「異なる」とは
「異なる(ことなる)」とは、二つ以上の物事を比べた時に違いがあることです。世の中には無数の物事があり、これを比較したとき、同じものもあれば違うものもあります。その違うことを「異なる」と言います。
「異」という漢字は、人が仮面をかぶって両手を上げ、鬼を追い払う様子を表す象形文字からできており、仮面をかぶることで人ではないものに変化することから、普通でない、ことなるという意味を持つ漢字として成り立ったと言われています。
「異なる」の使い方
「異なる」で違いを表す物事は、人の性格・容姿・声・服装、物の品質・形状・価格、自然や町並みなどの人工物の様子、文化や習慣など数えきれません。その中から、いくつを取り上げて「異なる」の使い方を例文でご紹介します。
「例文」
「異なる」の類語
「相違」
「相違(そうい)」とは、二つの物事の間に違いがあって、一致しないことです。「相違」も「異なる」と同じようにいろいろな物事の違いについて使うことができます。
「相違」に打消しの「ない」をつけて「相違ない」になると、間違いない、大丈夫だ、確実だといった意味があり、この表現もよく使われます。
【例文】
- 将来の進路に関して両親と僕との間には根本的な相違があることがわかった。
- 彼が彼女に接する様子から、彼は彼女に気があるに相違ない。
「異質」
「異質(いしつ)」は、物事の性質が異なることや異なった性質のことです。「異なる」は、性質や性能といった中身に加えて、見た目の違いなども含みますが、「異質」には、見た目で二つのものが違う場合には使いません。
「異質」を見た目で使う場合は、例えば、正装した人の集まりの中に普段着の人が混じっていたり、瀟洒な街並みに奇抜な建物などがあったりして、全体の雰囲気にそぐわないような時に「異質」と言うことがあります。
【例文】
- 落下した隕石の成分を調べると地球上には存在しない異質な物質が含まれていることがわかった。
- エッフェル塔の建設については賛否両論があり、異質な鉄の建造物の建設反対運動を行った芸術家たちが陳情書を提出したそうだ。
「千差万別」
「千差万別(せんさばんべつ)」は、あらゆる物には種々さまざまな違いがあり、一つとして同じものはないということです。「千」と「万」は、数が多いことを表し、「差」と「別」は、違いと区別ということを意味しています。
「異なる」と「千差万別」は、スケールの違いはあるものの、他と違いがあるという点で類語と言えます。
【例文】
- 「幸せ」の捉え方一つ見ても、千差万別ということがよくわかります。
- 家庭内の問題は、夫婦関係であれ、親子関係であれ千差万別なのでケースバイケースで考えなければいけない。
「異なる」の対義語
「等しい」
「異なる」の対義語としての「等しい(ひとしい)」は、二つ以上の物の数や形状・性質などに違いがなく、区別できないことです。「等しい」が一般的ですが、「均しい」あるいは「斉しい」とも書きます。
「斉しい」を使うことはあまりありませんが、みんなで一斉に何かをしたといった場合に「みんなで斉しく○○した」というように使います。
また、「等しい」には、「脅迫にも等しい行為」のように異なったものの状態や様子・内容がよく似ている、同じようだという意味もあります。
【例文】
- 正三角形の内角はすべて60度で等しい。
- この実験は、いずれも等しい時間で計測しなければならない。
「同じ」
「同じ」も、二つ以上の物の数や形状・性質などに違いがなく、区別できないことです。また、昨日と今日の窓口担当者が一緒だとか、父と同じ学校に進学したなど、別の人や物ではないその人や物の場合にも「同じ」を使います。
【例文】
- 夫婦で揃えの同じTシャツを買った。
- 彼らは一卵性双生児で、顔が同じなので全く見分けがつかない。