気運」も「流れ」の3の意味の類語と言えるでしょう。
【例文】
- 全国的に資源保護、省エネルギーの気運は高まっているが、財政面で実現は難しい。
- チーム全体に優勝への気運が盛り上がってきた。