「応酬」の意味とは
「応酬(おうしゅう)」とは、人と人の間で行われる行為を表す言葉の一つで、以下のような意味があります。
- 相手との間でお互いに物事のやり取りをすること。相手の行為に対してやり返すこと。
- 手紙や詩歌に対して返答すること。
やり取りをする物事には、議論や意見、野次や応援、酒席での盃、対戦型スポーツやゲームの攻撃など、およそ、人と人との間で繰り返し行われる行為であれば、「応酬」ということができます。
「応酬」は、こたえる、かえすという共通の意味を持った「応」と「酬」からなり、互いの意味を強調しています。
「応酬」の使い方
冒頭の画像でテニスの対戦風景を挙げていますが、格闘技でのパンチや突きなどの攻撃、ボードゲーム(将棋など)の駒の取り合いなどを「応酬」と言います。また、議論や野次など言葉のやり取りにも「応酬」を使います。
さらに、俳句などの句会で互いに句を詠みあったり、送られた(贈られた)詩歌や手紙に返歌・返答することも「応酬」と言うことができます。
例文1:スポーツなどでの「応酬」
- この試合では、双方の選手によるサービスエースの応酬が印象的でした。
- チャンピオンと挑戦者のパンチの応酬が最終ラウンドまで続き、白熱した試合だった。
- 膠着(こうちゃく)していた盤面が先手の攻撃に応じて、後手もすかさず攻撃をはじめ、攻めの応酬が続く展開となりました。
例文2:言葉の「応酬」
- 今はそれほどでもないが、昔は国会で議員が飛ばす野次の応酬が頻繁に行われていた。
- 今回のシンポジウムでは、パネラーの意見の応酬が続き、コーディネーターが調整に苦慮していた。
- 優勝決定戦では、いつも以上にスタンドでのファンの声援の応酬が間断なく続いた。
例文3:詩歌・手紙などの「応酬」
- 参加した句会で、俳句の応酬をするのが楽しみの一つです。
- 文通相手の彼女とは、もう20年も手紙の応酬が続いています。
例文4:その他の「応酬」
「応酬」の類語
「受け答え」
「受け答え(うけこたえ/うけごたえ)」は、相手の言葉や問いかけに対して答えることで、「応答」と同義です。「受け答え」や「応答」は、一回きりの言葉のやり取りもありますが、繰り返して続くこともあるので、「応酬」の類語と言えるでしょう。
【例文】
「反駁・論駁・弁駁 」
「反駁(はんばく)」も「論駁(ろんばく)」も、相手の批判や考え方に対して反論すること、あるいは、非難することです。「弁駁(べんばく)」は、相手の考え方の間違いを指摘して、言い破ることを言います。
「駁」には、他人の言ったことに反対して論じたり、反発して非難するという意味があります。「反」にははねかえす、「論」には是非善悪を説く、「弁」には議論するといった意味があります。
「駁」との熟語で上記のような意味として使われている、「反駁・論駁・弁駁」は、いずれも、言葉のやり取りを基本としていることから、「応酬」の類語と言えます。
【例文】
「談論風発」
「談論風発(だんろんふうはつ)」は、いろいろな意見や会話が活発に行われることを表す四字熟語です。「談論」は、談話と議論、「風発」は、風が発生するように意見が口から出てくることを表しています。この熟語も言葉の「応酬」ですから、「類語」と言えます。
【例文】
- うちの課では、みんなの忌憚(きたん)のない意見が途切れることなく出てくる談論風発の会議がいつも行われている。
- A氏とB氏の対談は、談論風発を呈し、時間があっという間に過ぎていった。