「万難を排して」とは?意味や使い方をご紹介

「万難を排してでも成し遂げる」という強い決意も時には必要です。「万難」とはいくつもの障害やトラブルを指しているので、「万難を排して」は、すべての障害を乗り越える強い覚悟の言葉ですね。今回は「万難を排して」の意味や使い方、類語を紹介します。

目次

  1. 「万難を排して」の意味
  2. 「万難を排して」の使い方
  3. 「万難を排して」の類語

「万難を排して」の意味

「万難を排して(ばんなんをはいして)」とは、どんな困難があってもという意味です。何が何でも、絶対に、ともいえます。

「万難」はいくつもの苦難、多くの困難のことです。非常に数が多いという意味であって、実際に一万もの障害を指しているわけではありません。「排して」は排除して、ですね。

あらゆる困難を押しのけてでも何とかするという強い決意のこもった言葉です。重々しく聞こえるので、気軽に使う言葉ではありません。ここぞという時に使ってこそ価値のある言葉です。

「万難を排して」の使い方

決意表明や意思表示

「万難を排して」を使いやすいのは、決意や覚悟などの意志を表す時です。何が何でもやりぬくという気持ちを示すことができます。

【例文】

  • このプロジェクトにわが社の命運がかかっている。万難を排してことに当たらねばならない。
  • やっとつかんだチャンスなんだ。万難を排して成し遂げて見せる。

招待

「万難を排して」はパーティや式典などへの招待の言葉としても使用できます。どうしても来てほしい相手がいる時には使ってみるのもよいでしょう。強い誘い方なので、上司部下にかかわらず多用は禁物です。また、参加する側が快諾の返事として使うことも可能です。

【例文】

  • 創立100周年の記念すべき日です。ご多忙とは存じますが、社員の皆様には万難を排してでもご参加賜りますようお願い申し上げます。
  • 万難を排してご出席いただけますようお願い申し上げます。
  • ご招待いただきましてありがとうございます。万難を排して馳せ参じます。

うけ狙いや誇張

「万難を排して」は日常会話では使わない、堅苦しい言葉です。あえてカジュアルな会話の中で使うことで笑いを狙うという使い方もあります。

気軽な会話の中でいきなり「万難」と言われると、いったいどんなトラブルがあるんだ、というわけですね。時間やスケジュールではなく、心理的な障害がある場合にも使えます。

【例文】

  • 本当は娘と一緒にいたいけれど、万難を排してお伺いするよ。
  • 明日の夜に飲み会ですか。わかりました、万難を排して向かいます。(行きたくないけれど、仕方がないので行きます。)

「万難を排して」の類語

万障お繰り合わせの上

「万難を排して」とよく混同される表現に「万障お繰り合わせの上(ばんしょうおくりあわせのうえ)」があります。これは、いろいろな不都合をなんとか調整して、という意味です。

「万障」とは多くの故障、トラブルや差し障りのこと。「繰り合わせる」はスケジュールなどを調整することです。

イベントや行事に「万障お繰り合わせの上、ご参加ください。」と招待されることがあります。あらゆる課題を調整してでも何とか参加してほしいという強い誘いの言葉です。強い気持ちが伝わる分、それだけの負担を相手に強いるとも言えますから、状況に応じて使いましょう。

石にかじりついても

「石にかじりついてでも」とは、どんな苦労をしてでも、という意味です。非常に大きな苦労や苦痛のたとえとして用いられます。

なお、「石にしがみつく」という表現も見られますが、こちらは誤用です。平成20年度の文化庁調査では20パーセントほどの人がこのような誤用をしているようです。

また、「石に漱ぐ(いしにくちすすぐ)」という言葉もありますが、意味は全く異なります。誤りを認めず、屁理屈を並べることを指します。

是が非でも

何が何でも、どうしても、という意味の慣用句に「是が非でも」というものがあります。「是非とも」や「是非にでも」と省略されることもあります。

「是」は正しいことで、「非」は正しくないことです。そのまま解釈すると、正しいことでもそうでなくても、善悪にかかわらず、となりますね。正しさや立場、手段にこだわらないという強い意志のこもった言葉と言えます。

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