「感性」とは
「感性」<かんせい>を発音するときは、「辛抱」と同じく先頭にアクセントを置きます。「感性」とは、一般的に、「何かしらの刺激や印象を心に深く感じる働きこと」「感受性」です。平たく言えば、「感じ取ること」ですね。
また、「感性」は哲学用語として使われることもあります。その場合は、外からの刺激を受け止める、欲求や感情などの感覚的な力を指します。これは、知性や理性などと区別される能力のことです。
ここでは、一般的に用いられる「感性」を中心に説明します。
「感性」の使い方
「感性」は、「豊かな感性」「感性を磨く」などのほかにも、さまざまに用いられる言葉です。
【例文】
- 彼女には他の生徒とは違う独特の感性があった。
- 感性の似ている者同士が反発しあうこともある。
- この時ばかりは、彼女の鋭い感性が仇となったようだ。
- 彼の歌声は、聴衆の感性を大いに刺激した。
- 私は彼女の洗練された感性に影響を受けた。
「感性」の英語表現
sensibility
'sensibility'は、感性や感受性に相当する英語表現です。感覚、知覚、過敏さや傷つきやすさといった意味もあります。
【例文】
- She has a great sensibility.(彼女は感性が豊かだ。)
- I am surprised by his sharp sensibility.(彼の鋭い感性には驚かされる。)
- You and she have the same sensibility.(あなたは彼女と同じ感性を持っている。)
しかし、'sensibility'よりも、'sense'を使うケースの方が多いようです。英語の'sense'には感覚、知覚、印象、感じなど、さまざまな意味があります。日本語でも「センスがいいね」のように使うことがありますね。
【例文】
- She has a great artistic sense.(彼女は感性が豊かだ。)
- I am surprised by his sharp sense.(彼の鋭い感性には驚かされる。)
- You and she have the same sense.(あなたは彼女と同じ感性を持っている。)
feeling
「フィーリング」は日本語として、物事に対する感じ、印象などの意味で用いることがあります。語源となった英語の'feeling'にはさまざまな意味がありますが、そのうちのひとつが、感性や感受性といった意味です。
ただし、多くの場合、感性の英語表現には上記の'sensibility'や'sense'を用いるようです。
【例文】
- He is a person of the fine feeling.(彼は感性の優れた人だ。)
- She has a sharp feeling.(彼女は鋭い感性を持っている。)
emotion
若者言葉の「エモい」(感動する・心が動かされる)が、英語の'emotion'に由来していることはご存知の方も多いでしょう。この'emotion'は、感情や興奮を指すこともありますが、哲学的な意味での感性(知性と対照的なもの)という意味もあります。
ただし、「感性が豊かだ」というような一般的な表現には'emotion'は使わないようです。
「感性」と「情緒」
「感性」と「情緒」は、「感性豊か」と「情緒豊か」など、同じような言い回しで用いられることが多くありますね。これらに違いはあるのでしょうか?
「情緒」
「情緒」<じょうちょ>は、「情緒溢れる」「異国情緒」のように用いられる言葉です。「情緒」は、物事にふれることでさまざまな感情が沸き起こること、あるいは、その感情の原因となる雰囲気を指しています。
「感性」と「情緒」の違い
「感性」は「感受性」と言い換えられることからも分かる通り、「感じ取ること」です。対して、「情緒」は「感情が起こること」や「感情を呼び起こすような味わい」のことですから、両者は意味が異なります。
ただし、哲学や心理学で用いる「感性」は、一般的に用いられる「感性」とは定義が異なりますので、この限りではありません。