「逼迫」の意味とは
「逼迫(ひっぱく)」とは、以下の二つの意味を持つ言葉ですが、1の意味は、古典の用法で、現代ではもっぱら2の意味で使われる言葉です。
「逼」も「迫」も、訓読みで「せま-る」と読み、せまる、さしせまる、近づくという意味があります。また、共通の意味のほかに、「逼」には、せばまる、縮まる、「迫」には、追い詰める、苦しめるという意味があります。
このような字義から、「逼迫」は、この二つの漢字が互いに強調しあって、上記のような意味を表す言葉となっています。
「逼迫」の使い方
「逼迫」は、主に経済的な状況が厳しいことを表す時に使われることが多いのですが、それ以外の事態が差し迫った時にもよく使われています。
なお、「逼迫」の「逼」は、常用漢字表に登載されていないので、公用文や新聞などでは「ひっ迫」とひらがな表記されることになっています。
【例文】
「逼迫」の類語
「緊迫」
「緊迫(きんぱく)」は、状況が差し迫って緊張が高まること、切迫して一触即発のような様子のことです。「逼迫」のように行き詰まったというニュアンスはあまりありませんが、差し迫った感じは、「逼迫」と遜色ないのではないでしょうか。
「緊」には、緊張や緊縮のように固く引き締める、縮むという意味のほかに、緊迫や緊急のようにきびしい、さしせまるという意味があります。
「緊迫」も「逼迫」と同様、同じ意味を持つ言葉が強調しあっている熟語です。緊張状態にある国際関係や社会情勢のほか、立てこもり事件のような人命が危険にさらされて油断できないような場合に使われます。
【例文】
- 対立関係が続く某国間で、駐在大使をはじめとする外交官の引き上げが決定され、緊迫した状況になってきた。
- 近所に強盗が入って家人がけがをするという事件が起こり、近所の人たちが緊迫した表情でヒソヒソ話をしていた。
「喫緊」
「喫緊(きっきん)」は、差し迫って重要なこと、すぐに解決しなくてはならない大事なことです。「喫緊」は、元来「吃緊」と表記されていたところ、「吃」に好ましくない言葉と言われる「どもる」という意味があるため、「吃緊」という言葉が公用文などで使われなくなりました。
その後、「常用漢字表」制定時に、同音の漢字による書き換えが行われ、その際に「吃水(きっすい)」という言葉が「喫水」に書き換えられることになり、同時に「吃緊」も「喫緊」と表記されるようになったと言われています。
【例文】
- 当社の喫緊の課題は、業績悪化に伴う人員整理を最小限に留めることだ。
- 台風で破損した屋根の修理が私たちの喫緊の問題です。
「焦眉の急」
「焦眉の急(しょうびのきゅう)」は、眉毛を焦がすほどに火が目の前に迫っている様子に例えて、まったく余裕のない切迫した危険な状況や、直ちに処理しなければならない問題のことを意味する慣用句(または、ことわざ)です。
「逼迫」と同様、状況が差し迫っていてゆとりのないことを意味していますが、行き詰まるというよりも、すぐに解決しなければならないというニュアンスの強い言葉で、「喫緊」に近い使い方ができます。
【例文】