「千差万別」とは
「千差万別」は、「せんさばんべつ」と読むのが一般的です。
この四字熟語は、中国の仏教界における歴史書「景徳伝灯録」から、由来されています。景徳伝灯録は、三十巻からなる禅宗史書で、二十五巻めに禅問答として、「千差万別」がでてきます。
「千差万別」の意味と使い方
まず「千差万別」の文字の成り立ちをみてみましょう。
「千」と「万」は、文字どおりの数字を示し、数の多いことを表しています。そして「差」と「別」も文字どおり、前者は差異、後者は区別などを示し、違いがあることを表しています。
そこから「千差万別」の意味は、「種類がいろいろとあり、その違いもさまざまであること」「それぞれが、さまざまに変わっていること」になります。
「千差万別」の例文
- 今日の会議は、千差万別の意見が飛び交い、有意義であった。
- 勉強方法は千差万別なので、〇〇大生の勉強方法という本は、参考にならなかった。
- 国内にいても、習慣や好みなどの違いから、人の暮らし方は千差万別だと思うが、海外に行くと、なお更それを感じざるをえない。
このように「千差万別」は、違いを強調するときに使われやすいとされています。
「千差万別」の英語表現
「千差万別」ですが、英語では決まりきった言葉はなく、「種類が多い」や「異なる」などの意味をもつ語を、文章にあわせて、選んで使うのがいいでしょう。
- infinite variety かぎりない変化・多様性
- multifarious さまざまの、雑多の
- vary widely 広範囲に変化する
「千差万別」の反対語
・千篇一律/千編一律(せんぺんいちりつ)
多くの物事が一様で変化がなく、面白みのないこと。
「千差万別」の類義語
「千差万別」と同じような意味を持つ言葉が、他にもあります。
・多種多様
種類や性質がさまざまであること
・種々様々(しゅじゅさまざま)
いろいろな物事があり、それぞれ異なっていること、そのさま
・色とりどり
物事の種類が多く、さまざまであるさま。色の種類がとても多いさま
・十人十色(じゅうにんといろ)
人の好み・考え方・性格・なりふりなどは、人それぞれ違うということ
ただ注意したいのが、これらの類義語が、場合によっては、「千差万別」にすべて置き換えられるとは限らないことです。上記の中でも、よく挙げられる類義語に、「十人十色」がありますが、「千差万別」とでは使える範囲が異なります。
「千差万別」と「十人十色」の違い
「千差万別」は、人間もふくめ、あらゆる事象を説明するのに使えますが、「十人十色」は、人間の好みや性質などに主に使います。
例えば、「人の味覚は千差万別です」とも、「人の味覚は十人十色です」とも、どちらでもいうことができます。しかし、「フラワーパークでは、季節をとおして千差万別の花が見られます」といえても、「フラワーパークでは、季節をとおして十人十色の花が見られます」とはいえないのです。
「千差万別」まとめ
こうしてみると、いろいろな種類や、そのさまを表すのに、たくさんの言葉がありますが、事象を選ばない「千差万別」は、とても便利な言葉です。四字熟語がはいると文章も引き締まりますし、ぜひ千差万別な場面で、この言葉を使ってみてはいかがでしょうか。