「是非」の読み方
「是非」は「ぜひ」と読みます。アクセントは「ぜ」にあります。
「是非」の意味
「是非」は名詞として使われる時と副詞として使われる時で意味が違います。以下で分けて説明します。
名詞の場合の意味
「是非」が名詞として使われる場合、「正しいことと正しくないことや物事の良し悪しを批評すること」を意味します。
元々「是」は「理屈に合ったことや正当なこと、一般的に良いとされていること」を表します。「非」はその反対に「道理に反することや不当なこと、誤り」などのことです。
英語では「right or wrong」と表します。
副詞の場合の意味
「是非」は副詞でも使われます。意味は「何があっても実行しようとする様子」や、「心をこめて強く願う様子」です。副詞の場合には漢字を使わず、ひらがなを使うことが多くあります。今回は副詞の場合はひらがなで書くことに統一します。
「ぜひ」を強めた言い方に「ぜひとも」があります。また、「是が非でも」という表現もあります。こちらは「善悪にかかわらず、何が何でも」という意味になります。「是が非でも」の場合は必ず漢字で書かれます。
英語では「please」になります。
「是非」の使い方
名詞の場合
名詞として使われるのは、「正しいかどうか」という意味であることがほとんどです。以下のように使用されます。
例文
- 「是非を問う」
- 「是非を論じる」
副詞の場合
副詞の場合、相手に自分の希望を述べるために多く使われます。
例文
- 「ぜひともおいでください。」
- 「ぜひお願いします。」
また、自分の意欲を表現するために使うこともあります。
例文
- 「ぜひやり遂げたい。」
- 「ぜひとも見てみたい。」
- 「是が非でも阻止しなければならない。」
「是非」の類義語
名詞の場合
「是非」の類義語は「理非」、「善悪」、「良否」などです。これらの使い分けを順に説明していきます。
①是非
「是非」は概念など抽象的な言葉に対してのみ使われます。一般的、習慣的に道理にかなうかどうかを表します。
②理非
「理非」は「是非」と同じく抽象的な事柄が理屈に合っているかどうかに使われます。しかし、書き言葉であるため「是非」よりも会話文で使われにくい言葉です。
③善悪
「善悪」は具体的な言葉には使われず、概念的な事柄にのみ使われます。「是非」や「理非」との大きな違いはその判断が道徳的な面から行われるかどうかです。
④良否
「良否」は抽象的なこと、具体的なことどちらにも使える使用範囲の広い言葉です。しかし「是非」等よりも主観的な印象を与えやすい言葉です。
副詞の場合
副詞の「ぜひ」の類義語とその使い分けを説明します。
「ぜひ」は相手に行動を強く頼む時に使います。他の類義語と異なり、積極的に行動してほしい時にのみ使われるという特徴があります。そのため、相手が行動しないことを希望する場合には使えません。
①どうぞ
「どうぞ」は自分の依頼を丁寧に表現した言葉です。相手に行動を勧める時にも見られます。
②どうか
「どうか」は「ぜひ」と同じく相手に頼みごとをする時に使用します。他の類義語と大きく異なるのは「どうか」を使う状況です。神頼みなど実現不可能である場合や、困難であることをわかった上で依頼する時に使われます。「ぜひ」と違い、行動しないことを願う時にも使えます。
③なにとぞ
「なにとぞ」は懇願の気持ちを表します。「どうぞ」や「どうか」をより強めた表現です。「何卒」と書かれていることもあります。
④くれぐれも
「くれぐれも」も相手に依頼する時の表現です。「呉々も」と書かれることもあります。繰り返し念を押す際に使用します。
まとめ
「是非」の意味について今回はご紹介いたしました。「是非」は名詞として使われる場合と副詞として使われる場合で意味合いが大きく変わる言葉です。名詞ではあまり見かけなくなりましたが、副詞ではよく見かけますね。ビジネスで多用される言葉なのでこの機会に「ぜひ」覚えてみてください。