「妖艶」の意味とは?
「妖艶」(ようえん)とは、あやしく感じるほどになまめかしく(なまめかしい:色気がただよう雰囲気)美しい様子、もしくは、そのような表情や仕草のことです。ほかに「妖婉」とも表記します。
「妖」の字義には美しい、色気がある、あでやかというものだけでなく、人の心を惑わす、あやしい様子も表します。「艶」にも、あでやかで美しい、色気があるといった字義があり、同じような意味を強調した熟語と言えますね。
「妖艶」の使い方
「妖艶」は、まれに美しい物の様子や魅力的な美男子にも使われる場合がありますが、主に女性の美しい容姿や表情、振る舞いなどを描写する時に使われます。ただ美しいだけでなく、凄まじいほどの色気を兼ね添えたさまを言います。
「妖艶」で感じられる魅力とは、他の人には感じられないこの世のものとは思えない不思議な魅力や、その人の普段の様子とは異なった神秘的な雰囲気がして心が惹かれることを言うのかもしれません。
「妖艶」を使った例文
- あの女優さんは普段は気さくで明るい美人だが、舞台に立つと妖艶な女性に変貌するそうだ。
- あなたは洋服よりも着物の方が妖艶で、色っぽく見えるね。
- 歌舞伎で女形を演ずる俳優さんは、ひときわ妖艶な雰囲気を感じさせる。
- 盛り場で見かけた彼女は妖艶な微笑みを浮かべていた。
「妖艶」の類語:「妖」が入った語
妖美
「妖美」(ようび)とは、人の心を惑わすようなあやしい美しさを言い、女性に使う場合が多いです。文語的な表現で普段の話し言葉ではあまり使われず、文学作品などで見られます。
【例文】
- 夜道と妖美な女性には十分に注意するんだよ。
- 妖美な雰囲気に惹かれて、通りすがりの女性を目で追ってしまった。
妖花
「妖花」(ようか)はもともと、美しいけれどもなんとなく不気味な雰囲気の花を形容する言葉です。転じて、この世のものと思えない不思議な魅力を持った美人を表現するようになりました。「妖美」と同じく、文語的な表現で、話し言葉ではあまり使われる機会は少ないようです。
【例文】
- 江戸川乱歩の『黒蜥蜴(くろとかげ)』は、明智小五郎と妖花のような賊の首領が軸となって話が進んでいく。
- 極彩色をした熱帯植物の場合、妖花のように感じるものもある。
「妖艶」の類語:「艶」が入った語
凄艶
「凄艶」(せいえん)とは、ぞっとする(意味:強く感動して体が震え上がる様子)ほど色気がある様子、すごみを感じるくらいあでやかで美しいさまを表現する言葉です。多くの場合、女性に対して使います。
【例文】
- カルチャースクールのダンス教室の先生は、凄艶な女性と評判です。
- Aさんは、多くの男性を魅了した凄艶な女優です。
艶麗
「艶麗」(えんれい)は、外見や人の容姿があでやかで美しい様子を言います。このような意味では、「妖艶」と似た意味ですが、他に文学、絵画、音楽などの芸術作品の評価や様子において、華やかで美しいという場合に使うこともあります。
【例文】
- 艶麗な姿かたちをしてはいるが、彼女はプライドが高く近寄りがたい。
- ヨハン・シュトラウスのワルツ『美しき青きドナウ』は、艶麗な調べで人気がある。
「妖艶」の類語:その他の語
婀娜っぽい
「婀娜っぽい」(あだっぽい)とは、女性の身のこなしや様子、表情が色っぽく美しいさまを表し、「妖艶」に近い意味がある言葉です。「婀娜」は女性のなまめかしい様子を言い、「っぽい」は名詞の後に付く接尾辞で、この場合は「~の傾向が強い」ことを表しています。
【例文】
- Aさんの婀娜っぽい仕草は、多くの人を魅了している。
- 夏祭りで見かけた浴衣の女性はとても婀娜っぽく見える。
蠱惑的
「蠱惑的」(こわくてき)とは、その人の姿や振る舞いなどに、心を惑わされるような不思議な魅力が溢れて引きつけられる様子を言います。この語は、男女に関係なく使えます。「蠱惑」は、すっかり引きつけられてしまい、心が乱れるくらい惑わされてしまうことです。
【例文】
- あの人の蠱惑的な流し目に、すっかり首ったけになってしまった。
- パーティで蠱惑的な雰囲気の人から目が話せなくなった。友人から、あの人は詐欺師という噂があるから注意してと言われた。