「凄まじい」の意味とは?
「凄まじい」(すさ-まじい)は形容詞で、後に続く名詞を修飾します。現代語と古語での例に分けて「凄まじい」の意味を紹介します。
「凄まじい」現代語での意味
現代語での「凄まじい」は、以下のように物事の程度が通常の範囲を超えていることを表します。
- 非常に怖ろしい
- びっくりするほど激しい・勢いがある
- あきれるくらいにひどい
「凄まじい」古語での意味
現代ではほとんど例がありませんが、「凄まじい」は古語で以下のような意味で使われていました。
- 趣がない、つまらない、興ざめだ
- 荒涼としている、寒々しい、冷え冷えとしている
すさまじきもの、昼ほゆる犬(つまらないもの、昼にうるさく吠える犬)
【2の意味の例 『平家物語』巻八】
河原の風さこそすさまじかりけめ(河原の風はさぞ寒々しかっただろう)
「凄まじい」の語源と意味の変化
「凄まじい」は、動詞「荒む」(すさ-む)が「すさまし」と形容詞に変化した語です。もともとの意味は、荒れ果てていることを表すところから、興冷めしてつまらないこと、寒々しく冷え冷えと感じるといった意味も派生しました。
平安時代中期~鎌倉時代に「すさまし」が「すさまじ」に変化した形も目立つようになります。この「すさまじ」が「凄まじい」に変化するもととなりました。
室町時代頃にはまだ両方の形で用いられてきましたが、「凄まじい」という場合は、物事の程度を表す範囲が極めて大きいという意味で使われるようになりました。
「凄まじい」の使い方(現代での用例)
現代で「凄まじい」を使う場合は、人や物事の様子や周囲の状況などについて、あまりにも普段の様子、もしくは、以前の状態とかけ離れているさまや、物事の程度が大幅に想像(予測)を超えている様子を表す時に使います。それぞれの項目ごとに文例を紹介します。
1.非常に怖ろしい:例文
- 彼女は凄まじい形相(ぎょうそう)で、娘をいじめた相手に迫った。
- 海上に抜けた台風の凄まじい被害が報道されている。
- 迎撃ミサイルの凄まじい威力に驚いた。
2.びっくりするほど激しい・勢いがある:例文
- 浮気が報道された芸人に対して、凄まじい非難が寄せられている。
- 友人は凄まじい食欲で、餃子とチャーハンと麻婆豆腐を平らげていった。
- 国民的アイドルグループの人気は凄まじく、会場の数キロ先まで行列ができるほどだ。
3.あきれるくらいにひどい:例文
- 試写会での凄まじい評価のせいで、あの映画はお蔵入りになりそうだ。
- 数千万円以上を高齢者からだまし取った、凄まじい詐欺師が捕まった。
- この凄まじい出来で、よくこの商品を1万円で売ろうと思ったね。
「凄まじい」の類語
すごく・すごい
「すごく」や「すごい」は、漢字では「凄く」「凄い」と表記します。現代語で非常に気味が悪い、とても恐ろしいことや、驚くほど(程度が)甚だしいこと、言い換えると尋常ではない、並外れているという意味で使えます。
こちらもネガティブ、ポジティブな意味に関わらず用いられますが、「凄まじい」と異なる点は、あきれるくらいひどいといった意味では使わないところです。
【例文】
- 彼の仕草がおかしいと笑ったら、すごい目つきで睨まれて怖かった。
- あのグループはすごく人気があって、ライブのチケット予約がなかなか取れない。
やばい
「やばい」は、若者を中心に広がった俗語表現で正式に認められてはいませんが、「程度が甚だしい」「並外れて良い(悪い)」という意味で使われるようになりました。
もともと、「やばい」は、泥棒などを表す隠語(いんご:仲間内で通じる言葉)「やば」が形容詞化し、危ないことや良くないことが予想されるという意味で使われていました。
しかし、1980年頃から若者を中心に「とても悪い」「あまり良くない」などの意味に転じます。さらに1990年代くらいから「すごい」と同じような意味を持つに至り、良い意味でも悪い意味でも使われるようになりました。
【例文】
- このセーターやばくない?かわいいよね。
- 「タピオカミルクティー、超ヤバい」と女子高生の娘が言っていたけど、もう飽きちゃって見向きもしない。