「洗練」の意味とは?
「洗練」(せんれん)とは、物事や人物に関することについて、磨きをかけてより高い品位を保てるようにすること、優雅な様子に仕上げることという意味です。「洗煉」「洗錬」とも表記します。
「洗」は、水などで汚れを落とすという字義から、ここではさっぱりときれいにさせることを言います。「練」は、繰り返して動作を行うといった字義から、きたえる、手をかけて良いものにすることを表します。
両方の字義から「洗練」は、何度も洗って汚れを落とし、磨きをかけたり、手をかけたりして、素晴らしい物を作り上げていく様子がうかがえますね。
「洗練」の使い方
「洗練」は、人や文学作品、趣味などを評価したり、褒めたりするときの言葉です。人の場合、マナーをわきまえて優雅な物腰をしている様子や上品な身のこなしに対しても使われます。
文学作品(詩や和歌、歌詞、文章など)では、何度も内容や表現方法を修正付加したり、過剰な表現を削ぎ落としていく様子を表します。趣味では、例えば、服の着こなしや取り合わせに品がありお洒落である、感性が磨かれてさり気なく流行を取り入れる様子などが挙げられます。
また、「洗煉」を物事に使う場合は、何度も改良を重ねて無駄がなく工夫された物やそのようなデザインを表す際に使うこともあるようです。
「洗練」を使った例文
- 作家のA先生は、書き終わった後に何度も読み返して、洗練された文章を書くように心がけているそうだ。
- パズル雑誌の講評で応募したクロスワードパズルで、「カギの説明が洗練されている」と評価されて努力賞をいただいた。
- あの洗練された物腰の老紳士は、昔さるお屋敷の執事をしていたそうだ。
- 彼女はいつも洗練されたファッションに身を包んでいる。
- 洗練されたデザインの家具は、都会的な雰囲気の部屋に調和する。
「洗練」の類語
垢抜け
「垢抜け」(あかぬけ)は、もともと野暮ったかった人の服装などのセンスが磨かれて、お洒落な雰囲気に様変わりした様子や周囲の都会的な雰囲気に感化されて磨かれているという意味があります。「洗練」と似た意味で使えます。
「垢抜け」には、二つの品詞(名詞と動詞)がありますが、名詞で使われることはほとんどなく、もっぱら動詞の活用形で用いられています。
【例文】
- 東京へ進学して、ちょっと会わないうちに随分と垢抜けたね。
- 友達に、「ブティックで働くようになってから、垢抜けた雰囲気になったね」と言われる。
推敲
「推敲」(すいこう)とは、自作の詩や文章、その表現などを十分に考えて何度も直し作り上げることです。「洗練」の文章などを修正する意味で使うのとよく似ています。
【例文】
- 恩師への花束に添えるメッセージカードの文章を注意深く何度も推敲した。
- 読書感想文の内容を推敲して、両親にも見てもらった。
「推敲」は中国の故事から来ています。唐の詩人の賈島(かとう)が、自作の詩「僧は推す月下の門」について、「推す(お-す)」の部分を「敲く(たた-く)」にした方がよいか迷いながら歩いていると、京兆府(けいちょうふ:現在の西安市)の知事・韓愈(かんゆ)の行列にぶつかってしまいます。
韓愈は優れた詩人であったため、ぶつかった理由を聞いても罪を咎めることはありませんでした。むしろ、「それは『敲く』にしたほうが良い。月の下に音をたたいて響かせる方が風情がある」と助言したのです。
「洗練」の反対の意味を持つ言葉
粗雑
「粗雑」(そざつ)とは、いい加減で雑に取り扱う様子を言います。主に物事への考え方、仕方について言及する時に使います。「洗練」の十分に練り上げて良いものにする様子とは真逆の意味です。
【例文】
- 随分と粗雑な計画だね。もっとやり直す必要があるよ。
- 目上の人への対応が粗雑で、ちっともマナーに適ってないよ。
杜撰
「杜撰」(ずさん)には2通りの意味があります。詩や文章を作る、物事のやり方を念入りにして良いものに仕上げることを表す「洗練」とは、反対に近い意味です。
- 根拠となるところが不確かな文章や詩
- (1から転じて)物事のやり方が大雑把で手落ちが多いこと
【例文】
- こんな杜撰な文章で、納得できる論文が書けると思う?
- パーティーの準備が杜撰で、当日に間に合わないかもと心配になった。
「杜撰」の由来は、宋の詩人「杜黙(ともく)」の作った詩には、定型詩の形にほとんど合うことがなく規則に外れた作品が多かったことからきています。「撰」は、詩や文章を作ることです。「杜撰」で「杜黙が作った詩文」という意味です。