「進化」とは
「進化(しんか)」とは、物事が変化して発展することです。また、イギリスの自然科学者チャールズ・ダーウィンによる学説に基づく定義「生物が長い年月をかけ、世代を重ねながら、環境に適したかたちに形態や機能を変化させていくこと」も「進化」の意味とされています。
さらに「進化」は、非文明社会から文明社会へと変化して発展することという意味も持っています。これはイギリスの社会学者ハーバート・スペンサーが、ダーウィンの進化論の定義を人間社会に適用させた社会進化論によるものです。
そして、いずれの意味においても「進化」は、進化した現在の状態が、現在の環境に適合しているということが前提となっています。
「進化」の語源
「進化」という言葉は、ダーウィンの進化論を日本に紹介した人物が、原題「Theory of Evolution」の「evolution」を「進化」と翻訳したことから生まれた造語と言われています。
「進化論」は、生物各固有の種は、原始生物がまわりの環境に適応しながら自然淘汰(とうた)による変化を繰り返して現在の形態や機能を持つに至ったとするダーウィンの学説です。
「進化」の使い方
「進化」は、生物や社会、その他の物事の現在の状態が、過去のある時点から徐々に変化して現在の状態になっていることを表します。多くの場合、良い方向に発展するという意味で使われる言葉ですが、生物の進化に関してはその限りではありません。
例文
- 人間はサルから進化したという話は本当なのだろうか。
- 人間の進化と社会の進化は必ずしもイコールではなく、いつの時代にも取り残される者と先へ進みすぎる者が存在する。
- 最近のIT技術の進化は目覚ましいものがある。スマホ一つとっても現代人の生活には切り離せないものとなっている。
- ほんの150年ほど前までは、侍が刀を腰につけ、馬やかごに乗っていたことを考えると、身分制度から様々な技術まで、社会の進化は著しいものがある。
- 最近のSF映画では、AIが進化して人間を選別するようになる危険性を取り上げたものがある。
「進化」の対義語
「進化」の対義語は「退化(たいか)」です。意味は、進化が止まり、元に戻ることや機能などが衰えたり縮小したりすることです。
人間に関しては、尾の名残の尾てい骨が退化の代表的な例として挙げられますが、生物学的には「退化」は「進化」の対義語ではありません。「退化」も「進化」の一側面だと考えられるからです。
例えば、深海魚の中には目がないものもいますが、そのような「退化」は、「進化」であるともいえるということです。
【例文】
- 今の高齢社会を見ていると、いつか自分も脳が退化して認知症になるかもしれないと不安になる。
- 自動車ばかり使っていると足の筋肉が退化して運動機能が衰える。なるべく歩いたほうがいい。
「進化」の類語
「発達」
「発達(はったつ)」は、①からだや心が次第に完全なものになること、②物事の段階が進んで機能や規模が大きくなることといった意味があります。①の意味では、心身の発達や筋肉の発達など、②の意味では、発達した低気圧や文明の発達などがその例です。
【例文】
- 教育は、その人の発達に応じて行うことが重要だが、今の学校教育の中では難しいだろう。
- 道具の発明は、文明の発達に必要不可欠なものだ。
「成長」
「成長(せいちょう)」は、①生物が大きくなること、②物事の規模が大きくなること、発展することです。「発達」と大体同じような意味を持っていますが、微妙にニュアンスが異なります。
絶対的な基準ではありませんが、両者を区別する目安の一つとして、具体的・物理的なものは「成長」、抽象的・精神的なものは「発達」が使われているようです。
例えば子どもが大人に近づいていく変化を表すとき、身長が伸びたり体重が増えたりすることには「成長」が、言葉が話せるようになったり精神的に成熟したりすることには「発達」が使われます。
【例文】
- 祖父母は、孫の成長を楽しみにしている。
- 高度経済成長の時代は、給料が右肩上がりに増えたらしい。
「進歩」
「進歩(しんぽ)」は、前へ進むこと、物事が少しづつ良いほうへ進んでいくことです。「進歩」は、もっぱら人間の精神や社会、文化文明に使われる点で「進化」とは異なります。
1970年に開催された大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」でした。半世紀を経た現在、技術などの面は格段に「進歩」しましたが、精神面の「進歩」はどうでしょうか。
【例文】
- 高齢化社会の一因として、医学の進歩があげられる。
- 戦後、日本の産業は大きな進歩を遂げた。