「万障」とは?意味や使い方を例文も含めてご紹介

「万障繰り合わせて」という表現があります。いろいろな行事に出席を依頼するときなどに使う丁寧で定型的な表現ですから、聞いたり、使ったりしたことがある人も多いのではないでしょうか。この記事では、「万障」について、意味や使い方を例文も含めてご紹介します。

目次

  1. 「万障」とは
  2. 「万障」の使い方
  3. 「万障」の類語

「万障」とは

「万障(ばんしょう)」とは、いろいろな差支えや支障、不都合事情のことです。「」は、漢数字であると同時に、数が多いことを表す漢字であり、「」は、障害などのようにさえぎる、じゃまをするという意味から、差支え支障ということも表しています。

「万障」の使い方

「万障」の使い方として最も多いのが、相手に依頼する際や、依頼を受けたほうが返事をする際に使う「万障繰り合わせる」という決まり文句です。「繰り合わせる」ということは、様々な障害を乗り越え、あるいは排除してやり繰りするということですから、使い方には注意が必要です。

特に、依頼する側の「万障繰り合わせて」という表現には、都合が悪くてもやり繰りしてほしいというように、無理強いと受け取られる場合もあります。したがって、この表現を使う場合は、相手との関係性が重要になります。

例えば、依頼の趣旨を事前に内諾している相手や親しい相手に対する形式的な文章であれば問題ありません。しかし、面識もなく、関係が希薄な相手に対して、案内状やメールなどを送る場合には十分注意を要し、相手によっては表現自体を変えることも必要です。

例文

  • かねてよりお知らせしていた研究会を開催する運びとなりました。メンバーの皆様方には万障お繰り合わせの上、ご出席賜りたくお願い申し上げます。
  • 不祥事が相次ぐ会社の株主総会の案内が来たので、万障繰り合わせて必ず出席し、意見を言わなければならない。
  • 今度、○○高校第〇期卒業生の同窓会を開きます。卒業生の皆さん、お忙しいとは思いますが、万障繰り合わせて参加してくださいね。

「万障」の類語

「万難」

「万難(ばんなん)」は、様々な困難や障害、不都合のことです。「万難を排する」という慣用句でよく使われますが、「万障」のように「繰り合わせる」のではなく、どんな困難があってもそれを排除して必ずという強い意志を伴った表現です。

したがって、相手に対する依頼などよりは、自分の強い意志や行動を相手に伝えるときに使うことが多い表現です。

【例文】

  • 両親を早くに亡くした彼は、万難を乗り越えて大学に進学、就職を果たし、今は幸せな家庭を築いている。
  • お世話になった恩師の米寿のお祝いには、万難を排して出席します。

「支障」

「支障(ししょう)」は、「万障」や「万難」と同じように、差し支え、困難といった意味ですが、もっとも一般的でよく使われる言葉です。

【例文】

  • 社員の起こした不祥事に対する抗議の電話が鳴りっぱなしで、仕事に支障が出ています。
  • 足の怪我はほぼ完治しているので、日常生活に大きな支障はありません。
  • 最近、通学路に指定されている道路が拡張されて交通量が増えたため、子供たちの安全に支障をきたしている。

「不都合」

「不都合(ふつごう)」は、都合が悪い、よくない、道理に合わないことですが、そこから、差し支えさしさわりといった意味でよく使われる言葉です。

「不都合」は、「万障繰り合わせる」とか「万難を排する」といった積極的な言葉ではなく、どちらかというと否定的な使い方をする言葉と言えます。

【例文】

  • 新しい家には客間があるので、以前のようにリビングで客を迎えて、相手の目線を気にするような不都合がなくなった。
  • 一緒に来るはずだった妻に不都合が生じたので一人でお邪魔しました。

「故障」

一般的に「故障」は、機械や人間のからだが正常に動かないことという意味で使われていますが、正常に動かないことから差し支え障害という意味も持っています。

例えば、スポーツ選手などが「故障」で試合に出られないことがあります。この場合の「故障」は、怪我などで正常に動けないから、試合出場に差し支えがあるというように、人間の身体機能の支障に使われることが多い言葉です。

【例文】

  • 年を取ると、からだのあちこちに故障があって思うように動けない。
  • ドラフト1位で入団したピッチャーが肩の故障のため、ファームで調整することになった。


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