「面倒」の意味と使い方
「面倒」は、大きく分けて次の三つの意味を持つ言葉です。それぞれの意味や使い方については追ってご説明します。
- 手数がかかり、対処するのが煩わしいこと。または、そのさま。
- 世話。
- 見苦しいことや、そのさま。体裁が悪いことや、そのさま。
①手数がかかり、対処するのが煩わしいこと
「手数がかかり、対処するのが煩わしいこと(さま)」という意味で用いる「面倒」が対象とするものは、仕事、人間関係、諸問題などさまざまです。
【使い方】
- うちの会社は体質が古くて、プレゼンへの手順も面倒で嫌になるよ。
- 彼女は気分にひどくムラがあるから、つきあうのが面倒になっちゃうわ。
- スポーツジムの入会規約が改定となり、会員登録が面倒なものになってしまった。
②世話
「世話」という意味で使われる「面倒」は、子供の養育などをはじめ、他者や生き物などへの様々なケアを指しています。
【使い方】
- 共稼ぎなんだから、あなたも父親としてもっと子供の面倒をみてよ。
- 祖母が退院してきたばかりなので、食事の面倒は私がみているんです。
- 友達と一週間の旅にでるから、犬の面倒は全面的に夫に託すことにするの。
③見苦しいことやそのさま
「面倒」を「見苦しいこと(さま)、体裁が悪いこと(さま)」という意味で用いるのは、きわめて古い時代の用法です。現代においては、「面倒」をこのような意味で使うことはありません。
「面倒」の語源
「面倒」の語源、由来には諸説ありますので、代表的な三つの語源をご紹介します。
「目どうな」
「目どうな」とは、「目(見ること)」に「どうな(無益な浪費や無駄になること)」が付いた言葉です。「目どうな」の意味は、見ることも無駄→見苦しい→厄介と変化し、音は「めんどうな」と変化したといわれています。
「愛でる」
「愛でる」の意味は、可愛がる、慈しむ、素晴らしさに打たれる、褒める、などです。愛情を示すことが不得手で控えめな日本人にとって、「愛でる」という行為は決まりが悪く気恥ずかしいものでした。そのような背景から、「愛でる」→「面倒」と派生したともいわれています。
静岡の方言「めったい」
静岡地方の方言に、「感謝」を表わす「めったい」があります。感謝を述べる気恥ずかしさ、気後れの気持ちから「面倒」に転じたという説もあります。
「面倒」の類語
「厄介」
「厄介(やっかい)」とは「扱いに手数がかかり、わずらわしいこと」「世話」「居候」という意味で、「面倒」の意味の1と2の意味を含んでいます。
- 帳簿のミスを隠したなんて、問題がさらに厄介になるぞ。
- 人生であらゆる苦労をしてきたから、もう厄介ごとはごめんだよ。
- 酔いつぶれて友人の家に一晩厄介になった。
「煩雑」
「煩雑(はんざつ)」とは「入り組んでいてわずらわしいこと、または、そのさま」という意味です。
- 最新型のオーディオ機器を買ったんだけど、説明書の解説が煩雑すぎて、ギブアップ!
- 最近は兼業を許す企業も出てきたけど、確定申告とか煩雑なことも増えるわけだね。
「複雑」
「複雑」とは、「物のつくりや物事の関係が込み入っていること」「さまざまな要因が入り混じり、問題が解決しづらいこと」やそれらの様子を表す言葉です。
- どの銀行も、合併や吸収を重ねる中で、組織のパワーバランスは複雑になってしまった。
- 再婚同士の夫婦の家族関係は少々複雑になりがちだけど、愛があれば大丈夫だよ。
「面倒臭い」とは
「面倒臭い(めんどうくさい)」とは、「面倒」に、ケチ臭い・照れ臭いのように用いられる強調や「〜らしい」を意味する「臭い」を合わせた言葉です。
「面倒である」「手間や困難さを考えて気が進まない」「億劫だ」という意味で、「めんどうくさい」「面倒くさい」と表記されることもあり、また「めんどくさい」と発音されることもあります。
この「面倒臭い」から変化した話し言葉には「めんどい」「めんどっちい」「めんどくさー」などがあり、方言などで用いられる他、若者の間でよく使われています。
面倒臭さを越えてこそ得られる喜びや達成感を子供や若者に教えていくのも、大人の役割のひとつかもしれませんね。