「逼迫」とは?意味や使い方をご紹介

ニュースなどでよく「国の財政が逼迫(ひっぱく)している」という表現を聞くことがあります。前後の文脈から「逼迫」の意味は想像ができますが、正確な意味を説明するのは、ちょっと難しい言葉です。この記事では、「逼迫」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「逼迫」の意味とは
  2. 「逼迫」の使い方
  3. 「逼迫」の類語

「逼迫」の意味とは

「逼迫(ひっぱく)」とは、以下の二つの意味を持つ言葉ですが、1の意味は、古典の用法で、現代ではもっぱら2の意味で使われる言葉です。

  1. 苦痛や危機的な状況が差し迫っていること。危険。
  2. 物事が行き詰まって、余裕がないこと。

」も「」も、訓読みで「せま-る」と読み、せまる、さしせまる、近づくという意味があります。また、共通の意味のほかに、「」には、せばまる、縮まる、「」には、追い詰める、苦しめるという意味があります。

このような字義から、「逼迫」は、この二つの漢字が互いに強調しあって、上記のような意味を表す言葉となっています。

「逼迫」の使い方

「逼迫」は、主に経済的な状況が厳しいことを表す時に使われることが多いのですが、それ以外の事態が差し迫った時にもよく使われています。

なお、「逼迫」の「逼」は、常用漢字表に登載されていないので、公用文や新聞などでは「ひっ迫」とひらがな表記されることになっています。

【例文】

  • 世界的な感染症の影響で各国とも経済情勢が逼迫しており、立て直すのに長い月日と努力必要と考えられている。
  • 江戸時代、参勤交代による膨大な出費で各藩は財政が著しく逼迫していたと言われている。
  • 大地震による津波で発電所が破壊されて電力需給が逼迫したため、全国的に節電が求められ、輪番停電も導入された。
  • 家のローンに加えて、教育費がかさんで家計が逼迫しているから、私もパート仕事を探そうかと思っている。

「逼迫」の類語

「緊迫」

「緊迫(きんぱく)」は、状況が差し迫って緊張が高まること、切迫して一触即発のような様子のことです。「逼迫」のように行き詰まったというニュアンスはあまりありませんが、差し迫った感じは、「逼迫」と遜色ないのではないでしょうか。

」には、緊張や緊縮のように固く引き締める、縮むという意味のほかに、緊迫や緊急のようにきびしい、さしせまるという意味があります。

「緊迫」も「逼迫」と同様、同じ意味を持つ言葉が強調しあっている熟語です。緊張状態にある国際関係や社会情勢のほか、立てこもり事件のような人命が危険にさらされて油断できないような場合に使われます。

【例文】

  • 対立関係が続く某国間で、駐在大使をはじめとする外交官の引き上げが決定され、緊迫した状況になってきた。
  • 近所に強盗が入って家人がけがをするという事件が起こり、近所の人たちが緊迫した表情でヒソヒソ話をしていた。

「喫緊」

喫緊(きっきん)」は、差し迫って重要なこと、すぐに解決しなくてはならない大事なことです。「喫緊」は、元来「吃緊」と表記されていたところ、「吃」に好ましくない言葉と言われる「どもる」という意味があるため、「吃緊」という言葉が公用文などで使われなくなりました。

その後、「常用漢字表」制定時に、同音の漢字による書き換えが行われ、その際に「吃水(きっすい)」という言葉が「喫水」に書き換えられることになり、同時に「吃緊」も「喫緊」と表記されるようになったと言われています。

【例文】

  • 当社の喫緊課題は、業績悪化に伴う人員整理を最小限に留めることだ。
  • 台風で破損した屋根の修理が私たちの喫緊の問題です。

「焦眉の急」

焦眉の急(しょうびのきゅう)」は、眉毛を焦がすほどに火が目の前に迫っている様子に例えて、まったく余裕のない切迫した危険な状況や、直ちに処理しなければならない問題のことを意味する慣用句(または、ことわざ)です。

「逼迫」と同様、状況が差し迫っていてゆとりのないことを意味していますが、行き詰まるというよりも、すぐに解決しなければならないというニュアンスの強い言葉で、「喫緊」に近い使い方ができます。

【例文】

  • 不祥事が続く我々の組織の信頼を一日も早く取り戻すことが焦眉の急と言えるだろう。
  • 高齢者を狙った犯罪を防止することが焦眉の急であり、警察と行政機関が連携して取り組む必要があります。


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