「輩」とは?意味や使い方をご紹介

「輩」という漢字を使ったことがありますか。使ったことがなくても、「先輩・後輩」は、よく使いますし、夏目漱石の『吾輩は猫である』とか、「不逞の輩」などの言葉もご存じの人は多いのではないでしょうか。この記事では、「輩」について、意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「輩」とは
  2. 「輩」の使い方
  3. 悪い意味や関西弁での「輩」

「輩」とは

「輩」には、音読み「ハイ」、訓読み「やから。ともがら」という読み方があり、以下の通り、名詞・形容詞・接尾語としての意味があります。

【名詞】
やから。ともがら。立場や実力などが同じ仲間。順序「先輩・朋輩・年輩(=年配)・輩行(=排行)など」

【形容詞】
次から次へと連続して出ること。並ぶこと「輩出」

【接尾語】
(人を表す言葉の後について、複数の仲間や同輩がいることを意味し、「ばら」と読むこともある)~たち。~ら:「我輩(わがはい)・奴輩(やつばら)など」

「輩」の「非」は、羽が左右に分かれて並んださま、「輩」は、車が並ぶことを表しているところから転じて、よく似たものが並ぶこと、つまり、同族・一族・同類などを指し、そこから上記のような意味の言葉として使われています。

「輩」の使い方

「輩」は、一文字で使われることがあまりなく、熟語で使われることの多い漢字です。「輩」が一文字で使われる場合は、「輩(やから)」と読み、好ましくない意味で使われることが多いようです。

例えば、「不逞(ふてい)の輩」や「たちが悪い輩」などのように、良くない・悪い・道義に外れている連中といった意味で使われることもあるため、「輩」という言葉に良いイメージを持っていない人もあるかもしれません。

しかし、「輩」本来の意味には、悪い、あるいは好ましくないというニュアンスはありません。ただし、関西地方の方言では、素行が悪い人間、たちの良くない人間を指すときに「輩(やから)」が使われています。

名詞の「輩」の例文

名詞の「輩」は、入社時期や学年などの順序などを表したり、立場や能力が同じ程度の仲間を指す場合に使います。

【例文】

  • Aさんは、僕の3年先輩で一から仕事を教えてくれた人です。
  • B先輩は、面倒見がいいので後輩から好かれている。
  • まだまだ若輩(弱輩)者ですが、頑張りますのでよろしくお願いいたします。
  • 言いにくいんだが、同輩のよしみで少し金を融通してくれないだろうか。

形容詞の「輩」の例文

形容詞としての「輩」で代表的な使い方は、「輩出」です。「輩」の、次々と連続するという意味から、「輩出」は、優秀な人材が次々と世の中に出ることを指します。

【例文】

  • 私の生まれ故郷は、多くの政治家や学者を輩出しています。
  • 京都大学は、ノーベル賞受賞者を数多く輩出している。

接尾語の「輩」

『吾輩は猫である』の「吾輩(わがはい)」は、男性が自分のことを偉そうに言う場合に使われる言葉で、「我輩」とも書きます。しかし、「吾輩/我輩」には、実は、われわれ、わたしたち、われらという複数の人間を意味する言葉でもあるのです。

この複数の意味が、接尾語の「輩」の意味になります。「吾輩/我輩」以外では、時代劇などで見聞きすることのある「奴輩(やつばら)」や「殿輩(とのばら)」があります。「奴輩」は、大勢の相手に対する罵りの言葉で、「殿輩」は、身分の高い男性に対する敬称です。

【例文】

  • あの奴輩のせいで、この町の治安が悪くなったのは間違いない。
  • 雲の上の殿輩たちの考えることは、平社員の我々には理解できないね。

悪い意味や関西弁での「輩」

悪い意味で使われる「輩」の代表は「不逞の輩」でしょう。「不逞の輩」は、好き勝手にふるまって、世の中のルールや秩序に従わない者たちのことです。「不逞」の代わりに、悪いこと、好ましくないといった言葉を入れても使えます。

関西弁の「輩」は、一文字(あるいは、「やから」と一言)で、反社会的と言われるような人間、あるいは集団を表せます。

【例文】

  • 「あんな不逞のと付き合うことは認めない」と父から厳しく怒られた。
  • ○○駅前は、夜になるとがたむろしているから近寄らないほうがいい。


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