「普通」の意味と使い方
「普通」とは、特に変わっていないこと、ありふれたものであることやその様子、を表す言葉です。以下では具体的に例文と使い方を見ていきましょう。
「普通」の意味と使い方①
「普通」には、以下のような細かな意味合いの違いがあります。
- 正常であること(例:彼の目つきは普通ではなかった)
- 平均的であること(例:このあたりだとワンルームで五万円くらいが普通です)
- ありふれていること(例:こんな普通の料理でこんなに喜んでもらえるなんて嬉しい)
- 凡庸であること(例:一年目であんな成績を残せるなんて彼は普通の選手じゃない)
- 日常的であること(例:うちの会社では残業は普通のことだよ)
「普通」には「特に変わったところがない」「世間一般どこにでもあり珍しくない」という意味がありますが、これは広い範囲で様々な意味合いで使われます。
同じ「普通」という表現を使っていても、例文によって日常性、正常性、標準性など少しずつニュアンスが違うことが感じられるのではないでしょうか。
「普通」の意味と使い方②
「普通」は副詞的にも使われます。この場合、ひらがなで表記されることもあります。
【例①】
- 水道工事で通行止めになる場合、ふつう事前にお知らせがあるものだ。
- この辺りでは、普通お盆を過ぎるとくらげがでて海水浴ができなくなる。
- 夫はふつう六時には帰宅している。
- 土曜日は普通九時頃まで寝ている。
例①では、「特別な事情がない限り一般的にはそうだと考えられる」という様子を表しています。また、例②では「いつもではないが、たいてい」という意味で使われています。
「普通」の新しい使い方
以上「普通」の辞書的な意味をみてきましたが、その他に「普通に」という形で以下のような表現を耳にしたことがあるでしょうか。
【例文】
- 新しくできた駅前のタイ料理屋さん、普通においしかったよ。
- 昨日映画観てきたよ。普通に面白かった。
これらの使い方は2000年代から用いられるようになったようです。若い世代の人たちを中心に、「絶賛するほどではないが、思ったよりよかった」という肯定的な表現として使われています。
しかし、まだこの表現を聞きなれない世代の人たちもいらっしゃるため、相手によっては否定的な意味に捉えられてしまう可能性があります。
例えば皆さんがデパートの店員だとして、試着をなさったお客様に「普通に似合いますよ」などと声をかけたら、不快に思ったり失礼だと感じたりする方もいらっしゃるかもしれません。こうした使い方は、相手や場面などを選んで使うように注意してくださいね。
「普通」の類語
「普通」はどのような言葉と言い換えられるでしょうか。「普通」には広い範囲の使い方があるため、意味ごとに類語をいくつかご紹介します。
「正常であること」の「普通」の類語
- 尋常
「平均的であること」の「普通」の類語
- 十人並み
- 世間並み
- 人並み
「日常的であること」の「普通」の類語
- 普段
- 平生
「ありふれていること」の「普通」の類語
- 当たり前
「普通」と「通常」「一般」の使い分け
その他【通常】【一般】も「普通」の類語としてあげられます。これらは「普通」と同じように「特別ではない」という意味を持ちますが、使い分けに注意が必要です。
通常
「通常」は「普通」に比べ少し硬い印象を受ける表現です。日常会話よりも、改まった場面での発言や書き言葉などで用いられます。
また、「普通」とは違い「平均的な程度」という意味を持たないため「国語はクラスの平均点と同じ68点だったよ。わたしはこのくらいの普通の成績で満足かな」という文章を「通常」で言い換えることはできません。
一般
「一般」には「特別ではない多くの人々」という意味があります。この意味は「普通」にはありませんので、「キャッチコピーを一般から募集する」「一般からの投票によりデザインを選んだ」などの表現では、「普通」を使うことはできません。
「普通」の対義語
「普通」の対義語としては「特別」があげられます。「特別」は「他とはっきり区別される」という意味です。
「今日は特別暑い」「私は足が大きいから、このくつは特別に注文したものなんです」「あの子だけ特別扱いでずるい」のように、「普通とは違っている」といいたい場合に使われます。